ゴテゴテとした無駄な装飾を無くし、極限まで機能美を追求したモダンインテリアは
- シンプルなインテリアが好き
- 部屋の中に生活感を出したくない
といった方に、おすすめのテイストです。
ホテルの待合、商業施設のホール、シティホテルの客室などに多くみられるインテリアテイストなので「我が家もモダンに」と感化される方も多いでしょう。
また、近年の日本の住まいは、注文住宅を除いて、
- 茶系のフローリングにホワイト系の壁紙クロスをコーディネートした内装
- 窓や建具は長方形をベースとしたデザイン
がほとんどなので「直線的なデザインの家具を配置するだけでモダンインテリアが作れる」といった特徴があります。
更に、日本の住まいは海外と比較すると狭い為、「ごちゃごちゃと物を置くインテリアよりも、シンプルなインテリアにした方が広さを感じる為、モダンテイストに人気が集まる傾向にある」と筆者は考えています。
しかしながら、モダンインテリアは、コーディネートの仕方を失敗すると、常に緊張感を強いられたり、リラックスできない空間を生んでしまいがちです。
モダンインテリアは「ホワイトを基調としたカラーコーディネートで」といった記述を見かけますが、このホワイトの多用が緊張感を生む根源となっているのをご存知でしょうか。
このことは、近年、病院の内装に、ホワイトを使わなくなったこととも関係しています。
筆者がインテリアをモダンテイストでコーディネートする場合、ホワイトはなるべく使わずに、ホワイトに似た温かみのある色で広さを出すようにしています。
また「どうしてもホワイトが使いたい」という場合でも、小物を工夫することで、緊張がほどけるモダンリビングを演出することができます。
リラックスを最も重視するリビングで、広さを強調しつつモダンテイストにするテクニックを5つ紹介しましょう。
カーテン・ラグ・ソファなど大面積に使う生地はアイボリーかベージュ
モノトーンカラーでまとめたモダンリビングは、すきっとした清潔感や広々とした印象がある一方で、冷たい・緊張するといった印象も強く、冷たいドリンクが似合いそうです。
アイボリーとベージュを組み合わせたモダンリビングは、広々とした印象とリラックスできそうの両方を感じる空間になっていて、紅茶や珈琲など温かい飲み物が似合いそうです。
リビングは、リラックスできる空間であることが大前提なので、モノトーンコーディネートよりも、アイボリーやベージュを使った方が、くつろぎやすい空間になります。
また、温もりをあまり感じないようにしたい場合は、極力白っぽく見えるアイボリーやベージュを使うようにしましょう。
ソファとテレビボードとテーブルをツルンとした素材(レザーと鏡面)のホワイトでまとめたリビングの床に、ベージュのラグをコーディネート。
ホワイトのテレビボードとテーブルと一人掛けチェアを組み合わせ、ソファとラグをベージュでコーディネート。
テレビボードを鏡面ホワイト、リビングテーブルをシルバーフレームのガラス製にして、ソファとラグをベージュでコーディネート。
続いては、ソファを黒にした重厚感のあるモダンリビングコーディネートを2つ。
黒のソファとシルバーフレームのガラステーブルを組み合わせ、ミニテーブルとラグをクリーム色でコーディネート。
黒のソファ、モノクロアート、グレーのラグを組み合わせ、ラウンジチェアとオットマンをベージュでコーディネート。
メインカラーをホワイトにするなら、アクセントカラーに暖色を使う
インテリアの配色は、床・壁・天井のベースカラー(約70%)とソファや家具などのメインカラー(25%)で構成するのが一般的です。(残りの5%が、アクセントカラー)
ソファや家具にホワイトを使って、モダンインテリアを作る場合、ほどんどの家が「部屋の80%が白」という状態に陥ってしまいます。
(日本の住まいの壁は、ほとんどが白い為)
これはこれでスッキリとしていて、生活感が無いモダンリビングと言えるのですが、ホワイトに囲まれた空間で、実際に生活してみると「味気ない」「寒々しい」「緊張感がある」と感じてしまいます。
また、ホワイトをメインカラーとしたものだけでなく、グレーや黒を組み合わせたモノトーンカラー主体のモダンなリビングも同様です。
リビングに置くソファやテーブルや収納家具をホワイト・グレー・黒などのモノトーンカラーでまとめる場合は、アクセントカラーに、赤・オレンジ・黄色の暖色をプラスすると、緊張がほぐれるリラックスした空間になります。
ホワイトのシンプルなソファ、ホワイトの椅子、黒のダイニングテーブルを組み合わせたリビングダイニングのダイニングの天井からオレンジ色のシェードのペンダントライトを吊り下げて、アクセントカラーをプラス。
オフホワイトのレザー製フロアソファにオレンジと赤のクッションでアクセントカラーをプラス。
明るいグレーのコーナーソファとラグとシルバーのテーブルを組み合わせた生活感が少ないモダンリビングに、鮮やかなオレンジ色のクッションを3個コーディネートして、アクセントカラーをプラス。
グレーのコーナーソファとホワイト鏡面の円形テーブルとグレーのラグを組み合わせたモダンリビングに、赤とホワイトのシェブロン柄のクッションと赤のファブリックチェアでアクセントカラーをプラス。
黒とグレーでまとめたモダンリビング(グレーの方が割合が多め)に、黄色のファブリックチェアとクッションでアクセントカラーをプラス。
黒とグレーでまとめたモダンリビング(黒の方が割合が多め)に、黄色のクッションでアクセントカラーをプラス。
インテリアのどこかに土色を足す
下のリビングは、大きな窓と壁に沿うように、グレーのコーナーソファをレイアウトし、ホワイトのテレビボード、黒のリビングテーブルを置いたシンプルなモダンインテリアです。
寂しさを感じるのは、窓から見える風景が曇り空だからだけではありません。
また、ラグは、温もりを感じるベージュでコーディネートしてあるものの、ピーンと空気が張り詰めた雰囲気もします。
この空間に、土色を1色加えるだけで緊張感が漂う印象を壊すことができます。
1つ前に記述したアクセントカラーと似てますが、土色はインテリアカラー全体の5%よりも少なくてもOKです。
花瓶・ランプシェード・写真やアートを飾る額縁などに明度が低い(黒っぽい)茶色を使うと効果的です。
※明るい(薄い)茶色を使わない理由は、インテリアをナチュラルに見せない為。
グレーのコーナーソファと窓の間に、暗い茶色のシェードの大きなフロアランプをコーディネート。
ホワイトのシンプルなレザーソファに、暗い茶色のファー素材のクッションを1個だけプラス。
ホワイトレザーのコーナーソファに、光沢のある土色のクッションを2個プラス。
ホワイトのレザーソファと黒のラグを組み合わせた生活感が無いリビングに、茶色とホワイトの牛柄のチェアを2台プラス。
直線だけでなく曲線も混ぜる
モダンインテリアに“シンプル”“スマート”という印象を抱いている方は、選ぶ家具も直線的でシャープなデザイン寄りになりがちです。
直線や角ばったデザインの家具に囲まれた空間は、畏まった硬い印象になり、リラックス感が薄れてしまいます。
曲線を使った家具や照明器具も混ぜることで、柔らかいイメージのモダンインテリアになります。
曲線を使った家具をガラスやクロームメッキなど光沢のある素材を使用したものにすると、柔らかすぎないインテリアを作れます。
ソファ・テーブル・椅子を全てホワイトで統一したリビングダイニングのダイニングテーブルとリビングテーブルを丸いデザインでコーディネート。
薄いグレーのソファ・黒のパターン柄の椅子・グレーのラグ・ホワイトのサイドテーブルのモノトーンカラーでコーディネートしたリビングの壁面に黒の丸型の壁掛け時計をディスプレイ。
薄いグレーのソファとキッチンをコーディネートした生活感のないリビングキッチンに、オレンジの曲線デザインのプラスチックチェアと丸いテーブルをプラス。
ガラステーブルと電球色の照明器具を組み合わせる
その為、リビングテーブルは温もりを感じる木製よりも、スキッとした印象のガラス製・鏡面素材・シルバーなど、光を反射する素材を組み合わせます。
素材感から冷たさがヒシヒシと伝わってくるヒヤっとした雰囲気を壊すことなく温もりをプラスする方法に「オレンジっぽい光をプラスする」があります。
- 見た目は、シャープで生活感が少ないデザインの器具を選び、明かりの色だけを電球色にする
- 透け感のある素材を使ったアイボリー・クリーム色のシェードから漏れる光
のどちらかを使って、リビング空間にほんのちょっぴり温かさを演出してみましょう。
ホワイト・薄いグレー・黒でまとめたモダンリビングに、ガラス製正方形テーブルを置いて、ソファの横に、ゴールドの大きなフロアランプをプラス。
ホワイトのレザー製コーナーソファとガラス製リビングテーブルをコーディネートしたリビングのコーナーに茶色のシェードのフロアランプをプラス。
壁を背にホワイトレザーの2人掛けソファをレイアウトし、両脇にシルバーフレームのガラス製サイドテーブルを置いて、ベージュのシェードのテーブルランプをプラス。
薄いグレーの2人掛けソファを中心に、シルバーフレームのガラス製テーブルとサイドテーブルをレイアウトし、サイドテーブルの上に上下に光が拡散するベージュのシェードのテーブルランプをプラス。
グレーのソファ・黒のテレビボード・ガラス製リビングテーブルをコーディネートしたリビングのソファサイドにクロームメッキのガラス製サイドテーブルを置き、電球色のテーブルランプをプラス。
スッキリとしたモダンインテリアを作る時、ホテルの客室や施設の洗練されたスタイリッシュなインテリアに影響されがちです。
生活感の少なさに憧れるのは良いですが、これらの施設と私達が暮らす住まいは別物であることを忘れてはいけません。
つまり、施設はたまにしか訪れない場所、非日常的な場所なのに対し、私達が暮らす住まいは365日お世話になる日常的な場所です。
その為、ある程度のくつろぎを演出しておく必要があります。
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