「夢見ていた素敵なインテリア空間が、家具をレイアウトしていくうちに、どんどん狭くなり、予定していた家具が置けなくなった。」
「引っ越し前は広く見えていたのに、必要な家具を並べたら、めちゃくちゃ狭くなった。」
こんな経験をしたことはありませんか?
家具を置いていない部屋は多少狭くても広く見えます。しかしながら、大型のソファやベッド、テーブル、デスク、チェア、収納家具、テレビボードなどは、床と密着する家具なので、これらを置いていくと床面がどんどん消えてしまい、最終的に【狭さ】を生んでしまいます。
広く見える究極のインテリアは、座布団とちゃぶ台だけを置いた簡素な空間だと思っていますが、居心地の良さから考えると、ソファやテレビ、テーブルは欠かせない存在です。
同じ面積の部屋に同じ数の家具を置く時、家具の置き方や配色の工夫で、広く見せる方法があります。4つのポイントに絞って、比較パースを活用しながら解説していきましょう。
- 狭い空間がスッキリと見えるインテリアの作り方
- 狭い空間が広く見える家具レイアウトの仕方
- 不揃いの物が多く、乱雑になりがちなリビングを中心にスッキリインテリアの作り方
①大きな家具は壁際にレイアウトする
どんな広い空間でも、家具を中心に置くと空間が分断され狭く見えてしまいます。狭い空間なら、もっと狭く見えます。
広く見せる家具の置き方の基本は、ベッド、ソファ、大きなテーブルなどの大型家具を部屋の中心ではなく、壁に寄せてレイアウトすることです。こうすることで狭い空間に、「大きな余白」を作ることができる為、広く感じるようになります。

L字の2面の壁を背に、ソファとダイニングテーブルをレイアウトしたリビングダイニング。
コの字の3面の壁を背に、2人掛けソファ、サイドボード、ダイニングテーブルをレイアウトした狭いリビングダイニング。
向かい合う2面の壁に沿って、ダイニングテーブル&テレビボード、2人掛けソファをレイアウトした狭い1LDK。
向かい合う2面の壁に沿って、ソファとテレビボードをレイアウトした狭いリビング。
テラスに抜ける大きな窓がある部屋では、外と繋がる窓面の前を大きく空けると広々とした印象になります。
窓の袖壁とテレビボードやソファの奥行き方向を持ってくると意識しなくても、窓前に家具が無いレイアウトになります。この時、テーブルが無くてもOKな場合は、コーヒーテーブルを無しにしてしまいましょう。
壁面が少なくテレビボードやソファを壁の前に置きたい場合は、下記のレイアウト法を参考にして下さい。
窓際や窓前にソファ-3つのレイアウトとインテリア実例51選
窓の前にテレビを配置-レイアウトのヒントになるリビング32実例
②「揃える」を意識する
余白は、上で紹介した壁際レイアウトでも作ることができますが、更に「揃える」を意識することで「何もない場所(つまり余白)」を作り出すことができます。
線を揃える(平面)
ソファ、ベッド、テーブル、椅子、収納家具などは直線的なデザインの家具です。一つの空間に大きさも形も違う家具を置く時は、上から見た時に家具の線を揃えるように置きます。
例えば、「ダイニングテーブルとコーヒーテーブルの」「テレビボードと収納家具」など、高さや大きさが異なるものでも、端を揃えたり、置く位置を揃えたりすることで部屋の中心に大きな空間を作り出すことができます。

テレビボードと背の高いリビング収納家具を同じ壁面を背にレイアウトした狭いリビング。
ソファの奥行きと2人掛けダイニングテーブルを揃えた狭いリビングダイニング。
テレビボードの奥行きと2人掛けダイニングテーブルの奥行きを揃えた狭いリビングダイニング。
ソファの寝椅子の端とネストテーブルの端を揃えた狭いリビングダイニング。
壁の端とコーナーソファの端を揃えたオープンリビング。
ダイニングルームの端とコーナーソファの端、コーヒーテーブルの端を揃えた縦長リビング。
高さを揃える(立面)

- 壁面に高さの違う家具を並べる
- 壁面にウォールシェルフやオープンシェルフを取り付ける
- 壁にアートを飾る
など壁面を活用したインテリアを作る場合は、棚板の位置や額縁の位置を揃えることで、スッキリとした印象がアップして見えます。

オープンシェルフとウォールシェルフを棚板の高さを揃えて、入口周りの長い壁に取り付けたリビング。
短い壁に、黒の額縁に入れたモノクロアートを2枚、高さを揃えてディスプレイした狭いリビング。
ソファ背面の壁に、上下左右の位置を揃えて大きさの異なるアートを7枚住宅型にディスプレイしたリビング。
この大きな通路を「抜け」と呼び、目に見えない線が真っすぐに伸びる為、狭い部屋でも開放的な印象がアップして見えます。
キッチン・ダイニング・リビングの3箇所の同じ位置に入口からベランダに向かって通路を確保した縦長リビング。
たった1つを守るだけ縦長リビングを広く見せる家具レイアウト術
③「まとまり」と「まとめる」を意識する
ここまで紹介したように家具を部屋の端っこに寄せてレイアウトしたり、家具の位置を揃えたりできたとしても、家具の色やデザインがバラバラだったり、細々としたものがテーブルや家具の上、床に乱雑に置いてある部屋は、ゴチャっとした印象になりがちです。
スッキリとした印象のインテリアを作りたい時は、「まとまり」と「まとめる」と意識しましょう。
デザイン・色・素材を「まとめる」
家具をメーカーやシリーズで揃えると家具のデザインや色は、自然にまとまりますが、引っ越し当初の家具をそのまま何十年も使い続けるという方が少ないです。生活スタイルの変化や経年劣化で、足りない家具を足したり、新たに家具を買い直したりする時は、似たデザイン・素材・色を意識してコーディネートしてましょう。

インテリアに慣れていないと「デザイン・色・素材」をまとめるのは難しそうに感じてしまいますが、「直線的な(まっすぐな)デザインの家具で揃える」「家具の取っ手のデザインを揃える」「木目の明るさを揃える」といった小さな共通点を見つけるだけでも「まとまった」雰囲気を演出することができます。
ナチュラルブラウンとペールグリーンの木箱を積み上げてオープンシェルフ収納にしたリビング。
3人掛けソファとスツールクッションを色違いのチェック柄で揃えたリビング。
コーヒーテーブルとダイニングテーブル、ソファとダイニングチェアの色をそれぞれ揃えた縦長リビング。
コーヒーテーブル、テレビボード、チェアの座面、サイドテーブル、ラグを似たようなナチュラルブラウンでまとめた狭いリビング。
余白のまとまりを作る
最初の方に書いた「揃える」を意識するを作ることが難しい、無駄に横に長い部屋や壁面が少ないオープンリビングでは、中央に広く空いたスペース(余白)を作ることを意識しましょう。


ソファをダイニングの方に向かってレイアウトし、ダイニングテーブルを丸型でコーディネートした横長リビング。ソファの前に大きな余白があるので広く見える。
対角線上にあるコーナーに寝椅子付きソファと4人掛けテーブルをレイアウトした横長リビング。ダイニングとリビングの間に、大きな余白がある。
細々したものをまとめる
クッション・ブランケット、テレビや照明器具・エアコンのリモコン、雑誌など、すぐ手に取って使いたいものをソファ周りに集めがちです。バスケットや小物収納を活用して、生活に必要な細々したものを1箇所にまとめましょう。
小物収納にお薦めのデザイン3つ。
- 蓋付デザイン(ごちゃごちゃしてても蓋で隠すことができる)
- テーブルの下に収めることができるデザイン(家具と重ねることで空間の中にあるものの数を少なく見せることができる)
- インテリアに馴染むデザイン(異物感が無い為おしゃれに見える)
ソファの隣に、ワイヤーバスケットを置いて丸めたブランケットとクッションを収納したリビング。
壁を背にしたコンソールテーブルの下にトランク型収納、ソファの前にクッションやブランケットを入れたバスケットをレイアウトしたリビング。
④広く見える色を使う
インテリア家具に多くみられる木目やソファ・ラグ・カーテン・クッションに使われているファブリック(布)など、インテリアには様々な色が混在します。
色を意識してインテリアを作るとスッキリ感と広さの感じ方が違って見えます。狭い部屋や家具をギッシリ詰め込んだ部屋では次の3点を意識してみましょう。
広く見える色の代表は白っぽい色と寒色
色の中で一番明度が高いホワイトと冷たい印象の寒色は、スッキリ感と広さを演出する色です。ベージュや薄いグレーも白っぽい色です。
コーナーソファを濃い水色、テレビボードをホワイト、壁紙をホワイト×くすんだブルーのパターン柄でまとめたリビング。
薄いグリーンのアクセントクロスとソファをコーディネートしたリビング。
薄い水色のアクセントクロスを背に、ホワイトレザーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネートしたリビング。
薄めのグレーの壁紙をコーディネートしたリビング。
白っぽいグレー、白っぽいベージュ、ホワイトでまとめたリビング。
コーナーソファとテレビボードをホワイトでまとめたリビング。
レンガ壁、テレビボード、カーテン、コーヒーテーブルをホワイトでまとめたリビング。
ホワイトをポイントに使う
ホワイトは清潔感を選出し、「何もない」印象を作り出す色です。
壁紙がホワイト系だった場合、インテリアの中に敢えてホワイトを使うという発想はなかなかできないと思いますが、ランプシェード・クッションカバー・インテリア雑貨などの小面積でホワイトを足すと、スッキリとした印象がアップします。
ソファ、ブランケット、コーヒーテーブル用トレイをホワイトでまとめたリビング。
フロアランプ、ミニコーヒーテーブル、クッションのポイントをホワイトでまとめたリビング。
ラグの一部、クッションの一部、チェア用ムートンにホワイトを使ったリビング。
色を使うなら2色まで
いくら広く見えるように家具を置いていても、赤・青・緑・黄色など様々な色が混じった空間は、ごちゃごちゃした印象になります。目立つ色を取り入れるなら2色までに抑えましょう。
フロアランプを暗いイエロー、丸型スツールをくすんだグリーンにした狭いリビング。
ラグとニットスツールを薄い紫、カーテンとミニコーヒーテーブルを薄いピンクでまとめた狭いリビング。
家具をホワイト・薄いグレー・ブラックのモノトーンでまとめ、オレンジとイエローの本でアクセントカラーを足した狭いLDK。
アクセントクロスを鮮やかさの少ないグリーン、ソファとダイニングチェアをグレーでまとめた狭いリビングダイニング。
壁面に取り付けた6か所のウォールシェルフに、ブラックとホワイトの本だけを並べたリビング。
すっきり感や広さを演出するインテリアの作り方のコツが掴めたでしょうか。
ポイントをおさらいすると
①家具は壁際に置く
②揃える(位置・高さ)
③まとめる(「デザイン・色・素材」「家具の塊(まとまった余白を作る)」「細々したもの」)
④広く見える色を使う(白っぽい色・寒色、2色まで)
の4点です。
好みのデザインや好きな色の家具をやみくもに置くのではなく、上のポイントを抑えながらインテリアを作っていくと、同じ面積の部屋でも、すっきりとした印象や広さの感覚が違ってきますので、取り入れてみて下さい。