おしゃれなインテリア作りの基本は、色や素材に統一感を持たせることです。
そして、もう一歩進んだ素敵なインテリアを作りたい時に、参考になるのがインテリアテイストです。
引っ越しや家具を新調する時に、「ソファ」「ダイニングテーブル」ではなく「北欧ソファ」「モダンダイニングテーブル」など、どのようなスタイルかを頭に記載した商品を目にすることがあります。この「北欧」や「モダン」がインテリアテイスト(インテリアスタイル)です。
- 部屋を構成する床・壁・天井の色合いや素材
- ラグ・カーテン・クッションなどのファブリックの色柄
- 照明器具のデザイン
- インテリア雑貨や小物のデザイン
- ポスター・時計の色とデザイン
など、部屋の中に存在する全てのものと関係しています。
その為、インテリアを考える時に、どんなテイストにするかが、まとまりのあるインテリアを作れるかどうかの重要なポイントとなるのです。
- 10年以上長く受け入れられているテイスト
(このページでは「不易なインテリアテイスト」と呼んでいます) - DIYやネットから誕生した比較的新しいテイスト
(このページでは「トレンドのインテリアテイスト」と呼んでいます)
の2種類が存在しています。
上記の部屋を「不易なインテリアテイスト」9種類、「トレンドのインテリアテイスト」10種類の合計19種類でコーディネートした場合のパースとインテリア実例を紹介しますので、好みのスタイルを見つけて下さい。
※どのテイストも、通販で手に入れやすいものを中心に選んでいます。
- ネットが普及する前からある“どの時代にも受け入れやすい”インテリアスタイル9種類の解説とインテリア実例
- ネット普及後のDIYや100均一でアレンジできるトレンド感のあるインテリアスタイル10種類の解説とインテリア実例
- 2021年ごろのインテリアに見られる最新素材と配色
不易なインテリアテイスト(インテリアスタイル)
不易なインテリアテイストは、日本の住まいが洋式(欧米スタイル)になって以来、広く受け入れられているスタイルです。
装飾が少なめで、水平と垂直を強調したデザインが多く、「シンプル」「スマート」「生活感が少ない」といった印象のインテリアです。これらのインテリアテイストが人気なのは、日本の住宅が狭いことにあり、「広く見える配色」や「シャープに見えるデザインの家具」など、コンパクトでも過ごしやすい空間を演出しやすいからではないかと、筆者は考えています。
スタイリッシュモダン
温もりを感じる木目は少なめに、無機質な金属やガラスを組み合わせて、非日常的な空間を作っていきます。無駄な装飾が無く、飾り気が少ないテイストなので、常に片付いている印象。
「ほっこりとくつろぐ」というより「常に背筋がピンと張ったような緊張感」のあるインテリアです。
【配色】黒・グレー・ホワイト・アイボリー・ベージュ・茶色
【素材】シルバー、クロムなどの金属・革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート
シンプルモダン
装飾を極限まで抑え、配色を2~3色にして、直線的な家具を組み合わせていきます。
「まだ(物理的に)何か足せる」「まだ色を足せる」くらいがちょうど良いです。無駄なものを徹底的に排除したインテリアなので“殺風景”“寂しい”といった印象が強いインテリアです。
【素材】シルバー、クロムなどの金属・革・木
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート
※アイボリー・ベージュ・木を使ってシンプルにまとめると「温もり」「親しみやすさ」「フォーマルな印象」がややアップして見える。
イタリアンモダン
赤・黄色・青など、好きな色をインテリアに思いっ切り取り入れたい人向け。「無彩色(ホワイト・グレー・ブラック)+有彩色1色」の組み合わせなので、カラーコーディネートはさほど難しくありません。
有彩色は、アクセントカラーではなく、ソファやラグなど、大きな面積に取り入れると、おしゃれな印象がアップして見えます。
【素材】シルバー、クロムなどの金属・革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、流れるような曲線
※有彩色に暖色を取り入れると、「温もり」「親しみやすさ」がややアップして見える。
ナチュラルモダン
「木と緑」の自然界にある組み合わせなので、リラックス感がアップして見えます。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート
※天然木の家具を使うと、お手入れ面がやや面倒になる。
北欧
気候が似ている日本の暮らしと相性が良く、家具、ファブリック、雑貨などインテリアに必要なアイテムを揃えやすい。プリント柄のクッションやラグを使ったキュートなコーディネートも実現可能。
使用色が多くなる為、コーディネートが複雑になりやすいのがデメリットですが、色同士の相性を考え、カラフルに彩ったインテリアは、おしゃれ感たっぷり。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】曲線
※「温もり」や「親しみやすさ」は、メインカラーにどの色を使うか、暖色の有無で変わる。
北欧モダン
生活感を感じないモダンを意識して、メインカラーをグレー系でまとめると上手く作れます。木目の家具や観葉植物ではなく、これらをイメージした「茶色と緑」のファブリックをアクセントに使うと、北欧感のあるモダンインテリアになります。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、曲線
北欧ナチュラル
メインカラーを温もりのあるアイボリーやベージュ系でまとめると上手く作れます。観葉植物を多くディスプレイするとナチュラル感がアップ。
北欧インテリア特有の冷たさも残すのを忘れないようにしましょう。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、曲線
クラシック
ダークカラー、アンティーク家具を駆使した、優雅さやエレガントな印象が強いスタイルです。シックなカラーコーディネートを目指すと、落ち着きのある大人っぽいインテリアになります。
高級感のあるインテリアを作りたい時にお薦めのスタイルです。
【素材】木・ベルベット・ゴールド・シルバー・クリスタル・ガラス
【家具のデザイン】曲線
モダンクラシック
クラシックスタイルがフェミニンなスタイルなのに対し、モダンクラシックは男性的な印象。「シャンデリアやモールディングを施したエレガントな内装に、スマートなフォルムの家具を組み合わせる」「曲線と直線を混ぜる」「ふんわりした素材と冷たい素材」など、メリハリをつけるのがポイントです。
高級感があり、洗練された印象のインテリアを作りたい時にお薦めのスタイルです。
【素材】木・ベルベット・ゴールド・シルバー・クリスタル・ガラス
【家具のデザイン】曲線、直線
2015年以降、トレンドのインテリアテイスト(インテリアスタイル)
トレンドのインテリアテイストは、ここ5~6年でブームになっているスタイルです。
これらのスタイルが流行している背景には、
↓
インテリアに興味を持つ人が増える。
↓
自室を好みの雰囲気にコーディネートしてみる。
↓
これをネット、動画、SNSで発信。
といった具合に、スマホで簡単に全世界と繋がることができる時代になったことが影響していると思います。
つまり、先に紹介した不易なインテリアが「住宅に携わる人が発信する情報を得る[受け身型]」なのに対して、トレンドのインテリアは「住人が情報を探し、自分で好きなようにアレンジする[自発型]」であると筆者は考えています。
メーカーの押し売りではなく、住まう人が欲しいと思うものを企業側がキャッチして商品開発がなされているので、賃貸住まいでも使用可能な材料が多く登場。通販を通じて、全国のどこからでもボタン1つでDIYアイテムを購入することができるようになり、このことによって、これまで敷居が高かった“壁や床の雰囲気(色)を変える”といった専門的な改装も簡単に行えるような時代に突入しています。
また、これまで日用品中心だった100均に、インテリアに関するおしゃれなアイテムが続々と登場しているのも、DIYブームやインテリアブームが関係していると考えられるでしょう。
トレンドのインテリアテイストは、熟練の職人が経験から作り上げる完璧なものとは異なり、ムラ・歪み・隙間・バラつきも許容範囲。
どちらかと言えば、CLEANよりもDIRTYな印象で、散らかっていても、インテリアの一部に溶け込んで見えるスタイルがほとんどです。
リフォームやリノベーションは、一昔前までは、「古さを隠して新品に」が一般的でしたが、トレンドは「古さを残して、新しいものと融合する」です。
住宅建材にヴィンテージ系デザインが増えてきていることからも、このブームはしばらく続くと想定できます。
インダストリアル
DIYと相性が良く
- 剥き出しの配線
- 剥げた塗装
- ユーズド感のある家具や木の板
などと組み合わせて作ります。インダストリアル(工業系)の名の通り、工場や倉庫のような内装とダークカラーを組み合わせたかっこいいテイストです。
【素材】木・ガラス・スチール・アイアン・レンガ・ブロック・コンクリート・革
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート
ブルックリン
インダストリアル同様、DIYと相性が良く、ヴィンテージ家具などと組み合わせて作ります。観葉植物を加え、薄暗いリラックス感のあるカフェのような雰囲気にするのもおすすめです。
【素材】木・ガラス・スチール・アイアン・レンガ・革
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート
北欧モノトーン
有彩色を足す場合は、グレイッシュ系を意識して使うと、センスの良いインテリアが作れます。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、曲線
北欧ヴィンテージ
薄いグレーと暗い茶色の木目を組み合わせると、上品でメリハリのある北欧を感じるコーディネートになります。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、曲線
アメリカンヴィンテージ
- ディスプレイ好き
- 雑貨の収集家
- 壁に隙間なくポスターや雑貨を飾りたい
- 片付けが苦手
という方におすすめのコーディネート。ブリキ看板やライセンスプレート(アメリカナンバープレート)、ヴィンテージなポスター、ネオンサイン、アメリカンなヴィンテージ雑貨を取り入れてダイナーのような雰囲気を作るのもあり。
【素材】革・木・ガラス・ステンレス・アルミ・ブリキ
【家具のデザイン】フラット、直線的、シャープ、ストレート、曲線
レトロ
「様々な色を使ったインテリアを作りたいが派手にしたくない。」という人におすすめのコーディネート。
レトロと言えば、昭和を思い起こさせる家具や小物を組み合わせたインテリアもありますが、日に焼けたような鮮やかさが少ない明るい有彩色で配色すると、海外っぽいワンランク上のインテリアに。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】曲線・丸み
シャビーシック
ピカピカよりも、古さを感じさせるテイストで、レース、シフォンなど優しく、柔らかい素材との相性抜群。インダストリアルが男前系インテリアなら、シャビーシックは女性寄り。
角や表面にこすれた感じを表現できる塗料も発売されている為、家具を買い直すことなく、茶色の木目をホワイトでペイントし、シャビーシックテイストにすることができます。
【素材】木・ガラス・レース・シフォン
【家具のデザイン】曲線・丸み
西海岸スタイル
海や海岸をテーマにした配色とディスプレイが特徴的で、デニム、サーフボード、浮き輪など、アクティブな印象のアイテムをコーディネートしていきます。マリンリゾートスタイルのカジュアル版。
西海岸は年間を通して、Tシャツのみ、Tシャツと羽織もの1枚程度で過ごせる気候。西海岸インテリアはブルー中心のカラーコーディネートになるので、気温の高低がある日本では、暖色を加えて、寒々しく感じないようにするのがポイントです。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】直線・ストレート・曲線・丸み
エクレクティック
「北欧テイストが好きだけど、アメリカンな雑貨も置きたい。」
「モダンテイストでまとめたインテリアに、どうしてもアフリカンな椅子が置きたい。」
など、地域、テイスト、スタイル、デザインを1つに限定せず、良いとこ取りをして、センスよくミックスした個性が強いインテリア。
失敗すると、チグハグな印象になりやすい為、ミックスする要素は2つ程度に留めておきましょう。カラフルなアイテムをたくさん使うと、よりエクレクティックな印象がアップしますが、配色センスが必要になってきます。
ゴチャつかないエクレクティックスタイルの作り方4つのコツ&40実例
【素材】自由
【家具のデザイン】自由
ボヘミアン
温もりのある木や観葉植物と組み合わせることで、ナチュラル感のある過ごしやすそうな空間を作ることができます。民族柄のラグとクッションをソファ周りにレイアウトするだけでも、ボヘミアンっぽくなります。
【素材】革・木・ガラス
【家具のデザイン】曲線・丸み
2021年ごろのインテリアに見られる最新素材と配色
モルタル×木
ヴィンテージやインダストリアルなインテリアの台頭とともに、素材の組み合わせの中で多く見られるようになっているのが「モルタル調」です。
壁面タイル・壁パネル・壁紙・フロアタイルにもモルタルを模したデザインが多く出ており、これまで清潔感が第一とされてきた水回りの既製品にも、サンワカンパニーのモルタナ(キッチン)やモルタナ洗面、GAFTEKTのベトングレー扉のようなモルタル調のデザインが続々と出てきています。
内装が一般的な木造であっても、モルタル調の素材を組み合わせることで、トレンド感のあるインテリアを作り出せるようになっています。
くすみカラー
くすみカラーは、2020年ごろからファッションを中心に流行し出した配色です。
スモーキーカラー(smokey color)、スモークカラー(smoke color)とも呼ばれる霧がかったような有彩色を壁紙やファブリックに取り入れることで、大人っぽさ・上品・上質な印象のある空間を演出します。
くすみカラーは、灰みがかったほんのりと色がついた淡い色なので「飽きにくい」「圧迫感が少ない」といった特徴もあります。
たくさんのインテリアテイストと実例を目にして「余計に迷ってしまった」という方もいらっしゃるかもしれません。
「不易なインテリアテイスト」と「トレンドのインテリアテイスト」は「片付け上手か否か」がポイントです。
手が届く範囲に、必要なものをすぐに取り出せる状態にしておかないと気が済まない質(所謂、「使ったら出しっぱなしスタイル」)の人は、何も無く生活感を薄くするのが魅力のモダン系スタイルにするとストレスが溜まってしまいます。
つまり、「好みのインテリアテイスト」と「自分の生活スタイル」がリンクしたコーディネートが、一番過ごしやすいのではないかと感じます。
トレンドのインテリアはDIYで人気のスタイルで、片付いていてもいなくても、さほど気にならないテイストがほとんど。
住まいを長く綺麗に保ちたい人は、不易なインテリアテイスト。「汚れやほこりが気にならない。」または「気にしている時間が無い。」という人は、トレンドのインテリアテイストを参考にすると良いでしょう。