インテリアの配色の基本は3色以内でまとめるのが一般的です。
あまり色が多すぎると
といったデメリットがあるからです。
しかしながら、室内はパソコンやスマホの画面のように平らではありません。そのため、「3色まででまとめる」と言われても難しいような気がします。
床・壁(一部は建具や窓)・天井に囲まれた立体的な空間の中に、ソファや収納家具・テーブル・カーテン・ラグなど、さらに立体的なものをコーディネートしなければならないインテリア。一見難しそうに感じる3色使いですが、1つ1つの色をどこに使い、どのように配分すれば良いかのセオリーがあります。
基本となる3色の使い方と配分や比率、実際のコーディネート実例を見ていきましょう。
インテリア配色3色の場所と割合
インテリアの印象を左右する「ベースカラー」
どんな部屋でも部屋は床・壁・天井の立体的な箱になっています。
この箱の内部を構成する色を「ベースカラー」と呼び、空間全体の70%を占める部分になります。壁と天井は空間を広く見せるために、ホワイトを基調とした色を使うのが一般的です。
「ベースカラー」の選び方
「ベースカラー」と呼ばれる部分で私たちが一番気をつけるべき場所は、「床の色」になります。
「落ち着きや高級感を出したい時は、暗い茶色」、「明るく開放感を出したい時は白っぽい茶色」など、床の色は、空間の印象を決定づける重要な役割を果たしています。
また、建具やテーブル・家具に木目を使う場合は、「床の木目と明るさを揃える」か「壁の色に馴染ませる」かの2択になります。床の色は、他の家具を選定する時にもコーディネートの主軸となることが多い為、作りたい空間を想像しながら、慎重に選んでいく必要があります。
床の色を決める!床色の最新トレンドや壁色との相性を加味した選び方&実例
さらに、インテリアを作る時、北欧インテリアやモダンインテリアなど、ある程度テイストを絞ってコーディネートする場合は、「暗い床の色では北欧インテリアが作りにくい。」「無機質なモダンインテリアを作りたいのに、床の色の温もりが邪魔をする。」といったように、床の色とインテリアスタイルとの相性も加味する必要が出てきます。
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インテリアのテーマとなる「メインカラー」
部屋を構成する場所(床・壁・天井)以外のソファやテーブル・収納家具・ラグ・カーテンなど、大きめの面積の色を「メインカラー」と呼び、「メインカラー」は、空間全体の25%前後を占めます。
「メインカラー」となる場所は、料理で言えばメインディッシュ。
ソファ・ラグ・カーテンは、室内を構成する床・壁・天井とは異なり、自分自身で色を考えて加えなければなりません。「メインカラー」は、「ナチュラルな雰囲気にしたい。」「上品な空間を演出したい。」「かっこいい雰囲気にしたい。」など、空間全体のテーマとなる部分なので、予め「どんな雰囲気のインテリアを作りたいか」を考えてから色を決めていくとコーディネートをスムーズに進めることができます。
「メインカラー」の選び方2パターン
「メインカラー」にどんな色を選べば良いか迷った時は、まず「ベースカラー」(床・壁・天井の色)がどんな色みなのかを分析し、「ベースカラー」と馴染ませるか「ベースカラー」を引き立てるかを考えます。
「ベースカラー」と「メインカラー」を馴染ませるコーディネート
「ベースカラー」の床や壁に馴染むオフホワイト・ベージュ・薄いブラウンなどの主張の弱い「メインカラー」を使う無難で飽きの来ないコーディネートの仕方です。
グレイッシュな薄いブラウンのフローリング・ホワイト系の壁&天井と白っぽいグレーのソファ・グレーのラグを組み合わせ、全体的に白っぽい空間を演出。
明るめのブラウンのフローリング・ホワイト系の壁&天井と白っぽいベージュのソファ&ラグを組み合わせ、温もりのある開放的な空間を演出。
白っぽい薄い茶色のフローリング・ホワイトの壁&天井&カーテンと白っぽいベージュのソファ・薄いグレーのラグ・明るめの茶色の木目のリビングテーブルを組み合わせ、ナチュラルで開放感のある空間を演出。
「ベースカラー」を引き立てる「メインカラー」のコーディネート
- 茶系&ベージュ系&ホワイト系でまとめた暖色空間に冷たい色のメインカラー
- 薄い茶系&ベージュ系&ホワイト系でまとめた淡い空間に濃い色のメインカラー
など、室内を構成する色みと違う色をメインカラーに使うコーディネートの仕方です。
明るめのブラウンのフローリング・明るめのブラウンの木目のアクセント壁・白っぽいベージュの壁&天井とブラックの2人掛けソファ・白っぽいベージュのラグ・濃いめの青緑のラウンジチェアを組み合わせた高級感のある空間を演出。
白っぽい茶色のフローリング・白っぽいグレーの壁紙と濃いブルー系のソファ・ブラックの細い線が入ったベージュのラグ・茶色の木製長方形リビングテーブル・茶色の木製チェアを組み合わせて、ナチュラルで落ち着きのある空間を演出。
茶色のフローリング・ホワイトの壁&天井と暗いブルーのコーナーソファ・濃いグレーのラグ・濃いめの茶色の木目のテレビボードを組み合わせ、落ち着きと高級感のある空間を演出。
また、「ベースカラー」よりも濃い「メインカラー」を使うのも「ベースカラー」を引き立てるコーディネート法の一つです。
茶色のフローリング・薄いグレーの壁&天井と黒っぽいグレーのコーナーソファ・グレーのラグ・黒の丸型リビングテーブルを組み合わせて、どっしりとした落ち着きのある空間を演出。
空間に花を添える「アクセントカラー」
最後に、インテリアに花を添えるようにアクセントカラーを加えます。アクセントカラーの割合は、空間全体の5%ほどです。
アクセントカラーは、先に紹介した「ベースカラー」や「メインカラー」とは異なり、主張の強い色を選ぶようにしましょう。特に、「ベースカラー」と「メインカラー」を馴染ませたぼんやりとした空間の「アクセントカラー」の効果は絶大です。
アクセントカラー単色のコーディネート
茶色のフローリング・ホワイトの壁&天井とアイボリーのソファ・白っぽいブラウンのラグ・シルバーの丸型コーヒーテーブルでまとめた開放的な空間に、クッション・ガラス雑貨で赤のアクセントカラーを加え、エネルギッシュな印象をプラス。
グレーの木目調床・ホワイトの壁&天井とグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネートした寂しげな空間に、クッション・ブランケット・アートで淡いピンクのアクセントカラーを加え、温もりとキュートな印象をプラス。
薄い茶色の木目のフローリング・ベージュの壁とホワイトのソファでまとめた淡い配色の空間に、クッションで鮮やかなオレンジ色のアクセントカラーを足して明るさをプラス。
薄い茶色の木目のフローリング・ベージュの壁&天井とベージュのソファ・ベージュのラグでまとめた温もりと開放感のある空間に、クッションとチェアでオレンジ色・黄色っぽいオレンジ色・イエローのアクセントカラーを足して、華やかな印象をプラス。
黒っぽい茶色のフローリング・ホワイトの壁&天井とダークグレーのソファ・シルバー鏡面のリビングテーブルでまとめた無機質な空間に、花とクッションで鮮やかなイエローのアクセントカラーを足して、華やかさと温もりをプラス。
濃いめの茶色の木目のフローリング・薄いグレーの壁&天井と濃いグレーのソファ・白っぽいグレーのラグ・ホワイトのテーブル&収納家具でまとめた冷たい空間に、クッション・アートで様々な色合いのブルー系のアクセントカラーを足して、スッキリ感をプラス。
くすんだ薄いブラウン系の大理石調タイル床・薄いベージュの壁&天井とアイボリーのソファ・床色に似たくすんだ薄いブラウン系のラグ・グレーのファブリック製チェアでまとめた上品な淡い空間に、クッションで紫のアクセントカラーを足して、高貴な印象をプラス。
ブラウンの木目のフローリング・ホワイトの壁&天井と薄いベージュのソファ・黒っぽいグレーのラグでまとめた無機質な空間に、クッションとオットマンで鮮やかな黄緑と深い緑のアクセントカラーを足して、癒し感をプラス。
※補色とは、色相環で反対側にある色+左右の2〜3色。
暗いブルーのソファの上に、鮮やかなオレンジ色の無地クッションをコーディネート。
アクセントカラー2色のコーディネート
さらにアクセントカラーを1色選び、補色関係にあるもう1色を足したダブル使いにすると、おしゃれな印象がアップして見えます。
アクセントカラーを濃く緑がかったブルーと鮮やかなイエローで組み合わせ、ブルーの割合を多めにしたリビング。
アクセントカラーをグレイッシュなピンクとグレイッシュなグリーンで組み合わせ、グリーンの割合を多めにした北欧インテリア。
いかがでしたか。
「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3つに分けて、それぞれの色の場所や配分比率、色の選び方を紹介しましたが、カラーコーディネートのヒントになったでしょうか。
最後に、インテリア配色3色をもう一度まとめます。
どこに使う?/選び方のポイント | |
ベースカラー70% | 床・壁・天井の色/このうち、床の色で空間の印象が左右される。建具やメインカラーのテーブル・収納家具などの木目と合わせる場合のことも想定して、床の色は慎重に選ぶ。 |
メインカラー25% | ソファ・テーブル・収納家具など大きめのインテリアアイテムの色/ベースカラーに馴染む淡い色合いを選定する方法とベースカラーを引き立てる色合い(暖色の空間に寒色のソファ、白っぽい空間に濃い色合いのソファなど)を選定する方法の2種類ある。 |
アクセントカラー5% | クッション・アート・雑貨などの色/主張の強い色を選ぶ。暖色の空間に寒色のアクセントカラー、暖色と寒色のアクセントカラーなど、補色を効果的に使うと、おしゃれな印象がアップして見える。 |
「インテリアの色は3色まで」と言われている理由は、人の視覚がいっぺんに色を認識できる範囲だからです。
また、70%対25%対5%の比率は、最もバランスが良いと感じる配分です。
私たちがインテリアで色を考える場所は、主に「メインカラー」と「アクセントカラー」の2箇所になります。部屋の基調色(ベースカラー)がどんな色なのかを吟味して、「メインカラー」を上手く馴染ませ、思いっきり目立つ「アクセントカラー」を加えて、素敵な空間を作っていきましょう。