快適な寝室インテリア作りに欠かせない照明器具計画。
部屋全体を照らす照明器具として、ペタっとした「シーリングライト」や数カ所に散りばめて埋め込んだ「ダウンライト」があります。これらの照明は、どちらも天井につける器具で寝室全体を明るくするのが目的です。その為、取り付け位置によっては、ベッドに横になった時、「照明が眩しすぎる」という弊害が起こる可能性もあります。
寝室の目的は、眠る場所です。
「眠る時以外、寝室を使うことがない」という場合は、寝室全体を照明器具の力を使って明るくする必要はありません。
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そんな時、照明器具の一つのデザインとして取り入れたいのが「間接照明」です。
「間接照明のある寝室」と聞くと、ホテルの個室や専門家がデザインしたラグジュアリーなベッドルームを思い浮かべてしまいますが、近年、寝室に収納を設けない間取りも増えている為、間接照明のある寝室は、一般家庭にも浸透してきています。
間接照明の基礎知識・デザイン・レイアウトの仕方・インテリア例を紹介していきますので、おしゃれな寝室作りのヒントにして下さい。
間接照明を寝室に使う時の基礎知識
そもそも間接照明とは何?
間接照明と部屋を明るくする一般的な照明との大きな違いは、「どこを照らすか」です。
- 間接照明:壁や天井などに反射させて空間全体を明るくする照明
- 直接照明(一般的に使う照明):床や手元など、明るさが欲しいところを照らす照明
近年は、各個室に収納スペースを設けずに、家の中に、ファミリークローク(ファミリークローゼット・ファミクロ)を設ける間取りが人気です。
寝室に洋服を入れる収納がない場合、寝室を全体的に明るくする必要はありません。
寝室を「寝るだけの部屋」と考えると、間接照明のぼんやりとした光だけで適度な明るさを得ることができます。
間接照明のメリット5つ
- 眩しくない
- 優しい印象
- 広く見える
- 美しく見える
- 素材感を際立たせる
寝室は心を穏やかに体を休めることを目的とする部屋です。眩しくない光・優しい光は目への刺激が弱く、光が直接目に入ることで目がランランとしてしまうのを軽減します。
また、適度な広さを感じたり、美しく見える寝室は、入眠前のリラックス効果にも期待できます。
壁面にエコカラットやストーン調のタイルなど凸凹した素材を施した装飾感のある寝室の場合は、間接照明とのコンビネーションで、美しい陰影が際立って見え、ワンランク上のホテルのような上質な空間を演出することができます。
間接照明にはどんな器具がある?
間接照明には、下記の4つのデザイン(取り付け方)があります。
①フロアライト・フロアランプ
床に置く照明器具でコンセント式です。壁面のコンセントから電源を取ります。
ベッドのすぐ隣にフロアランプを置いた例。
寝室では、ベッドサイドや部屋の四隅にレイアウトします。
②テーブルライト・テーブルスタンド・テーブルランプ
台の上に置く照明器具でコンセント式です。壁面のコンセントから電源を取ります。
寝室では、ベッドサイドにレイアウトします。
ベッドの左右にモダンなデザインのナイトテーブルを置き、シンプルなテーブルライトを乗せた例。
③ブラケットライト・ウォールランプ・ウォールライト
壁面に取り付ける照明器具です。コンセントから電源を取るタイプと電気工事が必要なタイプがあります。
ベッドの頭側の壁に、インダストリアルデザインのコンセント式ウォールライトをレイアウトした例。
④ライン照明(テープライト・バータイプなど)
天井や壁面、家具の上下や後ろなどに設置するバータイプの照明器具です。壁面のコンセントから電源を取るタイプと電気工事が必要なタイプがあります。
小さなLEDを埋め込んだテープ状のものやバーの中に器具が入ったデザインがあります。
通路と寝室の天井を全てライン照明にした例。
寝室に適した間接照明
寝室全体を照らす
寝室全体を照らすのに適した間接照明は、ライン照明です。
ライン照明を使った美しい寝室を作るには
- 天井と壁の間に隙間を作り間接照明を設置する
- 天井に段を作り間接照明を設置する
など、大工工事と電気工事を行う必要があります。
特に、新築やリフォームの予定がある方は「どこの壁にどんな風に間接照明を入れたいか」のイメージを掴んでおきましょう。
枕元を照らす
枕元を照らすのに適した間接照明の器具は、フロアライト・テーブルランプ・ウォールライトです。
フロアライトは、光源の位置がベッドよりも上になります。
ベッドに寝転んだ時、光源が直接目に入らないようなデザインやヘッドの向きや角度を変えることができるデザインを選ぶようにしましょう。
ウォールライトをベッドの左右の壁面に取り付ける場合は、ベッドを買い替えることを考慮して余裕を持った位置に取り付けましょう。
ヘッドの位置を左右に動かすことができるウォールランプをベッドの左右の壁面にレイアウトした例。
ライン照明・フロアライト・テーブルランプ・ウォールライトは、どこで照明の入り切りをするかの計画をしましょう。
寝室では、「ベッドまで歩く時に必要な光(照明)」と「枕元で必要な光(照明)」の2個必要です。
- 「ベッドまで歩く時に必要な光(照明)」は、寝室の入口付近とベッドから手を伸ばして届く範囲。
- 「枕元で必要な光(照明)」は、ベッドから手を伸ばして届く範囲。
を考慮して、リモコン操作ができるタイプや手元でON/OFFできるタイプにしましょう。
入眠時の明るさはさほど必要ありません。
光の強さや色を調整できる調光機能がついたタイプがおすすめです。
新築時に間接照明をつけなかった寝室や賃貸に間接照明をつけるには
寝室全体を照らす「ライン照明」や壁面を照らす「ブラケットライト・ウォールランプ・ウォールライト」は、大工工事と電気工事が必要な器具です。
既に完成している寝室に「ライン照明」に似たような間接照明、電源の無い壁面に「ブラケットライト・ウォールランプ・ウォールライト」をつけるには「電気工事不要のコンセント式の機種を使う方法」があります。
コンセント式ライン照明(バーライト)
ベッドと壁の間に、床からヘッドボードの上付近までの高さの間接照明を入れた寝室。
コーナーをぼんやりと照らすことで、ムーディーな空間に。
FLYMEe のLED Bar Light(幅115cm/調光・リモコン付き/スマートフォンアプリ対応)
コンセント式テープライト
ベッドを壁から少し離してレイアウトし、ヘッドボードの裏に間接照明を入れた寝室。
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コンセント式ブラケットライト
コンセント式のブラケットライトをベッドの左右の壁面にレイアウトした寝室。
壁面に照明器具を引っ掛けるブラケットを取り付け、床付近にあるコンセントに、コンセント式のペンダントライトを吊り下げることで、ブラケットライト風の照明を壁面にレイアウトすることができます。
※電球の周りに傘(シェード)が無いデザインは、取り付け位置によって電球が直接目に入り、眩しく感じてしまうことがあります。
間接照明でムーディーに仕上げた寝室インテリア例
ここで紹介した照明器具のパターンは1個だけでも良いですが、複数を組み合わせることで、おしゃれな寝室を作り出すことができます。
間接照明1箇所(1種類)
ベッドの頭側の壁面に、L字に幕板を取り付けてコーブ照明をコーディネートした寝室。
2方向の壁面にある梁下とヘッドボードの上に間接照明(ライン照明)を入れた寝室。
ヘッドボード側の壁面に大小のニッチを作り、テープライトを使った間接照明を入れて奥行感を出した寝室。
ベッドの下3方向に、テープライトを使った間接照明を入れた寝室。
ベッドの頭側と足側の天井に、穴を作り間接照明を入れて、上質な空間を演出した寝室。頭側は、凸凹したタイルで美しい陰影。
間接照明2箇所(2種類)
折り上げ天井・ヘッドボードの上・ベッドの下3方向の3箇所に、テープライトを使った間接照明を入れ、ベッドの左右に、丸いテーブルランプを置いた寝室。間接照明の高さは、足元・膝・腰・頭上の4箇所。
ベッドの頭側の壁面2箇所にウォールライト、ベッドの足側にフロアライトを置いた寝室。フロアライトのヘッドを壁に向けて、壁面に優しい光を照射。
ベッドの頭側の天井からペンダントランプ2灯、ベッドと平行の壁2箇所にウォールライトをつけた寝室。小さめのシンプルデザインにして、光の陰影が目に入るように工夫。
天井にコーニス照明、ベッドの左右に、同じデザインのペンダントランプを下げた寝室。天井が高く見え開放的。
間接照明3箇所(3種類)
ヘッドボードの上にライン照明、ベッドの左右にテーブルランプ、ベッドの足元のコーナーにフロアランプを置いた寝室。寝室全体を柔らかな光で包み込んだリラックス感のある空間。
- 寝室にどのように間接照明をつけるか。(新築やリフォームでイチから計画)
- 天井や壁に間接照明をつけることができない寝室に間接照明風の照明をコーディネートする方法。
がわかったでしょうか。
最近は、(本当は良くないみたいですが)「スマートフォンを見ながら寝る」方も増えており「寝室を全体的に明るくする必要はない。」「LEDが眩し過ぎるので、暗めの照明にして欲しい。」とおっしゃるお施主様が増えています。
インスタでも、直接照明ゼロで寝室の照明計画をされている新築案件を目にする機会が増えました。
間接照明をメインにした寝室は、主流のデザインとなりつつあるのかもしれません。
「快適な寝室作りについて初めて意識した」という方は、下記も参考に。