海外のインテリアを眺めていると、白い壁を埋め尽くすかのように絵を飾ったリビングや、寂しそうに感じるダイニングに素敵な絵を飾ってカフェ風にしたコーディネートをよく見かけます。
また、日本でも、ここ数年台頭してきた、都市郊外型の珈琲店では、壁面にまるでギャラリーのように絵を飾り、おしゃれでリラックスした空間を演出してあります。
「絵を飾る」はセレブが豪邸で、自慢のコレクションを見せびらかすと言ったイメージを持ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、「インテリアをセンスアップさせる」意味合いがあります。
また、インテリアの観点から考えると「フォーカルポイントを作る」という重要な役割も果たしています。
フォーカルポイントは、視線が自然に集まる場所のことで、室内のある一点に視線が集中させることで
- インテリアに「メリハリ」が生まれる
- 引き締まった印象になる
などの効果が期待できます。
絵を飾ることの重要性については理解できたけど、実際に「絵を買う」「絵を飾る」となると、どんな絵をどこにどんな風に飾ればよいのか悩んでしまうもの。
飾り方と選び方の2つのテーマに分け、6つのポイントを紹介していきましょう。
絵の飾り方
目線の法則
床から天井まである広い壁、ソファの上、ベッドの上、家具の上などに白い面が大量に見える部屋は、どこか殺風景な印象を受けます。
この何か物足りない空間に絵を飾る場合は、目線の高さを中心に飾るとバランスが良く見えます。
壁に絵を飾る時は、眼高よりも低めにすると見やすい為、絵の中心を140~150cmに設定しましょう。
また、天井高が高い部屋の場合は、家具上部の残り壁の高さの中心に飾る方法もあります。
上下の余白が均等になるので、バランスが取れた印象になります。
縦縦・横横の法則
絵を飾る壁が縦長なら縦長の絵、横長なら横長の絵を飾ります。
掃き出し窓の横にある縦長の壁面に、縦長の大きな絵を飾ったリビング。
掃き出し窓の横にある幅120cmほどの壁面に縦長の絵を2枚上下に並べて飾ったリビングダイニング(ダイニング側の壁面)。
ソファ上部の横長の壁に、ソファと同じ幅の横長の絵を飾ったリビング。
一点集中とギャラリー型-飾り方のパターン
アートを飾る方法には、「一点だけを飾る」「複数飾る(ギャラリー型)」があります。
前者は、視線を集めるフォーカルポイントを作るのに適していて、後者は絵に囲まれたアートギャラリーのような雰囲気、どちらかと言えば海外っぽいインテリアを作るのに適しています。
また、ギャラリー型は、似たようなデザインや色の絵をひとまとめにして飾るので、趣味嗜好を強調しやすく、インテリアにこだわりたい方向けです。
一点集中型
腰窓と腰窓に挟まれた縦長の壁に、縦長のモノトーンの絵を飾ったダイニング。
腰窓と柱型のある縦長のコーナーに絵の下端を腰窓の下端と揃えて飾ったリビング。
串の字型
高さ(サイズ)の違う絵を絵の中心を揃えて飾る方法です。
漢字の串を横に向けたような見た目なので串の字型と呼ばれています。
壁面に、黒の額縁に入れたモノクロの絵を大・中・台の順に、中心を揃えて飾ったダイニング。
行列型
高さ(サイズ)の違う絵を絵の下端を揃えて飾る方法です。
腰までの高さのオープンラックの上の壁面に、サイズの違う3枚の絵を下端を揃えて飾ったリビング。
アート型
絵を使って、丸・菱形・ハート・星などを形作りながら飾る方法です。
複雑な形になればなるほど、絵の大きさやバランスが難しくなりテクニックが必要になってきます。
広い壁に、サイズが違う9枚のモノクロの絵を丸を描くように飾ったダイニング。
田の字型
全く同じサイズの絵を4枚、漢字の田の字のように飾る方法です。
ソファ上部の壁に、同じサイズの絵を田の字型に飾ったリビング。
ソファ上部の壁に、同じサイズの絵を田の字型+1列多めに飾ったリビング。
壁面に、同じサイズの絵を横に4列、縦に2段飾ったダイニング。(田の字型の拡張版)
住宅街型
大きさの違う絵を住宅造成地の敷地と道路のように、規則正しく長方形や正方形型に飾る方法です。
腰までの高さの壁面収納家具の上に、大きさが違う絵を9枚、上下左右を揃えて、規則正しく飾ったダイニング。
階段型
大きさが同じ絵を高さを変えて飾る方法です。
ソファ上部の壁に、同じサイズの2枚の絵を階段状に飾ったリビング。
ランダム型
形や絵同士の高さを揃えずに自由きままに飾る方法です。
ベンチ上部の壁に、ハートの小さめの絵を17枚ランダムに飾ったダイニング。
ソファ上部の壁に、小さめの絵を15枚ランダムに飾ったリビング。
ローボードの上部の壁に、大きさの違う絵を7枚ランダムに飾ったリビング。
絵の選び方
「飾り方は分かったけれど、一体どんな絵を選べば良いの?」と迷った時は、“揃える”を意識してみましょう。
インテリアテイストと揃える
北欧、モダン、ヴィンテージなど、インテリアのテイストと絵のテイストを同じにすると、絵だけが浮いたチグハグな雰囲気を解消できます。
インテリアと絵がマッチした、センス溢れるコーディネートを見ていきましょう。
モダン
グレーの薄いソファ上部の壁に、グレーの紙を折り曲げたような抽象的な絵をコーディネート。
グレーの薄いソファ上部の壁に、水色のシンメトリーデザインの抽象的な絵をコーディネート。
北欧
グレーとナチュラルブラウンの家具でまとめたリビングの壁に、くすんだ葉っぱの絵をナチュラルブラウンの額縁に入れて2枚コーディネート。
薄いグレーとホワイトでまとめた冷たさを感じるリビングの壁に、グレーの小さめの絵をランダムにディスプレイ。
インダストリアル
ヴィンテージカーの絵とインダストリアルインテアのコーディネート。
ヴィンテージ感のあるレザー製ソファと年代ものの飛行機の絵をコーディネート。
コンテンポラリー
鮮やかなオレンジ色の腰までの高さの引き出しチェストの上部の壁に、カラフルなマリリン・モンローの絵を2枚ディスプレイ。
白のダイニングテーブルとオレンジ色の椅子を組み合わせたダイニングのホワイトの収納家具の上に、赤と黄色を使ったカラフルな絵をディスプレイ。
絵のテイストを揃える
絵を2枚以上飾る場合は、絵の雰囲気を揃えることで、豪華さやまとまりを演出できます。
同じ色・同じサイズで、構図の違う女性の横顔の絵を2枚並べて飾ったダイニング。
ソファ上部の壁面に、デザイン違いの水墨画のような絵を2枚並べて飾ったリビング。
ソファ上部の壁面に、女性のアップと女性の全身のモノクロの絵を2枚階段型に飾ったリビング。
ベッドの頭上部の壁面に、紙をちぎって張り付けたようなデザインの違う絵を3枚並べて飾った寝室。
色を揃える
絵を2枚以上飾る場合は、絵に使われている色を揃えると、まとまりのあるディスプレイになります。
また、絵の色と室内にあるラグ・クッション・家具などの色を揃えると、ワンランク上のこだわりを感じるコーディネートになります。
絵同士の色
黒と白を使った絵を9枚、田の字型に飾ったダイニング。
モノクロカラーの絵を6枚、半規則的に飾ったダイニング。
モノクロカラーの絵4枚とセピアカラーの絵3枚を下端を揃えて飾ったリビング。
絵と家具・ファブリックの色
絵とリビングテーブルを同じ茶系でコーディネートしたリビング。
ソファとクッションとラグをグレーでまとめ、茶色のレザー製クッションをプラスし、ソファサイドに黒のフロアランプを置いたリビングに、黒・グレー・茶色を使った絵を飾った例。
絵とソファ用クッションを青と暗めの黄緑でコーディネートしたリビング。
ラグと絵を暗めの赤でコーディネートしたリビング。
黒・グレー・黄色・水色を使ったレトロな幾何学模様のラグの色と絵の色を揃えたセンス溢れる北欧テイストのリビング。
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いかがでしたか?
殺風景な室内を見て「絵を飾りたい」と思い立つと、すぐに雑貨店やインテリアショップで、好みの絵を買ってしまいそうになりますが、おしゃれさを極めた絵の飾り方は、計画性が大事です。
- どんな形に飾るか?→買う絵の数が決まる
- どんなテイストの絵を飾るか?→既にインテリアコーディネートが完了している場合はインテリアに合わせる
- どんな色の絵を飾るか?→既にカラーコーディネートが完了している場合はインテリアカラーに合わせる
これらをポイントにして、絵とお部屋がチグハグにならないセンスのあるインテリアを作っていきましょう。
リビングに特化した絵の飾り方は下記を参考にして下さい。