ソファは家具の中でも大型です。
座るスペースに加え、ゆったりと背中を預けることができる背もたれ、腕を乗せる肘掛けなどがそれぞれ10cm以上あるデザインが多く、くつろぎのスペースに必要な家具でありながら、結構なスペースを取ります。
そして、このソファ。「部屋のどこに置くかによって、部屋が広く見えたり、狭く見えたりする」のをご存知ですか。
部屋は、3面ないし、4面の壁に囲まれた限りのあるスペースです。
もし、ソファを今から新調するなら、ソファの決め方を「2人で座るから」「この壁の幅にぴったりだから」「セールで安いから」という理由だけでなく、「広く見えるから」も加えてみえましょう。
ベースとなる部屋の大きさとソファを
- リビング6畳/リビング8畳
- 掃き出し窓1箇所
- 2人掛けソファ/寝椅子ソファ
として、広く見えるソファの置き方を紹介しますので、レイアウトのヒントにしてください。
広く見えるソファの置き方
ソファは、コンパクトなデザインでも2人掛けで幅150cm・奥行が90cm程度です。「幅がもっと狭いソファを置けば良いのでは?」とも思いますが、人ひとりが十分にくつろげるスペースを確保しようと思うと、幅75cm(※一人分)は欲しいところです。
- 2人掛けソファ:幅190cm 奥行95cm 高さ83cm
- 寝椅子付きソファ:幅252cm 奥行98cm(寝椅子がない方)/164cm(寝椅子部分) 高さ83cm
として、広く見えるレイアウトを考えていきましょう。
【絶対に外せない基本】光の侵入をソファで妨げない
ソファを置くリビングは、家の中で最も良い場所にあり、「外(庭)が見える」「陽当たりが良い」など、大きな窓を設置して開放的な空間にするのが一般的です。そして、リビングは、2面ないし、3面ないし、4面の壁に囲まれています。
ソファの置き場所を考える時、まず、壁がある場所を探してしまいがちですが、広く見えるソファレイアウトの基本的な考え方は、窓から入る光をソファの背もたれ・寝椅子・肘掛けで遮らない場所を探すことです。
窓には、ベランダやテラスに通じる出入りができる掃き出し窓(テラス窓)や換気のための腰窓(腰から上にある窓)があり、室内に光を届ける重要な役割を果たしています。狭い部屋では、光が室内全体に行き届いているだけで、開放的な印象になり、広く見える為、ソファで、この開放感を消してしまわないようなレイアウトを考えることが必要です。
窓がある壁と直角の壁にソファを置く場合は、窓横の壁とソファの肘掛けが重なるようにレイアウトします。
窓横の壁とソファの肘掛けを重ねるようにレイアウトしたメリハリのある北欧スタイルのリビングダイニング。
窓横の壁とソファの肘掛けを重ねるようにレイアウトしたエレガントな印象のリビングダイニング。
ソファは、光の侵入を妨げない場所に置くことはもちろんのこと、光の侵入口から一番遠い場所に置くことで、部屋全体の明るさを保つこともできます。
リビングエリアにある掃き出し窓に向かって、グレーの2人掛けソファをレイアウトした北欧スタイルのリビングダイニング。
リビングエリアにある大きなテラス窓に向かって、オレンジっぽい、くすんだ赤の寝椅子付き2人掛けソファをレイアウトしたリビングダイニング。
リビングダイニングの2箇所ある掃き出し窓の間の壁に向かって、くすんだブルーの2人掛けソファをレイアウトしたリビングダイニング。
リビングスペースの大きな掃き出し窓とダイニングスペースに向かって、グレーのコーナーソファをレイアウトした、かっこいいリビングダイニング。
光の行き届いた部屋が広く見える理由は、下記で詳しく解説しています。
狭い部屋を広く見せる18の方法と具体的なインテリアコーディネート実例
【広く見える置き方①】壁に沿って置く
壁に沿ってソファを置くと、広く見えます。
理由は、ソファを壁に寄せて置くことで、ソファがないスペースに「大きなまとまり」ができる為です。
窓がない2面の壁に沿って、グレーの大きなコーナーソファをレイアウトし、ソファの前に大きなスペースを取ったリビング。
窓横の壁と壁にぴったりと薄めのグレーの2人掛けソファをレイアウトした狭いリビング。
窓横の壁とぴったりにグレーの寝椅子付き2人掛けソファをレイアウトし、ソファの前に大きなスペースを取ったリビングダイニング。
窓がない壁と通路側の壁を背に、少し通路にはみ出すように、グレーのコーナーソファをレイアウトし、ソファの前に大きなスペースを取ったリビング。
【広く見える置き方②】ソファと肘掛けの間にスペースを取る
部屋の角にソファを置く場合は、肘掛けや寝椅子と壁の間に、スペースを取ると広く見えます。
理由は、「壁とピッタリとくっついていない=壁の位置が曖昧」になるからです。
例えば、壁と肘掛けや寝椅子をピッタリとくっつけた場合、接している面が「壁の終わり」であることが一目瞭然ですが、隙間があると「1つの壁がどこまであり、もう一つの壁がどこまであるか」がわかりにくくなります。(2つの壁の色が同じであることが前提です。)
また、隙間を開けたレイアウトは、ソファの角と部屋の角がずれるので、ソファの後ろの壁が奥まで続いているような印象になります。
ちなみにお掃除ロボットを活用する場合は、40cm程度の隙間を開けて置くとソファと壁の間も自動的に掃除してくれるようです。
壁との間に少し隙間をあけ、グレーの2人掛けソファをレイアウトした北欧スタイルのリビング。
大きな掃き出し窓にホワイトのレースカーテンを下げ、カーテンの前に少しスペースをあけてL字に、薄いグレーの2人掛けソファをレイアウトした開放感のあるリビング。
大きな掃き出し窓にグレーのカーテンを下げ、カーテンの前にスペースをあけてL字に、ダークブラウンレザーの3人掛けソファをレイアウトしたリビング。
空いたスペースに、観葉植物を置くと癒し感がアップして見えます。
また、このスペースにフロアランプなどの照明器具を置いて、影になりやすい隅っこを明るくすると、広く見えます。
窓前にスペースをあけてベージュのコーナーソファを配置し、ソファと窓の間に、ホワイトシェードのテーブルランプをレイアウト。
窓から少し離れた位置に、ライトグレーの寝椅子付き2人掛けソファを配置し、寝椅子と窓の間に、ホワイトシェードのフロアランプをレイアウト。
テラス窓横の壁からスペースを取ってグレーの2人掛けソファを配置し、ソファと壁の間に乳白色の丸いシェードのフロアランプをレイアウト。
テラス窓から少し離してグレイッシュな暗めのブラウンの寝椅子付き2人掛けソファを配置し、寝椅子と窓の間に、ブラック金属のコンパクトなフロアランプをレイアウト。
【広く見える置き方③】ソファの周囲に空間をあける
ソファの肘掛けや寝椅子と壁の間だけでなく、背もたれの後ろにもスペースを作ると、広く見えます。
ソファの背中側や左右に、スペースを取ると「中央にギュッと家具が詰まった印象になる為、窮屈に見えたり、狭く見えるのでは?」と思いがちですが、この「広く見える」の原理は、「【広く見える置き方②】ソファと肘掛けの間に空間をあける」と同じです。
- ソファの角と壁の角がずれる為「壁がどこからどこまであるのか」が推定しにくい。
- 場合によっては、ソファと壁の間にスペースの余裕があるように見える。
このような理由から、広く見えるのです。
ただし、周囲に人が通れるスペースを確保する場合は60cm程度必要です。ソファの周りをぐるりと人が通れるようなレイアウトにするには、ソファの幅+60cmが2箇所、ソファの奥行+60cmが1箇所必要になります。
腰窓が2箇所あるリビングの窓同士の間の壁とソファの奥行を合わせてL字にレイアウトし、背面と左右にスペースを取ったリビング。
大きな窓がある壁とL字に、濃いめの3人掛けフロアソファをレイアウトし、背面と左右にスペースを取った北欧スタイルのリビング。
リビングダイニングが一つの空間にある間取りのリビングスペースの中央に、ソファやラグをギュッとまとめ、周りにスペースを取った北欧スタイルのインテリア。
長い面に、腰窓と掃き出し窓があるLDKの窓と窓の間の壁とL字に、グレーの2人掛けソファをレイアウトし、ソファの左右と背面に通路スペースを取ったインテリア。(背面はダイニングスペース。)窓ごとにカーテンを下げず、腰窓と・壁・掃き出し窓の全部を覆うように天付けのカーテンレールを取り付けて、大きな窓があるような錯覚を起こすコーディネートの仕方にも注目。
ダイニングキッチンを背に、赤みがかったベージュの寝椅子付きソファをレイアウト。寝椅子の横に通路スペース、ソファと窓の横に人が入れるくらいのスペースを確保。テレビボードを浅型デザイン、コーヒーテーブルをコンパクトデザインにして、窮屈な印象を少なめにした北欧スタイルのインテリア。
ソファの背面と左右に通路スペースを確保したナチュラルな北欧スタイルのリビングダイニング。
「ソファを壁より前に置くと、テレビとの距離が近くなってしまい、テレビが見にくいのでは?」と思われるかもですが、テレビの最適な視聴距離の目安は、4Kテレビでテレビの画面高×1.5です。
視聴距離の目安を具体的に挙げると48型のテレビで0.9m〜、55型のテレビで1.0m〜、65型のテレビで1.2m〜となっていて、6畳や8畳の一般的な広さのリビングの場合の視聴距離の目安は、約1mほどです。(後悔しないテレビサイズの選び方(SONY)より)
テレビとソファの間が狭過ぎても、「コンパクトなテーブルを置く」「テーブルを無しにする」「テレビを壁掛けにしてテレビボードをなしにする」など、ソファ以外の家具の選び方やレイアウトの仕方を工夫すれば、テレビとソファの距離を縮めることは可能です。
いかがでしたか。
広く見えるソファの置き方の基本とレイアウトの仕方のコツがわかったでしょうか。
難しいと感じ方は、まず、「外の光をソファの正面が受けるようなレイアウト(ソファと掃き出し窓が向かい合わせになるようなレイアウト)」ができるかを考えます。このレイアウトが可能なら、そのまま続行し、不可能なようでしたら②や③を検討してみましょう。
最後に、広く見えるようにソファを置いても、色使いを間違えると狭く見えてしまいます。
広く見える色使いについて知りたい方は、下記をご覧ください。