広々とした開放的な空間でゆったりとした生活に憧れるけれど、現実は、「住人が最低限おさまる程度の広さの住まいで生活している」という方がほとんどではないでしょうか。
大人数で座れる大型ソファ・ゆったりとくつろげるラウンジチェア・たっぷりと物を収納できる家具を置くことができる、広さに余裕のある部屋なら、どんな色を選ぼうが、どんな家具を置こうが大して問題ありませんが、私たちの多くは、ごく一般的な広さの住まいに住んでいて限られた広さの中で快適に生活をする必要があります。
「リビングが物理的に狭い。」
「リビングダイニングに家具をレイアウトすると狭く見えそう。」
なんて場合は、特に、広く見えるポイントを駆使してインテリアを作り上げる必要があります。
このコラムでは、何も家具を置いていない状態から、広く見える色・広く見える家具デザイン・広く見える家具レイアウトを中心にコーディネートのコツを紹介していきますので、参考にしてください。
- 1. ①床色を薄い茶色にする
- 2. ②壁色をホワイトにする
- 3. ③全体的に白っぽい色でカラーコーディネートする
- 4. ④ラグを敷かない
- 5. ⑤リビングテーブルを置かない
- 6. ⑥ボリュームの少ないソファやチェアを使う
- 7. ⑦脚のついた家具で床を多く見せる
- 8. ⑧壁面固定式の家具で床を多く見せる
- 9. ⑨壁掛けテレビ&テレビボード無にする
- 10. ⑩背の低い家具で壁面を多く見せる
- 11. ⑪クリア素材の存在感のない家具を使う
- 12. ⑫壁色と家具の色を合わせる
- 13. ⑬同じ位置に隙間を作る
- 14. ⑭ソファと壁の間に隙間(通路)を作る
- 15. ⑮部屋の隅を明るくする
- 16. ⑯大きな物を飾る
- 17. ⑰天井ギリギリにカーテンをつける
- 18. ⑱ミラーを飾る
①床色を薄い茶色にする
床の色は、部屋の広さの感覚に大きな影響を与えます。床の色は、濃い色よりも、薄い色の方が広く見えます。
同じ面積で、同じ色の家具とカーテンをコーディネートしたリビングの床の色と家具の色を変えて、見え方を比較してみましょう。(床と家具は同じ色です。)
一番下の薄い茶色の床のリビングが一番広く見えますよね。濃い色の床は高級感があり、かっこいい印象に見えますが、「広く見える」に重点を置いて床色を選ぶ場合は、薄い茶色を選ぶのがベストです。
床の色が濃く、費用を掛けて色替えをすることができない場合は、白っぽい色のラグを敷きましょう。
②壁色をホワイトにする
壁の色(天井の色含む)は、部屋の中で一番広く、立っていても座っていても目に入る場所です。
ホワイトの壁にすると、光を反射する為、部屋全体が明るく見えます。明るい空間は、広く見える効果もある為、狭い部屋や広く見せたい部屋は、壁紙をホワイトでまとめましょう。
白っぽいベージュや白っぽいグレーの壁紙でもOKです。
白っぽいベージュの壁紙の部屋は、柔らかさや温かみがあり、リラックスできる空間、白っぽいグレーの壁紙の部屋は、スッキリ感や冷たさがあり、生活感の少ない空間を演出します。
③全体的に白っぽい色でカラーコーディネートする
ソファ・ラグ・カーテン・テーブル・収納家具などは、できるだけ白っぽい色を選んで、光を反射させ、明るく広々と感じるインテリアにします。
床と家具の色を明るい茶色のナチュラルブラウン、ソファとラグを白っぽいグレー、壁紙を白っぽいベージュでまとめた北欧インテリア。
ダイニングの家具をホワイト、リビングの家具を薄いベージュでまとめた狭いリビングダイニング。
床の色が濃い(暗い)場合でも、家具・ラグ・カーテンを白っぽい色でコーディネートすると、圧迫感を感じにくい空間になります。
濃い茶色の床、ベージュのラグ、アイボリーのソファ&オットマンテーブル&ラウンジチェア、ホワイトの収納家具をコーディネートしたクラシカルなリビング。
濃いめの茶色の床、ホワイトのダイニングテーブルとダイニングチェア、ナチュラルブラウンの収納家具とテレビボード、薄いグレーのソファ、ベージュのパターン柄のラグをコーディネートした北欧リビングダイニング。
黒っぽい濃い茶色の床、グレーのソファ、ホワイトのダイニングテーブル・ダイニングチェア・ラグ、淡いベージュの壁紙をコーディネートしたリビングダイニング。
全体的に淡い色でコーディネートしたインテリアを見て、「ありきたり過ぎる。」「好みではない。」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
せっかくインテリアを自由に作ることができるのだから、狭い空間でも、好きな物を取り入れたいという場合は、下記の2点を参考にしてみてください。
濃い色の壁紙を狭い部屋に使う場合は、物を小さく見せる「後退色」を活用して、視覚的に奥行を出す工夫をします。
ポイントは、「遠くに見せたい壁に、後退色の壁紙を貼る」です。この場合、必然的にアクセントクロスとなります。
濃い色のソファをインテリアの中に取り入れる場合も同様です。「後退色」のソファを使うことで、ソファを小さく見せることができます。
後退色を活用したインテリア-狭い部屋を広く見せる色の選び方&使い方&実例30選
パターン柄の壁紙は、のっぺりとした印象の壁に、表情をつけてくれます。隣同士に来る壁に、パターンが繋がるように壁紙を貼ると、2面の壁が繋がっているように見え、目の錯覚で1つの壁に見えることがあります。また、複雑な幾何学模様やパターン柄は、一面の壁の終わりともう一面の壁の始まりを曖昧にする為、空間の広さを認識しにくくといった効果があります。
グレー×ブラック×ホワイトのエレガントな大きな花柄の壁紙を2面の壁に貼って、壁の境目を曖昧にしたダイニング。
部屋を広く見せる!色を効果的に活用したテクニック8つ&狭い・広い比較
④ラグを敷かない
ソファの下や前に「足触りを良くする」「床の傷防止」「床の汚れ防止」「床に直に寝転ぶ」などの目的でラグを敷くことがありますが、ラグは、「リビングはここから」というような、視覚的なエリアを作ってしまい、狭い部屋が余計に狭く見えてしまうことがあります。
また、床(フローリング)には、壁や窓と並行に走る線が何本も入っていて、この線が視覚的な広さを演出しています。
ラグを敷くと、この線が途中で切れてしまう為、開放感が少なくなってしまいます。
薄めの茶色のフローリングの狭いリビングダイニングに、グレージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ブラック金属フレーム脚と茶色の木製天板を組み合わせたシンプルなデザインの長方形コーヒーテーブル、ソファと対面に、暗めのイエローのファブリック製アームチェアを2脚をレイアウト。テレビボードも収納なしのシンプルデザインにして、開放的な空間を演出したインテリア。
グレーのフローリングのリビングダイニングに、モダンなデザインの黒の寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、茶色の木製脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。リビングの前からダイニングの前までフローリングの流れるような木目を見せて広々とした印象をアップしたインテリア。
どうしてもラグを敷きたい場合は、床に似た色のラグを選定して、エリアの境界線を曖昧にしましょう。
グレージュのフローリングの上にグレージュのラグをコーディネートした北欧リビング。
⑤リビングテーブルを置かない
どんな狭いリビングでも、くつろぎに欠かせない家具=ソファを置くのが一般的です。
ソファをレイアウトする時、当たり前のように、ソファと平行に長方形のテーブルを置こうとしていませんか?
リビングテーブルは、整った印象のリビング空間を演出しますが、テーブル自体が物置台と化してしまう場合もあります。リビングでは、ダイニングのように、たくさんの食器を並べる必要がない為、「リビングテーブルで何をするのか?」「何のためにテーブルが必要なのか?」をよく考えてみましょう。
リビングテーブルは、狭い部屋の床を占領する家具です。
リビングテーブルを滅多に使わないなら、サイドテーブルを活用するなどして、ソファの前のテーブルを無しにして広く空いたスペースを作ってみましょう。
ソファの前に、ラグだけを敷いたリビング。
ソファとテレビボードの間に、曲線デザインのコンパクトなムートンラグだけを敷いたリビング。
ソファの前に、テーブルがないと広く見えますが、ソファに座ったままで、テレビのリモコンやスマホを操作したいという方もいらっしゃるでしょう。ソファの肘掛けの上や床の上に置くこともできますが、「腕が当たって落ちてしまう。」「手を伸ばさないと届かない。」といったような使い勝手の悪さが考えられます。
ソファの前に、広いスペースを確保しつつ、物を置くことができる家具に、サイドテーブルがあります。サイドテーブルは、丸型・長方形など様々なデザインがあり、ソファの前や横に置くコンパクトな家具なので、圧迫感もありません。
寝椅子付きソファの寝椅子の前と肘掛けの隣に、コンパクトな長方形サイドテーブルを置いた狭いリビング。
フロアコーナーソファの肘掛けの隣に、それぞれコンパクトでシンプルなデザインのサイドテーブルを置いたリビング。
リビングテーブルを無orコンパクト仕様で広々インテリア実例40選
⑥ボリュームの少ないソファやチェアを使う
くつろぎ空間には座る家具、つまり、ソファやチェアが欠かせません。
ソファやチェアは、背もたれや座面、肘掛けのボリュームや有無によってサイズが異なります。どっしりとした存在感のあるデザインのソファやチェアは、くつろぎ感がアップして見えますが、狭い部屋では、床や壁面を隠してしまい、狭い空間を余計に狭く見せてしまうこともあります。
広く見せるには「ボリューム感のないデザインを選ぶこと」です。特に、ラウンジチェア(ソファとは別に置く、くつろぎのための椅子)をリビングとダイニングの間に置く場合は、ボリュームのあるデザインを選んでしまうと、視界を遮り、余裕のない印象を与えてしまいます。
くつろげないソファやチェアは論外ですが、しっかりと体を預けることができるなら、圧迫感のないデザインを選ぶようにしましょう。
ダイニングチェアをワイヤー素材や背もたれのないベンチにして、壁面や床を多く見せたダイニング。
ソファを肘掛けのない寝椅子付き2人掛けソファにして、すっきりと見せた狭いオープンリビング。
⑦脚のついた家具で床を多く見せる
ソファ・収納家具・テレビボードなど床面に置く家具は、脚のついたデザインを選ぶと座面やキャビネットが浮いているように見え、広々とした印象になります。
また、床と家具の間に隙間ができると、床の終わりが家具の奥行き分延びる為、開放的な印象がアップして見えます。
グレージュのフローリング、白っぽいグレーのラグ、長い脚のついた白っぽいベージュのコーナーソファ、黒の木目の脚を十字に組んだ丸型テーブルをコーディネートしたオープンリビング。
くすんだナチュラルブラウンのフローリング、ベージュのラグ、シルバー金属の逆三角形脚とグレーの三角形天板を組み合わせたリビングテーブル、ナチュラルブラウンの木製脚とグレーの座面を組み合わせた2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
くすんだ薄めの茶色のフローリングとフローリングと似た明るさの木目の脚付きのテレビボードをコーディネートしたリビング。
⑧壁面固定式の家具で床を多く見せる
脚のついた家具と似たデザインに、壁面固定式の家具(フロート家具)があります。
脚のついた家具を置く場合と同様に、「家具が浮いているように見える。」「床の終わりが家具の前ではなく、家具の後ろの壁面になる。」の理由から、床に直置きする脚のない家具よりも広さを感じる空間を演出することができます。
※取り付けたい位置の壁面に下地がちゃんとあることが前提です。
ナチュラルブラウンのフローリングとグレージュの壁紙のリビングの掃き出し窓横の壁に、ホワイトのキャビネット×ホワイト扉×薄い茶色の木目のオープンボックスの横長のテレビボードをハンギング。
薄めの茶色のフローリングのリビングの壁面に、床色より少し明るめの木目のシンプルなテレビボードと細かい仕切りがついた縦長のオープンラックをハンギング。
⑨壁掛けテレビ&テレビボード無にする
テレビボードは、テレビを置くための家具という役割の他に、録画機器やソフトの収納場所でもあります。
テレビボードは、部屋の狭さに関係なく、液晶テレビの幅よりやや大きいサイズを選ぶのが一般的です。また、テレビボードの奥行きは、最低でも30cm程度なので、壁面から30cm分家具が飛び出します。
近年は、アマゾンプライムビデオ、Netflixなどの普及により、録画機器を必要としない家庭も増えています。「テレビを録画しない。」「ソフトを収納できる家具は必要ない。」という場合は、テレビを壁面に取り付けて、下にテレビボードを置かずに、床面を壁いっぱいまで見せる方法があります。
テレビボードのない部屋は、床と壁を覆う家具が一つ減る為、床の見える面積が増える為、広く感じます。
窓横のコーナー付近に、液晶テレビを壁掛けにしたリビングダイニング。ソファの正面は、ダイニング。狭いリビングスペースであるにも関わらず、テレビを壁掛けにすることで、ソファに加え、ラウンジチェア2脚もレイアウト。
対面キッチンがあるリビングの腰壁側のコーナーに壁掛けテレビを窓にかからないようにハンギング。デッドスペースになりやすい部屋の隅の壁面にテレビをコンパクトに配置して、テレビの対角線状に、大きめのコーナーソファをレイアウト。
ソファの正面の壁面に液晶テレビをハンギング。テレビの下に家具がない為、床面がたっぷり見え、壁面もすっきり。
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⑩背の低い家具で壁面を多く見せる
脚のついた家具とは反対に、脚の無い家具や背の低い家具をコーディネートすると、壁面が多く見えるようになります。家具の上部の壁面が多く見えると、天井が高く見え、開放感がアップします。
窓側のコーナーに、肘掛けのない箱みたいなデザインの脚の無い2人掛けソファをレイアウトしたリビングダイニング。
黒のフローリングの上に、薄いグレーのシャギーラグを敷き、脚の無い薄いグレーの寝椅子付き2人掛けソファをレイアウト。ソファの前に、シルバー金属の短い脚と黒っぽいダークブラウンの木製天板を組み合わせた長方形ローテーブルを配置。
ダークブラウンのフローリングの上に、くすんだベージュのシャギーラグを敷き、脚の無い白っぽいベージュの寝椅子付き2人掛けソファをレイアウト。ソファの前に、シルバー金属の短い脚とブラックの木目天板を組み合わせたモダンなデザインの長方形ローテーブルを配置。
⑪クリア素材の存在感のない家具を使う
家具には、木・レザー・ファブリック・金属など、さまざまな素材を使ったものがあります。
狭い部屋では、家具の数が多ければ多いほど、さまざまな色と素材が混在する為、淡い色でまとめても狭い印象になってしまうことがあります。
テーブルやチェアには、透明な素材を使ったデザインがあり、これを使うと、床や後ろの壁が透けて見え、まるで家具がないような空間になり、広々とした印象になります。
ダークブラウンのフローリング、薄いベージュの壁紙、ベージュのシャギーラグ、白っぽいグレーの2人掛けソファ、クリア素材の長方形コーヒーテーブルをコーディネートしたリビング。
茶色のフローリング、グレージュの壁紙、クリア素材のパネル脚とダークブラウンの木目の厚みのある長方形天板を組み合わせたダイニングテーブル、シルバー金属脚とクリア素材の座面を組み合わせたダイニングチェアをコーディネートしたリビングダイニング。
グレー×ベージュの大判タイル床、ベージュレザーの2人掛けソファ、グリーン×赤のボーダー柄のラグ、茶色の木製脚とクリア素材の座面を組み合わせたイームズシェルアームチェア2脚、ブラウンの木製丸型サイドテーブルをコーディネートしたリビング。
⑫壁色と家具の色を合わせる
ソファや収納家具を壁の前(壁を背)にレイアウトする場合は、「壁紙が何色か」を考えてから、色を決めます。
その理由は、壁を背にレイアウトするソファや収納家具の色を壁色と同じにすることで、ソファや家具と壁が一体化して見え、広々とした印象になるからです。
上の2つのリビングは、「濃いめの茶色」「白っぽいグレー」とソファの色だけが違います。
ソファの色を背面の壁色と同じにした白っぽいグレーのソファを置いたリビングの方が、開放感がアップして見えます。後退色の壁紙と後退色のソファの組み合わせでも、同様の効果が期待できますので、「狭い部屋では、壁の色とソファや家具の色を合わせる」と覚えておきましょう。
ホワイトの壁と白っぽいライトグレーの寝椅子付き2人掛けソファ、モダンなデザインのホワイトのテレビボードをコーディネートしたリビング。
白っぽいベージュの壁紙とベージュの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
くすんだ暗いブルーのアクセントクロスと暗いブルーの2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
ホワイトの壁紙とホワイトのモダンデザインの脚のないテレビボードと収納家具をコーディネートした狭いリビング。
⑬同じ位置に隙間を作る
リビングスペースとダイニングスペースが仕切り壁の無い同じ空間にあるような間取りでは、ソファの位置とダイニングテーブルの位置を揃えて、リビングとダイニングの同じ場所に隙間(通路スペース)を作ると広々とした印象になります。
例えば、下の正方形に近いリビングダイニングは、ソファをスペースの中心付近に、ダイニングテーブルを壁に寄せ気味にレイアウトしてあり、中央(背もたれの後ろ)に、人が通ることができる通路スペースが取ってあります。
この場合、大きな空間(隙間)は、ソファの後ろの正方形に近いスペース・中央の通路スペース・ダイニングの隣の長方形に近いスペースの3箇所となり、「空いている場所に家具をレイアウトした」という印象が強く、開放感が少なめです。
部屋の形やキッチン・ドアの位置、動線にもよりますが、同じ場所に隙間(空間)があるレイアウトを考えてみましょう。
ダイニングテーブルの短い方の面とソファの背もたれを同じ壁面にひっつけてレイアウトし、家具のないスペースを広く取ったリビングダイニング。
ダイニングテーブルの幅とソファの奥行きを同じ位置に揃えてレイアウトし、一直線の幅の広い通路スペースを取った長細いリビングダイニング。
⑭ソファと壁の間に隙間(通路)を作る
「狭い部屋では、家具を壁に沿うようにレイアウトし、中心に広くまとまったスペースを作ると、広く見える。」
このように解説してあるコラムもあります。しかしながら、中心にある広いスペースは、何のためにあるのでしょう?ソファの前にある広い空間は、“何もない無駄なスペース”という捉え方もできます。
特に、ソファと収納家具を向かい合う壁面ぴったりにレイアウトすると、そこに壁があることが強調され、狭さを助長してしまいます。ソファの前に、大きなスペースが必要ないなら、ソファを壁から離して、ソファの後ろに空間を作ってみましょう。
ソファの後ろに、窓に移動できる通路スペースを作ったリビングダイニング。
ソファの後ろにスペースを取り、奥行きの浅いコンソールテーブルを置いて、ディスプレイコーナーにしたリビング。
⑮部屋の隅を明るくする
狭い部屋に照明1個。しかも天井についた丸いシーリングライトのみ。
このような空間は、光が部屋の端まで行き届かず、隅に影ができて余計に狭く見えます。
- 部屋の隅まで光が届く照明計画(リフォームやリノベーションの場合で照明配線を変える場合のみ)
- コーナーにフロアランプを置く
などして、空間全体に光が届く照明配置を考え、コーナーが影にならないように工夫しましょう。
コーナーのフロアランプは、光の陰影を作り出し、奥行を出す意味でも効果的です。
ダウンライト6灯、ペンダントランプ2灯、フロアランプ1灯で空間を明るくした狭いリビング。
掃き出し窓がある壁面を照明で照らし、造り付けのテレビボードの中にも間接照明を入れて、奥行感を出したリビングダイニング。
ソファの横に置いたテーブルランプを使って掃き出し窓横のコーナーの天井と壁を照らし、開放的な印象をアップしたリビングダイニング。
⑯大きな物を飾る
「狭い部屋に、大きな物を飾ると余計に狭くなるのでは?」と思いがちですが、大きなオブジェ・花瓶・アート(写真)は、「視線を集める」という意味で効果があります。
「狭い部屋の壁に飾ってある大きな絵」や「狭い部屋の隅にある背の高い観葉植物」は、その空間に入って一番に目に入るものなので、部屋の狭さを撹乱します。
特に淡い色でまとめた空間では、壁面に馴染むアートよりも、目立つ色を使ったアートを飾る方が、より効果的です。
狭いリビングダイニングのリビング側の壁面に、ホワイト×水色×イエローのぼんやりとした印象のアートをディスプレイ。ソファの上にも、アートと同じ色のクッションを置いて、まとまりのある空間を演出。
狭いリビングの一番奥のコーナーに、ピンクの背の高い枝付きの小花を花柄の花瓶に入れてディスプレイ。ラグとラウンジチェアもピンクに。
ホワイトやベージュでまとめた淡い配色の狭いリビングの壁面に、背の高い観葉植物とイエロー×ブラックの大きなアートをディスプレイ。
薄いグレーとホワイトでまとめた狭めのリビングのソファ背面の壁に、ブラック×イエロー×水色×赤のヴィンテージ風のかっこいい大きなアートをディスプレイ。ソファ用クッションを暗い赤・暗い青・暗めのイエローでまとめ、暗い青の丸型スツールと黒のチェアをレイアウト。ダークカラーをポイントに取り入れて高級感をアップしたインテリア。
⑰天井ギリギリにカーテンをつける
外からの光を遮る為、目隠し、遮光や遮熱などの目的で窓に下げるカーテン。
レール位置を自由に決めることができる場合は、窓の少し上よりも天井に近い位置にカーテンレールをつけた方が天井が高く見え、大きな窓がついているような錯覚を起こし、広々とした印象になります。
また、腰窓(窓の下に壁がある引き違い窓など)のカーテンは、窓の高さに合わせた長さではなく、床付近まで長く下げると、大きな窓があるような印象になり、開放感がアップして見えます。
カーテンは、ふんわりとしたデザインよりもシャープなデザインの方が効果的です。
掃き出し窓に、カーテンレールの埋め込みスペースを作り、天井より高い位置からカーテンを下げたリビング。
腰窓上の天井付近に、ブラックの装飾カーテンレールを取り付け、床付近まである長いカーテンを下げた狭いリビング。
掃き出し窓上に、カーテンレールの埋め込みスペースを作り、レールが見えないようにして、カーテンを下げた狭いリビング。
【比較写真付】カーテンレールの取り付け位置解説と窓周りの印象の違い
⑱ミラーを飾る
ミラー(鏡)は、光を反射するインテリアアイテムです。狭い部屋の影になる壁面に飾ると、室内が明るくなり、広く感じよます。
また、ミラー(鏡)は、反対側の壁面を映し出すため、実際の壁よりも奥行があるように見え、広く感じるインテリアを作ることができます。
リビングとダイニングの間の幅の広い柱型に、縦長の大きなミラーを立てかけた狭いリビングダイニング。
ダイニング横のコーナーに、ダークブラウンの太い木目フレームの縦長ミラーを立てかけた狭いリビングダイニング。
ワークスペースがある狭いリビングの2箇所ある上げ下げ窓の間の壁に、薄いブラウンの木目フレームのシンプルな縦長ミラーをフックを使ってハンギング。
いかがでしたか。
狭い部屋も工夫の仕方一つで広く見せることができるのが、伝わったでしょうか。
このコラムで紹介した18個の方法は、「全部を使って広く見せる」というわけではありません。
例えば、「⑦脚の長い家具で床を多く見せる」と「⑨背の低い家具で壁面を多く見せる」は、それぞれ違うデザインの家具です。
18個の中から、いくつかを選んで組み合わせることで、圧迫感の少ない広々とした印象の部屋を作ることができます。
また、家具の選び方に特化して、下記でも詳しく解説していますので、時間のある方は、ご覧ください。