家具を新調する時、「安いから」「見栄えが良いから」「便利そうだから」という理由で決めていませんか?
もちろん、上記のような理由が完全に間違いではないですが、部屋は、ゴムのように家具に合わせて自由自在に大きくなるわけではありません。また、たくさん家具を置きたいからと最初から広い部屋にすることは、賃貸だと「費用がかかりすぎる」、新築だと「他の部屋に皺寄せがくる」といった弊害があります。
誰でも限られたスペースの中に、必要最低限の家具を置いて生活していかなければならないわけですが、同じ大きさの家具でも、置き方やデザインによって、部屋が広く見えたり狭く見えたりします。また、同じ機能を持つ家具でも、少しの工夫で部屋を広く見せることができます。
つまり、部屋を広く見せる方法を知っておけば、引越し前の何も無い部屋に似た広く感じる空間で過ごすことができるのです。
家具を購入する前に、部屋を広く見せるソファ・テーブル・収納の家具配置やデザイン・サイズの選び方のコツを紹介しましょう。
①ガタガタやデコボコが無いと広く見える
家具は、壁よりも内側に置くため、1つでも置くと、何も無い状態から比べると狭く見えます。また、家具が1つだけですむことは稀で、オープンシェルフ・オープンラック・扉付きの収納家具・テレビボードなど、目的に合った家具が必要になってきます。
家具を適当に選び、適当にに置いてしまうとごちゃごちゃした雰囲気になり、狭く見えてしまいます。広く見える家具の置き方は、壁面にガタガタやデコボコを作らないことです。
①-①壁面1箇所に家具を集中させるとガタガタ・デコボコが減る
部屋は、4面の壁に囲まれています。
4面の壁にそれぞれ家具が置いてあると中央のスペースが減り、狭く見えます。収納家具とテレビボードを同じ壁面に集中して配置すると、残りの壁の前は何も無い状態になり、広々とした印象になります。
窓に向かってある2面の壁と窓横の壁の合計3面の壁に、本棚・収納・テレビボードを置いた上段の部屋より、ソファを1面、本棚・収納・テレビボードをもう1面に置いた部屋の方が、広く見える。
①-②背が高い家具と背が低い家具では背が低い家具の方が広く見える
背の低い家具の方が広く見える理由は、見える壁の面積が広くなるからです。家具の上から天井までの距離が長いほど、部屋は広く見えます。
背が高い家具を置いた上段の部屋は、家具側の壁がほとんど見えないため、下段の背が低い家具の上の壁面が見える部屋よりも狭く見えます。
これは、ソファやテーブルを選ぶときも同じです。天板が大きくて脚の長いテーブル(天板が高いテーブル)や背もたれが高いソファ(ハイバックソファ)は、家具の上から天井までの距離が短いため、壁面の見える部分が少なくなるため、狭く見えます。
①-③家具の下にオープンスペースがあると広く見える
背の高い家具と背の低い家具では、背の高い方が狭く見えると説明しましたが、背の高い家具で脚の長い家具の方が逆に広く見えることがあります。これは、オープンスペースから床と壁の境目が見えると床にペタっと置く家具よりも見える床の面積が増えるからです。
家具と床に隙間がない上段の部屋と比較すると、家具と床に隙間のある下段の部屋の方が、床が壁の位置まである印象になり、広く見える。
①-④「扉あり家具」と「扉なし家具」では「扉なし家具」の方が広く見える
扉がある家具は扉の面が家具の前、扉がない家具は家具の背板が家具の前といった印象が強くなります。特に背の高い家具を扉付きにすると“大きな出っ張った家具”が壁の前に置いてあるような印象になり圧迫感が出ます。扉のない家具は「埃が内部に溜まりやすい。」「中身が丸見えになる。」のがデメリットですが、部屋を広く見せる点だけに絞ると、扉なしの方が開放感がアップして見えます。
上段の「扉がある家具」は壁の前に、もう1個低い壁があるような印象の空間になる。下段の「扉がない家具」は、家具の後ろの壁まで空間があるように見え、広く見える。
①-⑤高さが揃わない場合はカウンターを上に乗せて造り付け家具っぽいデザインにする
高さが合わない家具を並べる場合や奥行と高さが違う家具の場合は、上にカウンター(板)を乗せて、高さを揃える方法もあります。
上段の高さが凸凹した家具の部屋よりも、下段の高さが同じ家具の部屋の方が整った印象になる。奥行きにも同じことが言え、奥行きが違う家具同士を並べる時は前揃えにした方がすっきりとした印象になります。
②中心に大きなスペースがあると広く見える
家具の数が同じでも、家具のサイズやデザインを工夫し、床面を多くすることで、狭い部屋を広く見せることができます。
②-①ラグのサイズを大きく、または小さくする
ラグにはさまざまなサイズがありますが、「広く感じる」とラグの大きさには関係があります。
クローズドリビングは、4面が壁に囲まれたリビングです。「部屋1個がリビング」なので、どのような大きさのラグを敷いても問題ありませんが、“大きめのラグを敷いて、フローリングの見える部分を少なくする”か、“小さめのラグを敷いて、フローリングの見える部分を大きくする”と部屋が広く見えます。大きめのラグはラグの色が床色、小さめのラグは床の色が床色となります。広く見せるために、淡い色を使うのがおすすめです。
中途半端なサイズのラグを敷いた部屋(中段)よりも、大きなラグを敷いた部屋(上段)や小さなラグを敷いた部屋(下段)の方が広く見える。
オープンリビングは、隣に廊下やダイニングがあり壁が3面しかないリビングです。ラグが他のエリアとのゾーン分けの役割も果たす為、「なるべくリビングを広く見せるために、大きなラグを」と考えてしまいがちですが、他のエリアとの境界を曖昧にして、床面を広く見せた方が、リビングが広く見えます。
②-②コーヒーテーブル(リビングテーブル)のデザインを変えたり、大きさを最低限にする
ソファの前に置くコーヒーテーブルは、レイアウト的に部屋の中心になりがちです。部屋の中央に天板が大きな家具を置くと、それだけで、部屋が狭く見えてしまいます。
「長方形を丸型に。」「大きなテーブルを小さなテーブルに。」など、デザインやサイズを変えると、床の見える面積が多くなり、広々とした印象になります。
ソファと平行に面がある長方形のコーヒーテーブル(上段)を置いた部屋よりも、角がない丸型コーヒーテーブル(下段)の方が広く見える。見える床の範囲は、丸型の方が広い。
②-③テレビボード・コーヒーテーブル・ラグが「本当に必要か」を考える
- テレビボードの下に、価格もそこそこして、幅を取るテレビボードを置く必要があるのか?
- ソファの前に、物置になるだけの大きなコーヒーテーブルを置く必要があるのか?
- 床に、毛や埃が絡まり、シミが付いたら汚くなるラグを敷く必要はあるのか?
など、本当に必要なものを吟味して取捨選択しましょう。
③視線の行き先が遠近法と同じなら広く見える
ここまでは、壁面や床面を多く見せることで、狭い部屋を広く見せるコツを紹介しました。
ここからは、「取捨選択した家具をどのように並べ、空いたスペースに何をどのように置くとさらに広く見えるか」を説明します。
近くの物は大きく見え、遠くのものは小さく見えます。このポイントを踏まえて、家具の高さを利用して遠近感をわざと作ります。
座っている時の目の前の壁など、視線の先が真平な場合は、奥行きのあるものを活用したり、小さく見える色を使って、目の前の壁の圧迫感を少なくします。
③-①大きな家具→小さな家具の順に沿って並べる
背の高い本棚、ソファから見やすい高さのテレビボード、リビングで使うごちゃごちゃしたものをまとめるリビング収納など、家具にはさまざまな高さがあります。部屋の入り口から奥に向かって(入り口がない場合は、リビングの一番遠い壁に向かって)、奥に行くほど低くなるように家具を並べると、奥にある壁がより遠くに見えて広く感じます。
一番遠い窓側の壁に背の高い家具がある上段の部屋よりも、遠近法に沿って一番遠い窓側の壁に背の低い家具を置いた下段の部屋の方が広く見える。
③-②小さく見える色を活用する
「大きく見える(手前に見える)進出色」と「小さく見える(下がって見える)後退色」があります。
遠くに見せたい壁や小さく見せたい家具に後退色を使うと、残りの部分が広く見え、開放感が出ます。
部屋の大きさ・ソファのサイズ・家具の位置は全く同じですが、後退色の下段の部屋の方が小さく見えます。
③-③アートを活用して奥行きを出す
壁掛けテレビの上やソファの後ろなど、“下がっているように見せたい壁”に、遠近法を使ったアートやポスターを飾ると、壁面に奥行きが生まれ、圧迫感が少なくなります。
ミラーを活用して奥行きを出す
壁掛けテレビの上やソファの後ろの壁など、“下がっているように見せたい壁”に、ミラーを飾ると、ミラーに反対側の壁が映り、広く見えます。
④線を活用すれば実際よりも広く見えたり高く見えたりする
④-①ボーダーやストライプを活用する
人の目は、線に沿って移動します。そのため、床&天井と平行のボーダー、壁と平行のストライプは、「天井を高く見せる」、「壁と壁の距離を長く見せる」といった効果があります。
ストライプ柄がある部屋(中段)は、一番奥の壁が高く見え、ボーダー柄がある部屋(下段)は、ソファの後ろの壁が広く見える。
④-②木目の流れを活用する
家具の木目には、横に向かって木目が流れている「横木目」と上下に向かって木目が流れている「横木目」があります。特に扉がついた収納家具やテレビボードは、「縦木目」か「横木目」かで、広さが若干違って見えます。
壁面の木目・背の低い家具・幅の広い家具を「横木目」にすると、視線が横に流れるため、横に広く見えます。
部屋を広く見せる家具の選び方や配置の仕方をまとめると
①家具を1箇所にまとめ、奥行や高さを揃えてデコボコを無くす
②部屋の中心に大きなスペースを作る
③遠近法や柄を活用して視覚的にものを小さく見せる
になります。
このページでは、詳しく触れませんでしたが、家具の色によっても部屋の広さの感じ方が変わります。広く見える色について知りたい方は、後退色を活用したインテリア-狭い部屋を広く見せる色の選び方&使い方&実例30選をご覧ください。