「床の色と壁の色」「床の色と家具の色」「壁の色と家具の色」など、インテリアの基本的な配色を決める時、覚えておきたいものに「①広く見える配色と狭く見える配色」と「②高そうに見える配色と安っぽく見える配色」の2つがあります。
近年は、ダイニングとリビングとが同じ空間にある間取りが多い為、ソファ・コーヒーテーブル・テレビボード・ダイニングテーブルなどを1つのスペースにギュッと詰め込んで配置する必要が出てきています。家具の数は、多ければ多いほど狭く見え、逆に少ないと広く見える傾向にありますが「①広く見える配色と狭く見える配色」を知っていると、同じ家具の数でも広く見える空間を作り出すことができます。
また、家具の大きさは、色に関係なく同じサイズなので、先述した「広く見える色と狭く見える色」や「高そうに見える色と安っぽく見える色」を知っているのと知らないのとでは、完成したインテリアに大きな差がでてきます。さらに、壁の色を一部変えることができるアクセントクロスなどもあり、壁面をどの色にするかによっても、空間が狭く見えたり、広く見えたりします。
「広い・狭い」「高級・安価」の2点に絞って、リビングダイニングのインテリア配色を解説していきましょう。(パースは、縦長リビング。※ダイニングとリビングが縦長にある間取りです。)
- 1. ①「広く感じる色」と「狭く感じる色」
- 1.1. 床面の配色
- 1.2. 壁面の配色
- 1.3. 床面と家具の配色
- 1.4. 壁と家具の配色
- 1.4.1. 壁:ホワイト 家具:ブラック
- 1.4.2. 壁:ホワイト 家具:ダークブラウン
- 1.4.3. 壁:ホワイト 家具:ミディアムブラウン
- 1.4.4. 壁:ホワイト 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
- 1.4.5. 壁:グレー 家具:ブラック
- 1.4.6. 壁:グレー 家具:ダークブラウン
- 1.4.7. 壁:グレー 家具:ミディアムブラウン
- 1.4.8. 壁:グレー 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
- 1.4.9. 壁:ブラック 家具:ブラック
- 1.4.10. 壁:ブラック 家具:ダークブラウン
- 1.4.11. 壁:ブラック 家具:ミディアムブラウン
- 1.4.12. 壁:ブラック 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
- 2. ②高級に見える色と安く見える色
- 3. ③広く感じる×高級感のベスト配色
①「広く感じる色」と「狭く感じる色」
まず、「広く感じる色」と「狭く感じる色」ですが、「床面」「壁面」「家具」の3箇所に分け、下記の色を組み合わせたインテリアパースを見ていきましょう。
床面(フローリング):ナチュラル(ライト)ブラウン・ミディアムブラウン・ダークブラウン
壁面:ホワイト・グレー・ブラック(無彩色)
家具:ナチュラル(ライト)ブラウン・ミディアムブラウン・ダークブラウン・ブラック
床面の配色
狭い部屋を広く見せたい時は、
- フローリングなら「白っぽい茶色の木目」
- 大理石調なら「ホワイト×グレー」
- コンクリート調なら「白っぽいグレー」
を選ぶようにしましょう。
壁面の配色
全周ホワイト
全周グレー
長い面のみグレー(アクセント)
短い面のみグレー(アクセント)
全周ブラック
短い面のみブラック(アクセント)
長い面のみブラック(アクセント)
※組み合わせが複雑になる為、床の色はナチュラル(ライト)ブラウンのみ
【ブラックの方が広く見える理由】
壁面は視線の先(正面)にあります。
同じ面積のホワイトとブラックを正面から見た場合、ホワイトは膨張色の為、実際よりも大きく、ブラックは収縮色の為、実際よりも小さく見える特徴があります。
「遠くに見えるものは小さく見える」ことから、ホワイトとブラックの壁面が同じ位置にあっても、ブラックの壁の方が遠くに見えます。壁が奥に見えると、空間が広く感じるようになる為、部屋が広く見えるのです。※ブラックの壁の位置によります。
ブラックの壁をどこにするかは、間取りや空間の形によります。
「遠くに見せたい壁をブラックにする」を念頭において、配色を決めましょう。
床面と家具の配色
ダークブラウンの床と家具配色
ミディアムブラウンの床と家具配色
ナチュラル(ライト)ブラウンの床と家具配色
床の色がどの色であっても、家具の色は「ダークブラウン<ミディアムブラウン<ナチュラル(ライト)ブラウン」の順で広く見えます。無彩色の家具を組み合わせる場合は、「ブラック<グレー<ホワイト」の順で広く見えます。
結論として「ダークブラウンの床とダークブラウンの家具、またはブラックの家具の組み合わせ」が一番狭く見え、「ナチュラル(ライト)ブラウンの床とナチュラル(ライト)ブラウンの家具、またはホワイトの家具の組み合わせ」が一番広く見えます。
■狭く見える配色
■広く見える配色
壁と家具の配色
壁:ホワイト 家具:ブラック
壁:ホワイト 家具:ダークブラウン
壁:ホワイト 家具:ミディアムブラウン
壁:ホワイト 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
壁:グレー 家具:ブラック
壁:グレー 家具:ダークブラウン
壁:グレー 家具:ミディアムブラウン
壁:グレー 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
壁:ブラック 家具:ブラック
壁:ブラック 家具:ダークブラウン
壁:ブラック 家具:ミディアムブラウン
壁:ブラック 家具:ナチュラル(ライト)ブラウン
組み合わせが複雑になる為、床の色はミディアムブラウン、壁は短い面(正面)のみ変更。
家具の色は「ダークブラウン<ミディアムブラウン<ナチュラル(ライト)ブラウン」の順で広く見えます。
上記を総合すると、「壁がブラックで家具がナチュラル(ライト)ブラウンの組み合わせ」が最も広く感じる配色になります。
■ダークブラウンの床でブラックの壁とナチュラル(ライト)ブラウンの家具の組み合わせ
■ミディアムブラウンの床でブラックの壁とナチュラル(ライト)ブラウンの家具の組み合わせ
■ナチュラル(ライト)ブラウンの床でブラックの壁とナチュラル(ライト)ブラウンの家具の組み合わせ
上記の「ダークブラウンの床・ナチュラル(ライト)ブラウンの家具・ホワイトの壁」の空間と「ダークブラウンの床・ナチュラル(ライト)ブラウンの家具・ブラックの壁」の空間を比較した場合、「ダークブラウンの床・ナチュラル(ライト)ブラウンの家具・ブラックの壁」の方が正面の壁が遠くに見えます。このことから、「壁をブラックにしたら狭く見える」は間違いで、「壁をブラックにした方が遠くから見た時広く感じる」が正解です。
②高級に見える色と安く見える色
同じ家具でも、白っぽい茶色の木目より、黒っぽい茶色の木目の方が高級感がアップして見えます。
また、壁の色は、ホワイトよりもブラックの方が高級感がアップして見えます。
- 床の色は、「ナチュラル(ライト)ブラウン<ミディアムブラウン<ダークブラウン」の順で高級に見える
- 壁の色は、「ホワイト<グレー<ブラック」の順で高級に見える
- 家具の色は、「ナチュラル(ライト)ブラウン<ミディアムブラウン<ダークブラウン&ブラック」の順で高級に見える
上記のポイントを加味すると、一番高級に見える組み合わせは、「ダークブラウンの床とブラックの壁とダークブラウン、またはブラックの家具」になります。
しかしながら、この組み合わせは、「広い・狭い」を考えた時、一番狭く見える配色です。
③広く感じる×高級感のベスト配色
これまで、同じ空間でも、床・壁・家具の3か所の色によって、広さと狭さ、高級感と安っぽいが違って見えると説明してきました。
ここまで読んで、「一番広く見える配色」と「一番高級に見える配色」が対極にあることに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
■一番広く見える配色
■一番高級に見える配色
これでは「広さ」か「高級感」のどちらかを優先してインテリアの配色を決めなければならない、となってしまいますが、実際は、部屋が広く感じ、高級感もある配色にすることも可能です。
床の色別に、広さと高級感の両方を感じる配色を紹介していきましょう。
床の色が暗い
床の色が暗い時は、家具を明るい配色にすることで「広さ」と「高級感」の両方を感じるインテリアを作ることができます。※家具の隙間から見える床色で高級感を出し、家具で広さを演出。
ダークブラウンのフローリングのリビングダイニングに、薄いグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下にグレーのラグを敷き、ミディアムブラウンの木目の収納付長方形コーヒーテーブルをプラス。ソファ正面の壁を背に、ミディアムブラウンの木目のテレビボードをレイアウト。木目家具以外は薄い配色にして、広さを演出したミッドセンチュリースタイルのインテリア。
黒っぽいダークブラウンのフローリングのリビングに、白っぽい茶色のコーナーソファをコーディネート。
ソファの下に、グレー×ホワイトの曲線幾何学模様のラグを敷き、ダークブラウンの木とガラスを組み合わせた個性的なデザインの正方形スツールテーブルを3脚プラス。長い壁に、ダークブラウンの木目×ホワイト鏡面の収納家具をレイアウト。無彩色の大きなラグを敷き、床に広さを持たせ、壁面を背にした家具で高級感を出したミッドセンチュリースタイルのインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ブラックレザーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいベージュのカウハイドラグを敷き、黒の金属脚と濃いめのミディアムブラウンの木製天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブルをプラス。ソファ正面の壁に、ホワイトのカウンターを取り付け、壁掛けテレビをレイアウト。ラグと壁色で広さ、ソファで高級感を演出したミッドセンチュリースタイルのインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトレザーのコーナーソファをコーディネート。
ソファの下に、薄っすらとブラックの模様が入ったヴィンテージなライトグレーのラグを敷き、黒の細い金属脚とミディアムブラウンの収納付木製天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブルをプラス。壁面に薄いグレーの壁紙を貼り、長い壁を背に、ダークブラウンの木とダークグレーのファブリックを組み合わせたアームチェアを2台レイアウト。リビングの中央を薄い配色にして、広さを演出したミッドセンチュリースタイルのインテリア。
ダークブラウンのヘリンボーン床のリビングに、ブラックの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいブラウンのラグを敷き、ブラックの細い金属脚とブラックの木製トレイを組み合わせた長方形コーヒーテーブルをプラス。ソファ正面の壁を背に、背の高いブラックの木製オープンシェルフをレイアウト。ソファ、テーブル、収納を長細い空間に沿って川の字にレイアウトすることで、圧迫感を少なくしたコンテンポラリースタイルのインテリア。
床の色が無難な明るさの場合
床の色が無難な明るさの時は、以下の2つの配色の仕方があります。
①家具を暗い配色にして「高級感」、壁面をホワイトや薄いグレーにして「広さ」を演出します。
②家具を白っぽい配色して「広さ」、壁面をブラックやダークグレーにして「高級感」を演出します。
ミディアムブラウンのフローリングのリビングに、グレーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、赤みがかったグレーのシャギーラグを敷き、ホワイトの金属脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをプラス。長い壁を背に、ミディアムブラウンのローボードをレイアウトし、上部にブラックのオープンラックを取り付け、ソファ正面にブラックレザーのイームズラウンジチェアを配置。床と離れた位置の壁面に黒を配色し、高級感を出したモダンスタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングのリビングに、ブラックの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、グレーのラグを敷き、シルバー金属脚とブラック鏡面天板を組み合わせた背の低い長方形コーヒーテーブルをプラス。壁にグレーの壁紙を貼り、窓を背にブラックのシンプルなチェアを2脚レイアウト。ソファ正面の壁を背に、ブラックのテレビボードを配置。無彩色のみでまとめたモダンスタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングのリビングに、黄みがかったブラウンの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、黒の斜め線が入った白っぽいベージュのラグを敷き、黒の棚付き木製脚とミディアムブラウンの収納付天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブルをプラス。ソファとコの字に、ブラックの木製脚と薄いグレーのファブリックを組み合わせたラウンジチェアをレイアウト。壁と天井を白っぽいグレーにして、ホワイトのカーテンをハンギング。暗過ぎない茶色を配色して、くつろぎ感を出したコンテンポラリースタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトレザーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、くすんだ赤×くすんだブルー×ライトグレーのヴィンテージな花柄のラグを敷き、シルバー金属のジオメトリックデザインの脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをプラス。ソファとL字に、ホワイトレザーのパーソナルソファ、壁を背に、ミディアムブラウンのヴィンテージな木製サイドボードをレイアウト。壁に、暗いグレーの壁紙を貼り、高級感を出したコンテンポラリースタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのヘリンボーン床のリビングダイニングに、グレーの寝椅子付き2人掛けフロアソファをコーディネート。
ソファ正面の壁を背に、ブラックのオープンシェルフとホワイト天板を組み合わせたテレビボードをプラス。窓と反対側の壁に、ダークグレー鏡面のアクセント壁をレイアウト。ダイニングスペースに、ホワイトの丸型テーブル、ミディアムブラウンの木とグレーのファブリックを組み合わせたチェアを配置。暗いグレーとホワイトでメリハリを演出したコンテンポラリースタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングのリビングに、白っぽいグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、薄いグレー×ホワイトの幾何学模様ラグを敷き、シルバー金属のジオメトリックデザインの脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをプラス。短い壁にブラックのアクセントクロスを貼り、ソファ正面に、ミディアムブラウンの木目扉とホワイトキャビネットを組み合わせたテレビボードをレイアウト。中心に白っぽいグレーを配色して広さ、壁面に黒を配色して高級感を演出したモダンスタイルのインテリア。
床の色が白っぽい場合
床の色が白っぽい時は、以下の2つの配色の仕方があります。
①家具を暗い配色にして「高級感」、壁面をホワイトや薄いグレーにして「広さ」を演出します。
②家具を白っぽい配色して「広さ」、壁面をブラックやダークグレーにして「高級感」を演出します。
ナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、ブラックレザーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、赤みがかった薄いグレーの凸凹したラグを敷き、ブラックレザーの正方形スツールテーブルを2台プラス。ソファ正面の壁に、ブラックのコンソールテーブル風テレビボード、ソファと斜めに、ブラックの木とグレー×ブラックのパターン柄のファブリックを組み合わせたアームチェアをレイアウト。家具を壁の両端に寄せ、真ん中を広く取り、開放感を出したインダストリアルスタイルのインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、ブラックレザーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、グレーのラグを敷き、ブラックの金属脚とホワイト×グレーの大理石調天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをプラス。ソファと対面にゴールド金属とオフホワイトのファブリックを組み合わせたアームチェア2台、ソファとL字に薄い茶色の木と白っぽい茶色のラタンを組み合わせたアームチェア2台をレイアウト。ソファ周りに高級感、残りで広さを演出したコンテンポラリースタイルのインテリア。
ライトブラウンのフローリングのリビングに、ブラックレザーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、薄いグレーのラグを敷き、透明素材の長方形コーヒーテーブルをプラス。ソファの左右に、ホワイトのシンプルな長方形サイドテーブルを置き、ホワイトシェードのテーブルランプをレイアウト。ソファの色を暗くして重厚感を出したモダンスタイルのインテリア。
ライトブラウンのヘリンボーン床のリビングに、白っぽいグレーの寝椅子付き2人掛けフロアソファをコーディネート。
ソファの下に、ブラックの斜め線が入った薄いグレーのラグを敷き、ホワイトの長方形トレイテーブルをプラス。ソファ背面の壁(長い方の壁)にブラックのアクセントクロスを貼り、ソファと対面にブラックレザーのイームズラウンジチェアをレイアウト。向き合う2面の壁にブラックを配色して、高級感を出した北欧スタイルのインテリア。
ナチュラルブラウンのヘリンボーン床のリビングに、ダークグレーの4人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ライトグレー×くすんだ薄いコーラルピンク×くすんだ薄い水色×くすんだ薄い紫×ダークグレーのパターン柄のラグを敷き、ブラック金属の1本脚とホワイト×グレーの大理石調天板を組み合わせた楕円形コーヒーテーブルをプラス。壁、ガラス格子間仕切り、カーテンをブラックで統一し、天井にブラックのシーリングファンをハンギング。中央を薄い配色にして開放感を出したモダンスタイルのインテリア。
同じ向きからのパースを使って「狭さと広さ」「高級感と安っぽさ」の2点に絞って、配色のコツを説明しましたが、伝わったでしょうか。
また、2つを組み合わせた「広くて高そうに見えるインテリア配色」は、家具や壁紙の色選定の際に、覚えておきたい知識の一つです。
筆者は、新しく建った建物や改装後の内装を見るのが好きなのですが、「おしゃれだな」と感じる空間は、例え狭くても、上記のポイントを上手く活用して、安っぽく感じない洗練された雰囲気にしてあることが多いように思います。