インテリアコーディネートの色決めでは、同じ空間に存在する色をまめると良いと言われています。
「色をまとめる」と聞いても、ピンとこない方も多いかもしれませんが、下記の色使いの違うリビングを見比べた場合、その違いは一目瞭然です。
下段のカラフルな色使いのリビングよりも上段のベージュやブラウンでカラーコーディネートしたリビングの方が、色がまとまって見え、リラックスできそうな気がしますよね。
「色をまとめる」の代表に、同系色コーディネートがあります。
「同系色」の解説や同系色に似た「類似色との違い」、同系色で揃えたインテリアコーディネートの具体的な実例を見ていきましょう。
同系色とは
同系色は専門用語で「同一色相配色」とも言います。
文字で書くと難しく見えますが、簡単に説明すると、同系色は、ある色を選び、その色の明度や彩度を変えた色同士のことです。
例えば、下記のカラフルな花の写真でいうと、赤・ピンク・黄色・緑・青・紫の光が当たっている場所と影になっている場所の色は同系色です。
上記の花の緑色をピックアップして、6色横に並べてみると、左から右にいくにつれ、色が暗くなっていくだけで、元となっている色が全部緑色であることがわかります。
同系色と似ている類似色
茶色の木目の床や家具に、ベージュやアイボリーのソファやラグ、カーテンをコーディネートしたインテリアは「同系色」と思われがちですが、茶色のベース色はオレンジ、ベージュのベース色は黄みがかったオレンジ、アイボリーのベース色は黄色なので、厳密に言うと「同系色」ではなく「類似色」です。
上記の茶色・ベージュ・アイボリーを同系色で揃えると、以下のようになり「揃っている印象」がより強くなります。
しかしながら、インテリアに使う色を1色ずつ調べて「同系色か類似色か」と判別するのは難しいです。インテリアでは色合いが似ている類似色も含めて「同系色で揃える」「同系色でまとめる」ということもあります。
インテリアを同系色で揃えることのメリット
ここまで説明したように、同系色は、同じ色をベースに持つ色です。
その為、同系色で揃えたインテリアは、「まとまって見える。」「馴染んで見える。」「違和感がない。」「コーディネートがしやすい。」といった特徴があります。
更に、インテリアでは、茶系のフローリングを基本として、カラーコーディネートを考えるのが一般的です。床の茶色を基準として、同系色でまとめたインテリアは、必然的に、茶色の明度や彩度を変えた色を使うことになる為、温もりやリラックス感がる飽きがこない色使いになります。
茶系のフローリングと同系色
前述した通り、茶系のフローリングとして、同系色コーディネートを考える場合、茶系の木目に、赤寄りの茶色・黄色寄りの茶色・オレンジ色の茶色などがあることを知っておく必要があります。
同系色で揃えたインテリアを作りたい時は、床色がどの色をベースにした茶色かを分析して、ベースとなる色の同系色と組み合わせるとまとまりが出ます。
ダークブラウンのフローリングとダークブラウンのファブリック製コーナーソファをコーディネートした重厚感のあるリビング。
茶色のフローリングと薄めの茶色のレザー製2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
ライトブラウンのフローリングと薄めのオレンジの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
ナチュラルブラウンのフローリング、オフホワイトの2人掛けソファ、赤みがかった薄いブラウン×薄い黄色のヴィンテージなラグをコーディネートしたリビング。
グレーがどんな色にも合う理由
さきほどから、さまざまな色の同系色をカラーチャート付きで紹介していますが、どの色でも一番左側にあるのがホワイト・グレー・ブラックの無彩色です。
そして、グレーは、有彩色の彩度をゼロにした色。その為、インテリアでのグレーは“万能カラー”と呼ばれていて、どんな色とも喧嘩することがありません。
また、近年、スモーキー系やグレイッシュ系のフローリングが出ていますが、これは、彩度がないグレーと馴染みやすい色で上質な印象をもたらす為です。
スモーキーな薄い茶色のフローリング、くすんだ薄い茶色の2人掛けソファ、艶のあるグレージュのテレビボード、グレーのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
流行のスモーキー系ブラウン×グレー9パターンの組み合わせ&実例40選
余談になりますが、ピンク・黄色・緑などの有彩色を使う場合も、「鮮やかさの少ないグレイッシュ系・スモーキー系の色×グレー」で組み合わせると、上品な印象になります。
グレーのソファとくすんだオレンジの無地クッションを組み合わせたリビング。対面キッチン用ペンダントランプにも、クッションと同じ明るさのオレンジを取り入れて、統一感のある空間を演出。
グレーのソファとくすんだピンク、くすんだブルー、くすんだイエローのクッションを組み合わせたリビング。どの色も面積を小さくして、周囲の色と馴染ませたインテリア。
同系色のコーディネート例
ここまで
- どんな色の組み合わせを同系色と呼ぶか
- インテリアを同系色コーディネートでまとめるメリット
- グレーがどんな色とも合う理由
などを解説してきましたが、最後に、類似色も含む同系色でコーディネートしたインテリア実例を見ていきましょう。
(住宅っぽくないインテリアも含まれていますが、色合いを参考にしてください。)
白っぽい、くすんだ薄い茶色のフローリングとホワイトの壁紙のリビングに、白っぽいグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、薄いグレーのグラデーションラグを敷き、ホワイトフレームとガラス天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。壁を背に、エレガントなデザインのホワイトのサイドボード、ソファと対面に、丸みのあるデザインの白っぽいグレーのファブリック製ラウンジチェアを2脚配置。テーブルランプの脚で濃いイエロー、観葉植物でグリーンを足して、リラックス感をアップしたインテリア。
スモーキーな薄いブラウンのフローリングとホワイトのモールディング&グレージュの壁紙のリビングに、エレガントなデザインのグレージュの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいベージュの大きなラグを敷き、シルバー金属フレーム脚とガラス天板を組み合わせた正方形テーブルを2台並べてレイアウト。ソファとコの字に、ソファと同じデザインのパーソナルソファを配置。アンティーク感のある上品なインテリア。
ベージュ&ブラウンの大理石調床のリビングに、エレガントなデザインの白っぽいベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、グレー×ベージュ×ホワイトのエレガントなデザインのラグを敷き、赤みが強い薄い茶色のアンティークテーブルをレイアウト。ソファと対面に、ソファと同じデザインのパーソナルソファを2台配置。アクセントクロスを濃いベージュ、カーテンをクリーム色にして、優しく、暖かな空間を演出したインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングと淡いベージュのモールディング壁のリビングに、白っぽいベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ベージュ×グレーのラグを敷き、暗いブラウン×ベージュの大理石調の変形テーブルをレイアウト。ソファとコの字に、くすんだ濃いベージュの丸みのあるデザインのファブリック製ラウンジチェアを配置。温もりのある白っぽい色でまとめ、テーブルだけを濃い色にして、空間を引き締めたインテリア。
赤みが強い茶色のフローリングとベージュの壁紙のリビングに、ベージュの2人掛けソファをL字に2台コーディネート。
ソファの前に、薄いブラウンのナチュラルなラグを敷き、ホワイトの柵みたいな脚とホワイト天板を組み合わせた丸型テーブルをレイアウト。窓と反対側の壁を背に、ベージュっぽく見える薄い茶色の木目のテレビボードを配置。床色以外を似た色にして、くすんだグリーンをクッションやブランケットで足して、上品なナチュラル空間を演出したインテリア。
薄めのライトブラウンのフローリングのリビングに、明るいブラウンレザーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ホワイト×濃いブラウンのカウハイドラグを敷き、窓の前に、シルバー金属の柵のようなデザインの脚とガラス天板を組み合わせた丸型テーブルをレイアウト。ギターやレコードを飾って、テーマ性のある空間を演出したインテリア。
スモーキーなブラウンのフローリングとグレージュの壁紙のリビングに、グレージュのコンパクトな2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、オフホワイト×薄いグレーのうっすらと模様が見えるラグを敷き、ホワイトの木目の丸型テーブルをレイアウト。グレーではなく、グレージュを使って、冷たさの少ない空間を演出した北欧スタイルのインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、濃いブラウンの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、薄いブラウンの毛足の長いラグを敷き、シルバー金属脚とブラック天板を組み合わせたシンプルなデザインの長方形テーブルをレイアウト。ソファの斜め前に、くすんだ薄いブラウンのムートンラグを乗せたブラックのチェアを配置。ソファの肘掛けにも、ブラウンのニットブランケットを乗せて、落ち着いて、くつろげる空間を演出したインテリア。
アンティーク感のあるブラウンのヘリンボーン床のリビングに、グレージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、アイボリー×ブラックの線の大きな菱形模様のラグを敷き、茶色の木製丸型テーブルをレイアウト。ソファと対面に、白っぽいグレーの寝椅子を配置。カーテンをくすんだブラウン、ラウンジチェアを濃い赤にして、くつろぎ感のある空間を演出したインテリア。
ライトブラウンのフローリングとグレージュの壁紙のリビングに、くすんだ薄いブラウンの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいベージュの大きなラグを敷き、茶色の木目の折りたたみ式長方形テーブルをレイアウト。ソファ背面の壁に、壁紙と同じグレージュの天井まである収納家具を配置。雑貨・ラウンジチェア・クッションで暗めの赤を足して、温もりとリラックス感のある空間を演出したインテリア。
ブラックのフローリングのリビングに、くすんだ薄いベージュのコーナーソファをコーディネート。
ソファの下に、グレーのラグを敷き、シルバー金属×グレージュの木目×ガラスのモダンなデザインの正方形テーブルを並べて2台レイアウト。ソファとコに字に、透明素材の脚とグレーのベルベット製座面を組み合わせたスツールを2脚配置。壁に、暗いグレーの木目のシンプルなデザインのテレビボードをハンギング。鮮やかさの少ない色を中心に使って、上質な空間を演出したインテリア。
同系色の色の選び方やコーディネートの仕方が伝わったでしょうか。
何度も言いますが、同系色コーディネートは、ある色をベースとして2色から3色を同じ空間に使うインテリアの作り方のことです。
似た色ばかりが、同じ空間にある為、物足りなさを感じる場合もあるかと思います。ぼんやりとした空間にメリハリをつける方法は下記のコラムをご覧ください。