海外インテリアを見てると「センスがあるなぁ」と感じる様々な有彩色を使ったコーディネートを目にすることがあります。
これらのインテリアを目にした時「海外だから色彩感覚が違う」「派手な色は飽きが来るんでしょ」と否定的に捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、インテリアに色の需要がないとすれば、インテリアを構成するもの(壁紙・家具・布)には、色を取り入れたものが存在しないはずです。
ですが実際は、カーテン屋さんにはカラフルな色のカーテンが何種類も飾ってありますし、家具屋さんには目を惹く色のソファがディスプレイされていることもあります。
また、新築やリフォームの際、目にすることが多い水回りのサンプルに視点を移してみると、赤や黄色のキッチンキャビネット、オレンジ色のタイル、青の壁紙クロスなど、ホワイト・ベージュ・クリーム・アイボリー・グレー・黒・茶色といった無難色だけで構成されている訳ではなく、逆に「どれを選んだら良いの?」と迷ってしまうほどの色が溢れています。
しかしながら、室内に有彩色を取り入れるとなると多くの方が白っぽい無難色や茶色を選んでしまう。
みなさんは、日々のファッションで、ベージュ系、グレー系、モノトーン系だけの色を選んでいますか?赤のバッグ、ブルーの靴、黄色のスカーフなど、色を取り入れたコーディネートもしていませんか?また、ネイル・ヘア小物・アクセサリーを加えると、もっと複雑な色使いになっているという方も多いでしょう。
インテリアになった途端、色使いに消極的になってしまうのは
- 1点1点の値段が高いこと
- 色を使う面積が広いこと
で、失敗しても簡単に替えが効かないことが原因の1つかもしれません。
でも大半の方が、「センスが無いこと」を理由に好きな色を選ぶのをやめてしまっているのではないでしょうか。
インテリアにおいて「センスが無い」と感じてしまうのは、実はセンスが無いのではなく、カラーコーディネートの基礎知識が無いために、そう思い込んでしまっているからではないかと、と筆者は考えています。
インテリアの色の知識は、建築家・建築デザイナー・インテリアコーディネーター・カラーコーディネーターなど建築に携わる人でなくても、簡単に習得できます。
色同士の関係を知り、色使いの達人になってみましょう。
色のしくみを知っておこう
色には、色みがない「無彩色」と色みがある「有彩色」があります。
「無彩色」は、ホワイト・グレー・ブラックなど、明度(明るさ・暗さ)のみで分類します。一方、「有彩色」は、「色相(赤・青などの色合いの違い)」と「明度(明るさの違い)」と「彩度(鮮やかさの違いである」の3つの属性を持ち、何万種類ものバリエーションがあります。
色相を環状に並べたものが色相環で、この色相環を見ながら、組み合わせる色を選んでいくと、色選びのコツがつかめます。
上記は、彩度が高い純色を12色、虹色の順に配列したものです。
この12色の彩度や明度を変えると、色が微妙に変化し、これらを現したものを「トーン」と呼びます。
「こんな色見本は見たことがない」という方でも、日常生活で「ペールカラー」「ビビッドカラー」「パステルカラー」といった言葉を耳にしたことがあるでしょう。
上の色見本の色を見てもわかるように、「トーン」は、「暗い(白っぽい)・明るい(黒っぽい)」だけでなく、「鈍い」「灰みの」などが複雑に絡んでいる為、同じ赤でも、純色の赤・ビビッドトーンの赤・ペールカラーの赤・パステルカラーの赤は全く違います。
「どのトーンのどの色を使うか?」でインテリアの雰囲気ががらりと変化する為、インテリアにおける色の基礎知識として、「有彩色と無彩色」「寒色・暖色・中性色」「トーン」の3つを頭に入れておきましょう。
センス良くまとまる3つの基本配色
色を取り入れたいけど冒険は好まない派におすすめの「同系色・類似色」コーディネート
同系色は、同じ色相の明度や彩度が違う色を組み合わせた色。類似色は、暖色なら「赤・赤橙と橙」、寒色なら「青・青紫・紫」など、色相環の隣同士3つくらいまでの色を組み合わせた色です。
「同系色・類似色」の配色例
■ 同系色
「ビビッドイエロー」「ペールイエロー」「パステルイエロー」など、明度や彩度が違う色を組み合わせる同系色コーディネートは基本となる色が同じなので、色同士が喧嘩になることはありません。
ただ、全て同じ色みなので、メリハリを感じにくいコーディネートになります。
黄色の同系色でまとめたキッチンの勝手口の色を暗い赤にした例。
■ 類似色
「赤」「赤橙」「橙」など色相環の隣同士にある色を組み合わせる類似色コーディネートは、メインに使う色の影響を受けやすい為、「暖色の部屋」「寒色の部屋」という印象が強くなります。
赤の壁に赤橙のソファを組み合わせ、青のベンチでアクセントを取り入れた例。
青の壁と家具をコーディネートし、オレンジのスツールでアクセントを取り入れた例。
「同系色・類似色」のコーディネート例
リビングの床に変則的な形の赤紫×紫の類似色のラグをコーディネート。
ソファは紫でスツールと花瓶・花は赤。ヨーロピアンスタイルのインテリアですが、赤と紫という聞いただけでは「変なのでは?」と思う組み合わせをおしゃれに取り入れた事例。
赤のソファに赤橙のクッションを組み合わせた類似色コーディネートのリビング。
暖色のコーディネートなので、暖かい雰囲気。
黄橙の壁の部屋のクローゼットに収納とデスクスペースを作り、壁面を橙でコーディネート。
ラグ・ベッドカバーのファブリック、収納に置くストレージボックス・インテリア雑貨は全て、類似色。壁に青のサーフボードを立てかけて、寒色をプラス。
赤紫のソファと赤紫×赤のパターン柄のラグ、赤橙のベンチソファをコーディネートした同系色・類似色のリビング。
クッションに赤紫の補色の黄緑を使ってアクセントカラーを足したおしゃれインテリア。補色については3つ目の「目立つ色で個性的を出したい派におすすめの「反対色」コーディネート」で詳しく解説します。
ウォールキャビネットを黄、フロアキャビネットを黄緑でコーディネートしたキッチン。
扉色が2色でも、隣り合う類似色コーディネートなので、まとまり良く見えます。
緑×青緑のラグの上に、青の椅子をコーディネート。
中性色の寒色、感じ方が違う2種類の色ですが、緑と青は類似色なので、組み合わせても違和感がありません。
青のソファと紫のラグの類似色コーディネート。
壁にも暗い青の壁紙クロスを貼り、おしゃれ感をアップ。青の補色であるオレンジ色の小さなスツールを壁際に置いてアクセントをプラス。
目立つ色で個性的を出したい派におすすめの「反対色」コーディネート
色相環で対面する場所にある色は補色です。補色の隣1色ずつをプラスした色が反対色で、これらを組み合わせたのが「反対色」コーディネートです。
「反対色」の配色例
黄の反対色は、青紫・紫・赤紫。紫の反対色は、黄橙・黄・黄緑。
「反対色」のコーディネート例
赤紫のソファと緑のチェア、緑のラグをコーディネート。
重厚感がある個性的なインテリア。反対色を組み合わせる時は、面積を同じにせず、大小のメリハリをつけるとお互いの色が引き立つインテリアになります。この場合は、緑の面積が多い。
橙のソファに青のクッションをコーディネート。
主張する色同士の組み合わせですが、反対色の組み合わせなので、お互いの色を引き立てるインテリアに。オレンジの面積を大きくしたインテリア。
黄色のソファに紫のクッションをコーディネート。
黄色のソファだけど、明度・彩度ともに低い色同士が組み合わせてあるので、穏健な雰囲気。
紫の壁のダイニングに、茶色の木製長方形テーブルと紫のチェアを組み合わせ、黄色と紫のラグをコーディネート。
紫が主役で黄色が脇役。個性的な色使いですが派手さがなく、明るい黄色がダイニングに華やかさを演出。
青紫のソファの黄色のラグとクッションをコーディネート。
目立つ黄色をアクセントにした個性的なリビング。明度・彩度ともに低い色同士を組み合わせて重厚感も演出。
青の玄関ドアの前に、青と橙を使った反対色のパターン柄のラグをコーディネート。
明度と彩度が高い青なので正確には、水色とオレンジ色です。目立たせたい柄に反対色が使ってあるので、意識しなくても勝手にアクセントを演出できる、おしゃれデザイン。
とにかくいろんな色を使いたい派におすすめの「同一トーン」コーディネート
「同系色」「類似色」「反対色」だけでは物足りない時におすすめなのが、色調を揃えて数種類の色を組み合わせる方法です。
上記はトーンの色見本ですが、同じトーンにある色同士は、どの色を組み合わせても違和感なく馴染み、極端に言えば、12色を全部使っても問題ありません。
「同一トーン」の配色例
ライトトーンの赤橙、黄、青緑、紫の4色。トーンが全く同じなので、色が違っても統一感があります。
「同一トーン」のコーディネート例
ペールトーンの赤・紫・青をコーディネートしたワークスペース。
壁が紫と青、2台のワークチェアが赤と青です。全体的に白っぽいので明るく感じ、優しさも感じるインテリア。
ベージュのソファにライトトーンの青と赤のクッションと橙のストールをコーディネート。
ベージュのソファとラグを組み合わせた開放感のあるインテリアとクッションの色が合っています。
オープンラックの内側をソフトトーンのレインボーカラーにしたリビング。
上から赤・橙・黄・緑・青の順。5色が使ってありますが、同じトーンの色違いを組み合わせたものなので、どれか1つの色が浮いて見えることも無し。
ストロングトーンの緑と赤橙のチェアと紫と青のクッション、赤橙のオープンラックを組み合わせたカラフルなキッズルーム。
ラグもカラフル。オープンラックの中にあるストレージボックスも含めると20種類以上の色を組み合わせたインテリアですが、ごちゃごちゃ見えない。
ストロングトーンの黄緑・赤・紫・赤橙を組み合わせたL型+アイランドキッチン。
色の使い方がセンス抜群で、天板が赤と紫なのに、派手な印象なし。楽し気なキッチンインテリアです。
ブライトトーンの青、黄、赤紫、赤を組み合わせたリビング。
青系のソファと黄系のクッションを組み合わせるのは思いつきそうですが、そこにピンクにも見える赤紫のカーテンをプラスしてカラフルなリビングを実現。青の面積を多くし、黄、赤紫、赤はアクセントとして活用。
ディープトーンの青緑のソファと黄のオットマンを組み合わせ、赤、紫、緑、赤紫のクッションをコーディネート。
落ち着いた色使いが重厚感のあるリビングを演出。クッションの色の組み合わせ方が素敵です。
「カラフルインテリアのヒントに海外の個性的な色使い32選」も参考に。
「センスが無いから思い切った色を選べない」とインテリアに色を使うことに尻込みしていた方も、コツがつかめたのではないでしょうか?
今回紹介した配色の基本の難易度を低い順に並べると「同系色・類似色」「反対色」「同一トーン」。
まず、同系色の色を2色組み合わせ、そこに反対色をアクセントカラーとして1色足すだけでも、まとまりのあるインテリアが作れますので、ぜひ実践してみて下さいね。
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