たった1つを守るだけ縦長リビングを広く見せる家具レイアウト術

たった1つを守るだけ縦長リビングを広く見せる家具レイアウト術

廊下からLDKに入ると、キッチンとダイニング空間が真っすぐに縦長にある間取り。
縦長リビングの平面図
70㎡程度のマンションによくあるこのタイプは縦長リビングと呼ばれています。

このリビングダイニングに、ダイニングテーブル、ダイニングチェア、ソファ、コーヒーテーブル、テレビボードなどの家具を配置する場合、色んなパターンが考えられますが、このページでは「広々と見える」を重視したレイアウトだけをピックアップ。



縦長リビングに開放感を持たせたい方は、家具レイアウトのヒントにして下さい。

このページには何が書いてある?

①縦長リビングが「広く見える」の考え方
②「広く見える」縦長リビングの家具レイアウトの仕方
③「広く見える」縦長リビングの家具レイアウトの具体例3つ(平面図・パースを使って解説)

目次

縦長リビングを広く見せるコツは、床面にまとまった空間を残すこと

ダイニング空間とリビング空間の2つが1つになった縦長リビングは、入口やキッチンからベランダの窓に向かって縦に長く部屋がある間取りです。

縦長リビング平面図

どんな間取りでも、必要な家具の数はあまり変わらないですが、広く感じるか否かは、家具を配置した後に

  • 視線の抜け
  • 床面に大きな空間

の2つがあるかどうかです。

縦長リビングは、「視線の抜け」を意識して家具をレイアウトするだけで、自然に床面に大きな空間が残る間取りです。難しく考えずに、ますは「視線の抜け」を意識してみましょう。

縦長リビングの「視線の抜け」について考えてみよう

縦長リビング平面図の視線の抜ける場所
上記の縦長リビングで視線が抜ける場所は

①LDKの入口前から掃き出し窓の方向
②カウンターキッチンの前(キッチン側)から隣の部屋の出入口の方向
③カウンターキッチンの前(キッチン側)から掃き出し窓の方向
④間口が長い方の壁の前から隣の部屋の出入口の方向
⑤間口が長い方の壁の前から掃き出し窓の方向
⑥カウンターキッチンの壁(リビングダイニング側)の前から隣の部屋の出入口の方向
⑦カウンターキッチンの壁(リビングダイニング側)の前から掃き出し窓の方向

の7か所です。



赤の矢印の場所を立体的に見ると

縦長リビングの視線の抜けの立体図

赤の線を残すように家具をレイアウトしていくと自然に「視線の抜け」ができます。

縦長リビングの「視線の抜け」がある家具レイアウトの仕方

さきほど「赤の線を残す」と書きました。
この「赤の線を残す」とは、「赤の線が通る場所になるべく家具を置かない」、「置いたとしても視界を遮らない背の低い物を置く」ということです。

赤の線が通る場所を避けると下の図のようになり、黒く塗りつぶしたところが家具を置く場所となります。

縦長リビングの視線の抜けと家具レイアウト位置

※④⑤の「視線の抜け」は、どこにソファを置くかで黒の大きさが変わってきます。

幅や奥行きのある大型家具を黒く塗りつぶした場所に置く。
こうするだけで、自然に床面にまとまった空間ができ、リビングダイニングが広々と見えるいうわけです。



下の2つは、床のまとまった空間が少ない縦長リビングの例。どちらも、楕円形ダイニングテーブルとコーナーソファを組み合わせた4~6人で暮らすリビングダイニングですが、広く空いた対面キッチンの前にごちゃごちゃと家具がある為、狭苦しい印象がします。

Photo by Stephani Buchman PhotographyBrowse living room photos

オープンな空間が少ない縦長リビング。
「空いてる場所に何かしら置く」を繰り返してると、人が通れるスペース以外、家具や物が溢れたリビングダイニングになり、窮屈な印象に。

広さを感じるリビングダイニングは、適度なオープンスペースが必要です。

Photo by Ageloff & AssociatesMore living room photos

間口が短い方の中央に、家具の幅方向の中央を揃えてレイアウトした縦長リビング。

中心が揃っていて見た目は美しいですが、オープンスペースが左右に分散しているので、床面にまとまった空間がない。このリビングダイニングは、丸い柱型が部屋内に飛び出た構造なのでこのようなレイアウトになってしまいますが、真っすぐな壁に囲まれた縦長リビングでは、家具を左右のどちらかに寄せて、床面にまとまった空間を作ることが大切。

広々見える縦長リビングの家具レイアウトの具体例3つ

それでは、具体的に「視線の抜け」を意識して家具をレイアウトした広々と見える縦長リビングの例を平面図・パース図・実例を使って見ていきましょう。

尚、図面に使ってる家具のサイズは以下のとおりです。70㎡くらいのマンションの4人暮らしを想定しています。

・長方形ダイニングテーブル:幅150cm 奥行90cm 高さ72cm
・丸型ダイニングテーブル:φ140cm 高さ69cm
・ダイニングチェア:幅50cm 奥行52cm 高さ80.5cm
・ソファ:幅198cm 奥行92cm 高さ75cm(2人掛け)
・長方形コーヒーテーブル:幅120cm 奥行60cm 高さ31cm
・丸型コーヒーテーブル:φ75cm 高さ52cm
・テレビボード:幅120cm 奥行40cm

【パターン1】LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト

掃き出し窓への「視線の抜け」

①の視線の抜けを重視する為、ソファは間口が長い方の壁を背に配置する。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト①

縦長リビング家具レイアウト1

カウンターキッチンと平行に長方形ダイニングテーブルをレイアウト。
ダイニングテーブルの周りは、人が通れるスペース(60~75cm)を4面に確保。

縦長リビング家具レイアウト1パース
幅240~255cmのカウンターキッチンの中心を基準にダイニングテーブルを置いている為、ダイニングテーブルの角がLDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」とやや干渉。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト②

縦長リビング家具レイアウト2

カウンターキッチンと平行に長方形ダイニングテーブルをレイアウト。
ダイニングテーブルは、短い面を壁とくっつけて3方向のみ人が通れるように。
縦長リビング家具レイアウト2パース

ダイニングテーブルを壁に寄せたことで、掃き出し窓への視線の抜けの幅が広くなり、床面のまとまった空間の面積がアップ。

Photo by EsteriörBrowse living room photos

寝椅子付きの2人掛けソファと4人掛け長方形テーブルを組み合わせた縦長リビング。

寝椅子を窓側に配置して一体感のあるダイニングリビングを演出。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト②の長方形テーブルを窓側に配置した場合

縦長リビング家具レイアウト2のリビングとダイニングが逆
縦長リビング家具レイアウト2のリビングとダイニングが逆のパース
LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」がダイニングテーブルの幅と干渉する為、開放感が減少します。(※窓位置・窓幅による)

間口が長い方の壁を背にホワイトの2人掛けソファ、窓前に4人掛けダイニングテーブルをレイアウト。

窓は勝手口+腰窓の3枚ガラス。腰窓の下にダイニングテーブルがピタっと収まっているので「視線の抜け」への影響は少なめ。

間口が長い方の壁を背にグレーの寝椅子付き2人掛けソファ、窓前に4人掛けダイニングテーブルをレイアウト。

窓は勝手口+腰窓の3枚ガラス。腰窓の下にダイニングテーブルがピタっと収まっていますが、寝椅子の出っ張りとソファの暗い色の影響で開放感がやや減少。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③

縦長リビング家具レイアウト3
間口が長い方の壁に沿って長方形ダイニングテーブルをレイアウト。(短い面をキッチンの腰壁と密着)
縦長リビング家具レイアウト3パース
長方形テーブルとソファが同じ方向に並んでいる為、すっきり、広々と見えます。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③の長方形テーブルを窓側に配置した場合

縦長リビング家具レイアウト2のリビングとダイニングが逆
縦長リビング家具レイアウト2のリビングとダイニングが逆のパース
LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」はダイニングテーブルと干渉しませんが、ダイニングテーブルの高さが窓全体の1/6程度と被ってしまう為、開放感が減少します。(※窓位置・窓幅による)

ダイニングチェアをベンチに変えると…

縦長リビング家具レイアウト3のベンチバージョン

ベンチは、椅子を引くスペース(テーブルの前から75cm程度)が不要な為、省スペースに収まります。また、背もたれが無いベンチは「視線の抜け」に影響を与えない為、開放感がアップして見えます。

縦長リビング家具レイアウト3のベンチバージョンのパース図

Photo by Emergent Form ArchitectureLook for home design design inspiration

間口が長い方の壁を背に、ダイニングベンチと2人掛けソファをレイアウト。

間口が短い方の面の幅方向の半分以下に家具を集約してあるので、床面に広い空間が多く残り、広々とした印象。

Photo by StylingbolagetDiscover living room design ideas

間口が長い方の壁に沿って、長方形ダイニングテーブルと2人掛けソファをレイアウト。

ダイニングベンチは通路側。背もたれが無いので、リビングまでの視界良好。

長方形ダイニングテーブルを丸型テーブルに変えると…

縦長リビング家具レイアウト4
カクカクと角があるテーブルよりも角が無いテーブルの方が開放感がアップして見えます。

丸型ダイニングテーブルを配置するのに、必要スペースは直径+75cm×2です。
長方形ダイニングテーブルの必要スペース

丸型ダイニングテーブルの必要スペース

縦長リビング家具レイアウト4のパース

全周に+75cmが必要な為、コンパクトさに欠けますが、チェアを十字に配置できる為、ダイニングとリビングのエリア分けが曖昧になり、広く見えます。

長方形ダイニングテーブルと丸型ダイニングテーブル
同じレイアウトでの長方形ダイニングテーブルと丸型ダイニングテーブルの比較

間口が長い方の壁に沿ってガラス製4人掛け丸型ダイニングテーブルと暗い茶色のレザー製2人掛けソファをレイアウト。

間口が長い方の壁に沿ってホワイトの4人掛け丸型ダイニングテーブルと薄いグレーの2人掛けソファをレイアウト。

間口が長い方の壁に沿ってホワイトの2人掛け丸型ダイニングテーブルと薄いグレーの3人掛けソファをレイアウト。

間口が長い方の壁に沿ってホワイトの丸型ダイニングテーブルとグレーの2人掛けソファをレイアウト。

間口が長い方の壁に沿ってホワイトの6人掛け丸型ダイニングテーブルとホワイトレザーの寝椅子付き3人掛けソファをレイアウト。(寝椅子はダイニング側)

間口が長い方の壁に沿ってホワイトの4人掛け丸型ダイニングテーブルと薄いグレーの寝椅子付き2人掛けソファをレイアウト。(寝椅子はダイニング側)

間口が長い方の壁に沿ってガラス製の4人掛け丸型ダイニングテーブルとホワイトの3人掛けソファをレイアウト。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③の丸型テーブルを窓側に置いた場合

レイアウト3のリビングとダイニングが逆(丸型テーブル)
レイアウト3のリビングとダイニングが逆(丸型テーブル)のパース
LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」が少なる為、開放感がやや減少します。

間口が長い方の壁を背に白っぽいアイボリーの寝椅子付き3人掛けソファ、窓側にホワイトの4人掛け丸型ダイニングテーブルをレイアウト。

【パターン2】LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」を重視したレイアウト

縦長リビングの「視線の抜け」を考える時、開口や窓など視線が壁によって遮られることが無い場所を探していくわけですが、掃き出し窓からカウンターキッチンに抜ける方向(⑧)も壁との距離が遠い場所です。
LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」

「ソファに座った時、目の前の壁との距離が遠ければ遠いほど、リラックスできる」を重視して、⑧の方向にソファを配置します。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」を重視したレイアウト①

カウンターキッチンと平行に長方形ダイニングテーブルをレイアウト。
ダイニングテーブルの周りは、人が通れるスペース(60~75cm)を4面に確保し、、掃き出し窓を背に2人掛けソファを配置。

テレビは、隣の部屋の出入口と反対にある壁面に。

長方形ダイニングテーブルの端がキッチンカウンターの端と同じ場所にある為、LDK入口からの「視線の抜け」がやや減少。

間口が長い方の壁にテーブルをくっつけてしまうと、チェアとテレビボードが干渉する為、壁とテーブルの間のスペースは必要。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」を重視したレイアウト②

カウンターキッチンと垂直に長方形ダイニングテーブルをレイアウト。
ダイニングテーブルは、キッチンの腰壁とくっつけて3方向のみ人が通れるようにし、掃き出し窓を背に2人掛けソファを配置。

テレビは、隣の部屋の出入口と反対にある壁面に。

隣の部屋の出入口前の床面に広く空いたスペースができ、開放感がアップ。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」を重視したレイアウト③

カウンターキッチンの前に丸型ダイニングテーブルをレイアウト。
周りに椅子を引くスペース(75cm)を確保し、掃き出し窓を背に2人掛けソファを配置。

テレビは、隣の部屋の出入口と反対にある壁面に。

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を十分に確保した開放感のある配置。

窓前ダイニングテーブルと窓前ソファで開放感が違うのは何故?

LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③の丸型テーブルを窓側に置いた場合と窓前にソファを置いた場合の見え方の違いを比較すると、同じように窓の前に家具があるにも関わらず、窓前ソファの方が広々と見えます。
窓前ソファと窓前ダイニングの比較

これは、それぞれの家具の床からの高さに原因があります。

上の配置を真横から見ると、窓前ダイニングはキッチン前が低く窓前が高く、窓前ソファは窓側に行くほど家具の高さが低くなっています。


つまり、窓前ソファは「遠くの物ほど小さく見える」自然の法則(遠近感)に従った配置なので、広く見えるのです。

【パターン3】カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト

キッチンカウンターからの視線の抜け
③⑦の視線の抜けを重視する為、ソファはキッチンカウンター前の腰壁を背に配置する。

このレイアウトは、ソファから壁までの距離を多く取ることで、ソファ前の圧迫感を少なくし、よりリラックスできるリビングを作ることをとしたレイアウトです。
(LDK入口から掃き出し窓への「視線の抜け」+「ソファからの視界」を重視したレイアウトのソファの位置を反対にしたレイアウト)

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト①

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト①
カウンターキッチンの腰壁に沿って壁と平行にソファをレイアウト。
掃き出し窓側に丸型テーブルを配置し、周囲に人が通れるスペース(75cm)を確保。
カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト①のパース
掃き出し窓とダイニングテーブルが被ってしまう為、ソファからの「視線の抜け」がやや減少。

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト②

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト②
カウンターキッチンの腰壁に沿って壁と平行にソファをレイアウト。
掃き出し窓側に長方形ダイニングテーブルをソファと平行に配置し、ダイニングテーブルの周りは、75cmのスペースを空け人が通れるように。
カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト②のパース
掃き出し窓とダイニングテーブルが被ってしまい、ダイニングチェアの背もたれが擁壁のように視界を遮る為、ソファからの「視線の抜け」が減少。

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③

カウンターキッチンの腰壁に沿って壁と平行にソファをレイアウト。
掃き出し窓側に長方形ダイニングテーブルをソファと直角に配置し、ダイニングテーブルの周りは、短い面を窓とくっつけて3方向のみ人が通れるように。
カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視したレイアウト③のパース
掃き出し窓とダイニングテーブルが被ってしまっているが、視線の方向とダイニングテーブルの長手が同じなので、開放感がある。

カウンターキッチン前の壁から掃き出し窓への「視線の抜け」を重視してキッチンカウンター前にソファを配置する場合は、レイアウト③がもっとも開放感がある。(※掃き出し窓の大きさと位置による)

「ガラス」「透明」などの素材、「パネルになっていない背もたれ」などデザインにも注意して、視線の先にあるダイニングテーブルやダイニングチェアの存在感を消すことが開放感アップの鍵になります。
ガラス製のダイニングテーブルと透け感デザインのダイニングチェア



いかがでしたか?

「広く見える」をテーマにして縦長リビングの家具レイアウトを紹介しましたが、参考になったでしょうか。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、このページでは、リビングダイニングの中央に間仕切りのようにソファを置くレイアウトを紹介していません。

その理由は、ソファがダイニングエリアとリビングエリアを分断し「広く見える」レイアウトとは少し違う気がするからです。
リビングダイニングの中央に間仕切りのようにソファを置くレイアウト

また、今回はI型ソファのみの紹介でしたが、座面と背もたれが2方向に伸びるコーナーソファや寝椅子付きソファの場合は、違った見え方になってきます。

縦長リビングでのコーナーソファや寝椅子付きソファの組み合わせ方は、次の機会に解説します。

レイアウトカテゴリの最新記事