新築やリフォーム&リノベーションで住まいの内装を触る時や内装が完成している既存の建物に引っ越す時、また、店舗やテナント内の内装色を考える時など、“初めて室内のコーディネートを考える”機会を目の前にして、戸惑う方を多く見かけます。
これは、建築やインテリアに関わる仕事をしていない場合、内装色やインテリア配色を考える機会がそうそうあるものではなく、ベースとなるものが頭にないからです。
建築や設計に従事している人には当たり前となっている知識がない為、いきなり「床やドアの色はどうします?」「どんな色の家具を置かれます?」と聞かれても、「茶色の木目の家具ですが・・・」と、引き出したい答えと実際の答えに差が出てしまうことも。
すでに完成しているお家に家具を選ぶ場合も同様です。
内装色を決める場合も家具を選ぶ場合も、「こんな色合いにしたい」という大雑把なイメージがあれば、コーディネートがスムーズに進みます。
細部まで決めておく必要はなく、なんとなく「こんな雰囲気」というものを決めておくことで、「合わせる家具やファブリックの色を考えやすい。」「空間全体を通して、何が足りないのかを考えやすい。」といった次へのステップが作りやすく、選ぶものに迷いが出ません。
まずは、インテリアの色合いのベースとなる
- インテリアや内装色に「どんな色合いがあるのか」とそれぞれの特徴
- 上記の色合いは、「実際にどんなインテリアスタイルのコーディネートが合うのか」
を紹介しますので、インテリア作りのヒントにしてください。
色合いの決め方と基本となる3つ
床・ドア、家具に木目を使うと想定します。
木目の明るさは、「淡い(薄い・白っぽい)」「中間」「濃い(暗い・黒っぽい)」の3つです。
木目をどのパターンにするかで、空間の印象が違ってきます。
床と家具の色合いを揃えた3パターンの空間シミュレーションを見てみましょう。
淡い色合いのインテリアコーディネート
淡い色合いのインテリアは、開放感がありナチュラルな印象の空間です。
デメリットは、「黒っぽい汚れが目立つこと」です。
木目ならナチュラルブラウン、木目以外ならホワイト・ベージュ・薄いグレーをコーディネートします。白っぽい色を選定すると広々とした印象になります。
モダンインテリア・コンテンポラリーインテリア・北欧インテリア・シャビーシックインテリアなどと相性が良い色合いです。
薄い茶色の木目の床・装飾壁・リビングテーブル・ダイニングチェア・カウンタースツール、ホワイトのダイニングテーブルをコーディネートしたモダンスタイルのLDK。
薄い茶色の木目の床・リビングテーブル・オープンラックとホワイトの収納家具をコーディネートしたコンテンポラリースタイルのリビング。
薄い茶色の木目の床・ダイニングテーブル、ベージュのウォールキャビネット(リビング収納用)、ホワイトのダイニングチェア・リビングテーブル・テレビボードをコーディネートした北欧スタイルのリビングダイニング。
薄い茶色の床、ベージュの壁をコーディネートしたシャビーシックスタイルのLDK。
中間くらいの色合いのインテリアコーディネート
中間くらいの色合いのインテリアは、リラックス感があり、ほどよく落ち着ける空間です。
デメリットは、「無難な印象のインテリアになりがちなこと」です。老若男女、誰にでも親しまれやすい傾向にある色合いです。
木目はミディアムブラウン、木目以外ならホワイト・ベージュ・グレーなどとコーディネートします。ベージュやグレーは、やや濃くても大丈夫ですが、白っぽい色を選んだ方が天井に向かって色が明るく(薄く)なる為、開放感が出ます。
モダンインテリア・コンテンポラリーインテリア・北欧インテリア・ミッドセンチュリーインテリアなどと相性が良い色合いです。
中間くらいの茶色の木目の床・リビングテーブルをコーディネートしたモダンスタイルのリビング。
中間くらいの茶色の木目の床・ダイニングテーブル・キッチンをコーディネートしたコンテンポラリースタイルのLDK。
中間くらいの茶色の木目の床・リビングテーブル・テレビボードをコーディネートした北欧スタイルのリビング。
中間くらいの茶色の木目の床・ミラー・チェアをコーディネートしたミッドセンチュリースタイルのリビング。
濃い色合いのインテリアコーディネート
濃い色合いのインテリアは、どっしりとした落ち着きのある空間です。
デメリットは、「狭く見えること」「白っぽい埃が目立つこと」です。
木目はダークブラウン、木目以外はならホワイト・ベージュ・濃いベージュ・グレー・ダークグレーなどとコーディネートします。床や家具の暗さに合わせて暗い色の壁紙を使うとシックな印象がアップして見えます。
モダンインテリア・アーバンモダンインテリア・コンテンポラリーインテリア・・ヴィンテージインテリアなどと相性が良い色合いです。
濃い茶色の木目の床・板針壁・テレビボードをコーディネートしたモダンスタイルのリビング。
濃い茶色の木目の床、中間の茶色の木目のリビングテーブル・テレビボードをコーディネートしたコンテンポラリースタイルのリビング。
濃い茶色の木目の床・リビングテーブル、黒の収納家具をコーディネートしたアーバンモダンスタイルのリビング。
濃い茶色の木目の床・リビングテーブルをコーディネートしたインダストリアルスタイルのリビング。
淡い色合い・中間の色合い・淡い色合いの空間の比較
上の3つのカラーシミュレーションは、床と家具の色が違うだけで、部屋の大きさ・ソファ&ラグ&カーテンの色は同じです。
3つ並べると一番左の「淡い色合い」が最も広く見え、一番右の「濃い色合い」が最も高級に見えます。
近年は、プリント技術が向上している為、黒っぽい・くすんだ・白っぽいなど、上記以外にも様々な色合いの木目がありますが、基本的には、「明るい」「中間くらい」「暗い」の3つの中から基本的な色合いを決めていきます。
先述した通り、どの色合いにもメリットデメリットがあり、「この色合いが正解」というものはありませんが、場所(部屋)に適した色合いもあります。
場所(部屋) | オススメの色合い/その理由 |
リビング | 淡い色合い/白っぽい空間は広く見える為 |
寝室 | 濃い色合い/暗い空間は落ち着く為 |
洗面所・ランドリールーム | 淡い色合い/白っぽい色は清潔感があり水廻りに最適。タオル等の糸屑や埃が溜まりやすい場所なので、濃い色合いにするとこれらが目立つ。 |
トイレ | 淡い色合い・濃い色合い/水廻りなので清潔感の出る淡い色合いが良いが、リラックス感を重視して濃い色合いにするのもあり。どちらかに振り切ったコーディネートがおすすめ。 |
また、ここ数年の木目の色合いのトレンドに“くすみカラー”がありますが、“くすみカラー”は鮮やかさが少ないだけで、明るさによる選び方は同じです。
淡い色合い・中間の色合い・濃い色合いの3つの中からどの色合いを選ぶかは、年齢や好みによる部分が多いですが、ある程度の年齢になると「白っぽい空間は眩しすぎて落ち着かない。」という場合もあるので注意しましょう。
グレー系の床・くすみカラーの床と家具色3種×3スタイルのインテリア
基本3パターン+「ベージュ系orグレー系」のコーディネート
「淡い色合い」「中間の色合い」「濃い色合い」は、フローリングや家具の木目の明るさで決まります。
しかしながら、インテリアには、室内の多くを占める壁紙やソファ・ラグ・カーテンなどのファブリック系の色もあります。
壁紙には、真っ白に見えても、グレー寄りのホワイトとベージュ寄りのホワイトがあります。
また、ベージュ色を選ぶ際も温もりが多めのベージュとグレーがかったベージュがあり、どちらを選ぶかでインテリアの雰囲気が違って見えます。
淡い色合い+「ベージュ系orグレー系」
淡い色合い+ベージュ系は、木目の明るさとベージュが似ているので、まとまって見え、暖かな印象のインテリアになります。
淡い色合い+グレー系は、すっきりとした印象のインテリアになります。
中間の色合い+「ベージュ系orグレー系」
中間の色合い+ベージュ系は、ナチュラルで温もりのある印象のインテリアになります。
中間の色合い+グレー系は、暑さ・寒さのバランスの取れた、どの季節にもマッチするインテリアになります。
濃い色合い+「ベージュ系orグレー系」
濃い色合い+ベージュ系は、落ち着きとリラックス感のあるインテリアになります。
濃い色合い+グレー系は、生活感が少なめで重厚感のあるインテリアになります。
木目以外をベージュ系にするかグレー系にするかは、好みによる部分が多く、どちらのコーディネートが正解ということはありません。
「迷って決められない。」という場合は、2つを混ぜるコーディネートの仕方もあります。
【床や家具などの茶色の明るさ別】グレー×ベージュ×ブラウンのインテリア53選
インテリアの色合いの基本となる3つのパターンと特徴を紹介しましたが「どんな雰囲気の空間にしたいか」好みが見つかったでしょうか。
このコラムでは、空間の色合いをわかりやすくするために、床の色と家具の木目の明るさをわざと揃えたリビングのイメージを使いました。しかしながら、家具の色を変えても問題ありません。家具の色を変えると、また、違った雰囲気に見えるので、床色と家具色を変えた場合の見え方は、下記を参考にしてください。