ナチュラル感やリラックス感があり、日本国内で人気の北欧インテリア。
これから家を立てる場合でも引越し前の何もない状態の部屋でも、インテリアを考える時は「ソファをどんな色にしよう」「収納家具はどんな木目にしよう」と悩みますよね。なかには、「ひとつひとつ考えるのが面倒だから、家具屋さんのある程度テーマを絞ったインテリアスタイル別の特集ページの家具をそのままゴッソリと購入する。」という方もいらっしゃるでしょう。
ですが、北欧インテリアは、床・壁・天井など部屋の内装の色、ソファやラグ・カーテンの色、収納家具やテーブルの木目の明るさを意識してコーディネートすると割と簡単にできてしまいます。
配色だけで北欧インテリアにするコツを実例を使いながら解説していきましょう。
※内装色から決める場合は①から、すでに内装色が決まっている(変えることができない)場合は②から読んで下さい。
①北欧インテリアの基本となる床・壁・天井の色決め
床・壁・天井は、インテリアの印象を決定づける重要な場所です。
ソファやテーブルなどの家具、ラグ・カーテン・クッションなどのファブリック、アートや雑貨・照明器具などのインテリアアイテムを組み合わせて北欧インテリアを作ることもできますが、床・壁・天井の色を一から決めることができる場合は、北欧インテリアに合う色をあらかじめ選んでおきましょう。
ただし、この3つは簡単に変えることができない場所であることも頭の隅に入れておきましょう。
①-①床の色
床(フローリング)の色は、淡い色が基本です。
淡い色の床は
- 室内が明るく見える
- 室内が広く見える
などのメリットと
- 白っぽすぎると寒々しく感じる
- 物を引きずったような黒っぽい傷が目立つ
- 髪の毛やグレーっぽい埃が目立つ
などのデメリットがあります。
床色に淡いブラウン系のフローリングを使うのは、「北欧インテリア特有の冷たさを簡単に表現することができるから」「ナチュラルな印象がするから」という理由もあります。
床色に濃いブラウン系のフローリングを使い温もりを出す場合は、ソファ・テーブル・収納家具・ラグ・壁色・カーテンで冷たい印象を加えます。
ブラウンのフローリングと薄いグレーのソファ&ラグ、ホワイトのテレビボード&カーテンをコーディネート。
ナチュラルブラウンのフローリングとグレーのダイニングチェア、ベージュのソファ&ラグ、ブラウンの木目のテレビボードをコーディネート。
グレーのフローリングとブラウンのラグ、ブルーのソファ&壁紙(アクセントクロス)をコーディネート。
ホワイトのフローリングとベージュのソファ&ラグ、グレーのアームチェア、ホワイトの収納家具をコーディネート。
- 大きなラグやカーペットで床の色を隠し、明るい印象に変える
- 床色をそのまま活用して家具の色やソファの色で北欧感を出す
の2通りのコーディネートの仕方があります。
ダークブラウンのフローリングの上に、白っぽいベージュの大きなラグを敷いたリビング。
ダークブラウンのフローリングと薄いグレーのソファ、ホワイト×薄い茶色の木目の家具をコーディネートしたリビング。
北欧インテリアの床色は、ナチュラルブラウンのような淡い色にするのが基本です。
ここ数年は、灰色で覆ったようなグレージュ系やスモーキー系がトレンドです。
グレーやグレージュ系のファブリック(ソファ・ラグ・カーテン)と相性が良く、「クールな北欧インテリア」や「可愛すぎない北欧インテリア」を作るのにも最適です。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングとホワイトの壁・天井の空間に、グレージュ×グレーのパターン柄のラグ・白っぽいグレーのソファをコーディネートした北欧スタイルのリビング。
①-②壁の色
北欧インテリア向きの壁の色は、ホワイト系・ベージュ系・ライトグレー系の白っぽい色です。
どれも「北欧インテリアにするから」と選ぶ色ではありませんので、さほど気にする必要はありません。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイトの壁紙をコーディネートしたリビング。
ナチュラルブラウンのフローリングとベージュの壁紙をコーディネートしたリビング。
グレージュのフローリングと薄いグレーの壁紙をコーディネートしたリビング。
壁に色を付ける(白っぽく見えない色を使う)時は、グレー・イエロー・ピンク・ブルー・グリーンがおすすめです。
ミディアムブラウンのヘリンボーン床と濃いグレーの壁紙をコーディネートしたリビングダイニング。
ナチュラルブラウンのフローリングと淡いイエローの壁紙をコーディネートしたリビング。
ミディアムブラウンの寄木張りフローリングと淡いコーラルピンクの壁紙をコーディネートしたリビング。
ナチュラルブラウンのフローリングとスモーキーな淡い水色の壁紙をコーディネートしたリビング。
ダークブラウンのフローリングとくすんだ薄めのグリーンの壁紙をコーディネートしたリビング。
①-③アクセントクロスの色
「壁に色をつけたいけれど、全体的に同じ色にしてしまうのは抵抗がある。」という場合は、4面の壁のうち一面だけを変えるアクセントクロスを活用します。
北欧インテリア向きのアクセントクロスの色は、「グレー・ブルー・グリーンの冷たい色」と「ピンク・イエローの暖かい色」です。
アクセントクロスといえば、思い切り目立つ色を使うのが定番ですが、北欧インテリアの場合は、部屋全体を淡い配色でまとめるのが基本なので、他の3面の色とあまり差がない色を使っても問題ありません。
グレージュのフローリングとホワイト系の壁紙、黒っぽいダークグレーのアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、グレーのアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、暗いブルーのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、淡いブルーのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングと白っぽいグレーの壁紙、暗いグリーンのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
ナチュラルブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、淡いグリーンのアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
スモーキーなミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、鮮やかなピンクのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、淡いピンクのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、濃いイエローのアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
ミディアムブラウンのフローリングとホワイト系の壁紙、淡いイエローのアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
小花柄・植物柄などの自然を感じるパターン柄や規則正しい模様が並んだ幾何学模様のアクセントクロスは、北欧らしい内装を作るのを手助けしてくれます。
ホワイトのフローリングと黒地にピンク×水色×暗いグリーンのレトロ感のある小花柄のアクセントクロスをコーディネートしたリビング。
ミディアムブラウンのフローリングと白地に暗い黄緑×黒っぽいブルー×暗いイエロー×暗いオレンジの細かい植物柄のアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
グレーのコンクリート調床とアイボリー地に細いグレーの幾何学模様のアクセントクロスをコーディネートしたリビングダイニング。
①-④天井の色
北欧インテリア向きの天井の色は、ブラウン系の木目調・ホワイト系・グレー系です。
ナチュラルブラウンのフローリングと濃い茶色と薄い茶色をミックスした板貼り天井を組み合わせたリビング。
薄めのブラウンのフローリングと薄めのグレージュの壁紙、ホワイトの天井をコーディネートしたリビング。
グレーのフローリングと薄いグレーの壁紙・天井をコーディネートしたオープンなリビング。
②北欧らしさを演出する家具の色決め
家具の木目には、さまざまな明るさがあります。
北欧インテリア向きのテーブルや収納家具、チェアの木目の色は「白っぽい茶色」「薄い茶色」です。
その理由は、「ナチュラルに見えるから」です。
床色が白っぽい(薄い)茶色やグレー・ホワイトの場合は、茶色の木目にするのもありです。
また、水色やホワイトのテーブルや収納家具、チェアも北欧特有の冷たさを表現できる色です。
収納家具・ダイニングテーブル・ダイニングチェア・コーヒーテーブルを茶色の木目で統一したリビングダイニング。
ダイニングテーブルとリビングのオープンシェルフの棚板を白っぽい茶色の木目でまとめたリビングダイニング。
テレビボードの扉をスモーキーな水色にしたリビング。
テレビボードとダイニングテーブルをホワイトで統一したリビングダイニング。
床の色と同様に、灰色で覆ったようなグレージュ系やスモーキー系の鮮やかさの少ない木目を使うと、今っぽい北欧インテリアを作ることができます。
壁掛けテレビの下のオープンシェルフと収納家具を鮮やかさの少ないスモーキーなブラウンの木目にしたリビング。
「北欧インテリアには薄い茶色の木目やホワイトの家具やテーブルが合うのはわかっているけれど、今使ってる暗い茶色の木目家具やテーブルを使いたい。」という場合は
- ホワイト・グレー・水色のチェアやミニテーブルなどと組み合わせる
- ソファやラグを淡い色にして開放感を出す
の方法で北欧感を出すことができます。
暗い茶色の木目のダイニングテーブル・暗い茶色の木とブラックレザーを組み合わせたチェアと淡く、くすんだ水色のアームチェアをコーディネートしたダイニング。
暗い茶色の木目のテレビボード・暗い茶色の木目天板のダイニングテーブルと薄いグレーのソファ&薄いグレーのラグをコーディネートしたリビングダイニング。
また、床の色が白っぽい場合は、そのまま活用しても大丈夫です。
薄いブラウンのフローリングと暗い茶色の木製三角形ミニコーヒーテーブル、濃い茶色の木目のテレビボードをコーディネートしたリビング。
③北欧らしさを演出するファブリックの色決め
ソファ・ラグ・カーテン・アームチェア・スツールなど、インテリアにはファブリック(布・生地)を使ったものが多くあります。北欧インテリアを作りたい時は、これらの色を淡い色にするのが基本です。
特にソファは、床・壁・天井の淡い色に馴染む、ぼんやりとした色にするのがおすすめです。
淡い色やぼんやりとした色の代表色は「ベージュ」「薄いグレー」「ホワイト(クリーム色やアイボリー含む)」です。
ソファをベージュ、ラグをクリーム色でまとめたナチュラルなリビング。
ソファとラグとカーテンを薄いグレーでまとめた生活感の少ないLDK。
ソファ・ラグ・カーテンをオフホワイトでまとめた開放感のあるリビングダイニング。
全体的に淡い色でまとめた空間は万人受けする無難なインテリアになりがちです。
北欧インテリアには、淡い配色で穏やかな印象の空間を作る方法とは別に、目立つ色を取り入れたカラフルなコーディネートの仕方もあります。カラフルな色は、床や壁とは馴染みにくく、色によって違和感が出てしまう為、北欧インテリアでは「冷たい色の代表の寒色(ブルー)を使う方法」や「相性の良い2色を使う方法」があります。
ソファとダイニングチェアをくすんだ薄めのブルーでまとめたリビングダイニング。
ラグとクッションを薄めのブルーでまとめたリビングダイニング。
ソファを鮮やかな水色、サイドテーブルとアートを鮮やかなイエローでまとめたリビング。
アクセントクロスをくすんだ水色、アームチェアを鮮やかなピンク、ダイニング用ペンダントランプを鮮やかなイエロー、ニットスツールをイエローでまとめたリビングダイニング。
北欧インテリアのファブリックには可愛らしいプリントのクッションや幾何学模様のラグなどもあります。色だけを意識した単調なインテリアに柄を足すことで、動きが出て、おしゃれな印象がアップして見えます。
- ラグとクッションの色を似た色にして柄を変える
- 淡い色の空間に思いっきり派手な色のパターン柄を取り入れる
などのコーディネートの仕方があります。派手な色のパターン柄は、ソファを淡い色にした時に効果的です。
ラグとクッションをグレー系の幾何学模様で統一したリビング。
薄いブラウンのソファの上に、水色・イエロー・ピンク・オレンジを使ったデザインの違うカラフルなパターン柄のクッションを4個乗せたリビング。
床や家具の木目と同様に、スモーキー・グレイッシュな有彩色は近年のトレンドであり、これらの色を「くすみカラー」と呼びます。
単なる薄い色(白っぽい色)とは異なり、グレーが混じったような色なので、上品な印象がアップして見えます。
スモーキーな水色の2人掛けソファをコーディネートしたシンプルなリビング。
スモーキーなピンクの2人掛けソファとグレー系・ブラック系の家具やファブリックを組み合わせたフェミニンで高級感のあるリビング。
くすみカラーを使った具体的なコーディネートについて詳しく知りたい方は下記を参考にして下さい。
④仕上げに足したい観葉植物
観葉植物は基本的にどんなスタイルのインテリアにも合いますが、自然をテーマとしたナチュラルな北欧インテリアとの相性は抜群です。
植物を足すことで
- 淡い配色でまとめた空間のリラックス感を助長
- 白っぽい色でまとめた寂しさのある空間にイキイキとした印象を演出
といった効果が期待できると同時に、植物のグリーンがインテリア配色の基本であるアクセントカラーの役割を果たします。
ソファの左右に、高さの違う観葉植物(1個は鉢植えを床置き、もう1個はコンパクトな多肉植物をサイドテーブルの上に)をコーディネートしたリビング。
コーナー2箇所、間仕切り腰壁の前、サイドボードの上に観葉植物をコーディネートしたリビングダイニング。
ソファの左右、コーヒーテーブルの上に小さめの葉っぱの観葉植物をコーディネートしたリビング。
配色だけで北欧らしいインテリアを作るコツを「内装」「家具の色(木目の明るさ)」「ファブリックの色」に分けて解説しましたが、参考になったでしょうか。
このページで紹介した北欧インテリアは、淡い配色のナチュラル系スタイルです。
「ヴィンテージな雰囲気も足したい。」「生活感をなるべく抑えたい。」など、もう一歩踏み込んだコーディネートをしたい方は、下記も一読下さい。