インテリア界にインダストリアルテイストが普及し始めてから約3年。
「渋い」「格好良い」とも言われるインダストリアルは、自分の家(部屋)を自分で作り変えるDO IT YOURSELF(DIY)向きのインテリアテイストです。
プロの住まい作りは、「隙間なく」「真っすぐ」「歪み無し」が必須で、そこに携わる人達に求められる単位は数mmレベル。
一般的な住まいやインテリアは、数年前まで、こういったキチンとしたものが当たり前とされてきました。
一方、建築のプロではない人がDIYで、住まいを触ると、誤差を数mmレベルに留めるだけでもひと苦労。
DIYでは
「壁紙クロスの柄が多少あってなくても良い」
「板貼の壁の板同士の隙間が空いてても構わない」
「取り付け位置が左右非対称でもOK」
など「生活や実用性に支障がないなら別に良い」となり、この妥協レベル(プロでは失格レベル)をごまかすのにインダストリアルテイストは合っているという訳なんですね。
「インテリアをインダストリアルテイストにしてみたい」という方のために、インダストリアルっぽく見せるヒントを紹介していきましょう。
【コツ1】インダストリアルなカラーコーディネート
インテリアにインダストリアルな雰囲気を出すには、選ぶ色が重要になってきます。
無難なインテリアでは、温かみと広さの両方を感じるベージュやアイボリーを使うのが多いですが、インダストリアルっぽくする場合は、“格好良い色”や“格好良い組み合わせ”を意識してみましょう。
①「硬い」「重い」を意識した色
「硬い」「重い」と感じる色を中心にコーディネートして行きましょう。
壁・梁・家具を黒で統一したインダストリアルなリビング。
壁・天井を黒で統一したインダストリアルなLDK。
ペンダントライト・テーブル・椅子・ニッチ棚を黒で統一したダイニング。
②温もりを感じる茶色(木)も錆びた雰囲気なら格好良さアップ
「インダストリアルテイストには黒っぽい色が鉄則」なので、明るい茶色の木や白っぽい木は不釣り合いだと考えてしまいがちですが、どんな色の木でもヴィンテージな雰囲気なら、温もりよりも格好良い印象が先行し、インダストリアルテイストとマッチします。
また「節」「板目」など、家具に使われている木目にも注目してデザインを選ぶようにしましょう。
板目の無垢フローリングと使い込んだ木で作ったスライドドアをコーディネートしたダイニング。
足場板のようなヴィンテージなフローリングと節が目立つ木製のテーブルや椅子を組み合わせたダイニング。
ヴィンテージな白っぽい木を使った板貼の壁に、節が目立つ明るい茶色のテーブルとインダストリアルテイストのスツールを組み合わせたダイニング。
③格好良く洗練された雰囲気にするならグレーがおすすめ
という場合は、インテリアカラーにグレーを使うと、スタイリッシュで洗練された雰囲気を演出できます。
小奇麗なインダストリアルテイストを目指す方におすすめのカラーコーディネートです。
また、食事をするダイニングに清潔感を出したい時も、グレーはおすすめです。
テーブルをグレー系の木製、ラグと椅子用クッションをグレーでコーディネートしたインダストリアルなダイニング。
壁付けキッチンが丸見えのLDKのキッチン前の壁に、節が目立つグレー系のウッドパネルをコーディネート。
格好良いレザーソファとトランクをコーディネートしたリビングの壁・ラグ・一人掛けソファをグレーでコーディネート。
④温もりを演出したい時は、ゴツゴツした素材にベージュをプラス
しかしながら、ぼんやりとした雰囲気なので、格好良いを全面に押し出すインダストリアルとは合わない気もします。
これらの色をインダストリアルテイストに使う場合は、凸凹、ガサガサ、ゴツゴツした素材と組み合わせることで、温もり感の出過ぎないスタイリッシュなインテリアになります。
ベージュのソファとラグに、黒スチール脚のリビングテーブルとサイドテーブルを組み合わせたインダストリアルなリビング。
ベージュの一人掛けソファとラグを置いたリビングの壁面に、歯車のようなデザインのミラー6個とスチール棚をコーディネート。
⑤インダストリアルインテリアをセンスアップする2つのアクセントカラー
黒(または黒っぽい色)・グレー・茶色(木の色やレンガの色)を組み合わせて作ることが多いインダストリアルインテリアに合い、スタイリッシュに見せるアクセントカラーのおすすめは「緑」と「紫」です。
前者は癒し、後者は高貴な印象をプラスします。
また、この2色は「暑い・寒い」や「狭い・広い」を感じさせない中性色なので、体感に影響がありません。
緑
パーケットフローリングのようなデザインの薄い茶色のダイニングテーブルと暗いグリーンの布を使った椅子、暗い緑のパターン柄のラグをコーディネート。
レンガ壁に囲まれたリビングに、明るい茶色のレザーソファ、黒のファブリックソファをコーディネートし、明るいグリーンの一人掛けソファとラグをプラス。
紫
シルバーのスチールデスクとスチール製キャビネットを組み合わせた仕事部屋に、紫のデスク用チェアをプラス。
壁の2面を茶系レンガと黒の板にしたリビングに、ダークパープルのパーソナルチェアをコーディネート。
【コツ2】黒+と木の家具を組み合わせる
黒スチールと木(板)を組み合わせた家具を選ぶようにしましょう。
木と黒スチールを組み合わせたテーブルとチェアをコーディネートしたインダストリアルなダイニング。
黒の鉄筋と木箱や板を組み合わせた間仕切り兼リビング収納。
スチールっぽい金属を使ったスツール、テレビボード、木とスチールを組み合わせたサイドテーブルをコーディネートしたインダストリアルなリビング。
黒スチールのラックや黒スチール脚と板を組み合わせたテーブルをコーディネートしたインダストリアルなリビング。
【コツ3】違和感のあるサイズの目立つ照明器具を使う
元からついている照明器具をインダストリアルデザインに付け替えるでなく、大きなサイズのフロアランプをプラスすることで、照明器具の存在感を出すこともできます。
木製の円形テーブルの真上に黒のシェードの大きなペンダントライトを吊り下げたダイニング。
ソファの両脇に、大きなヘッドのシルバーのフロアランプをコーディネートしたリビング。
リビングのコーナーに、3方向にヘッドが伸びた黒のフロアランプをコーディネート。
ソファの横に、3本脚のシルバーのスポットライトをコーディネート。
ソファの横に、大きなヘッドの黒のスポットライトをコーディネート。
【コツ4】壁の一部に異素材を使う
壁そのものの素材を変えることは難しいので、これらの素材に似せた壁紙クロスを代用するのも一つの方法です。
また、壁全体よりも、面ごとに見た目を変える(一部に使う)ことで、砕けた雰囲気を演出できます。
タイル
ダイニングから丸見えのキッチンの前に、ホワイトのサブウェイタイルをコーディネート。
リビングのソファの後ろの壁に、レンガとサブウェイタイルの腰壁をコーディネート。
レンガ
リビングダイニングの幅の広い壁を茶系のレンガに。
ソファの後ろの壁をアイボリー系のレンガに。
カウンターキッチンの後ろにあるダイニングスペースの袖壁を茶系のレンガに。
コンクリート
天井と窓側の壁がコンクリートの仕事部屋。
天井と間仕切り壁がコンクリートのリビング。
リクレイムドウッド
ソファの後ろの壁に、グレーと茶系のリクレイムドウッドパネルを横張にしたリビング。
リビングの内側30cm程度に壁を新設し、茶系のリクレイムドウッドパネルを横張にしたリビング。
新設した壁の奥行きを活用して、本棚に。
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インダストリアルは、工業や産業という意味で、倉庫や工場を住まいに改装したような雰囲気のインテリアのことを指します。
一般的なお家は、最初から人が住むものとして作られているので、元々構造的に違うのですが、色を駆使したり素材感を出すことで、インダストリアルな雰囲気を出すことは可能です。