「冷たい」「寂しい」「はかなげ」なグレー系でまとめた北欧インテリア。
同じようにベースカラーをグレーでコーディネートした他のテイストのインテリアと比較すると「冷たく見え、非日常的な印象が濃いのだけど、どこか“ホッ”とする雰囲気があり、くつろぎも感じるインテリア」だと、筆者は感じています。
そんなグレー配色の北欧インテリアの「特徴」と、緊張感を感じない「コーディネートポイント」、更におしゃれに見える「テクニック」を紹介しましょう。
グレー北欧インテリアの特徴
ベースカラーはグレーです。
・フローリング:ホワイトまたはグレー。※ブラウン系の場合は、グレーのラグを使うことも。
・壁:ホワイトまたはグレー
・カーテン:グレーまたはホワイト
・ラグ:グレー
・ソファ:グレー。茶色レザーで暖かくカッコイイ雰囲気にする場合も
・家具:ホワイト・黒・ナチュラルブラウンの木
・照明器具:ホワイト・グレー・黒・ベージュ(ナチュラルな木の色)
全て同じグレーで統一せずに、明度が違うグレーを組み合わせて、コーディネートにメリハリを出します。
上記のリビングダイニングのグレーの明るさは、ラグ→壁→ソファ・ラウンジチェア→ダイニングのラグ→ブランケットの順で、「大きな面積に明るいグレー」「小さな面積に暗いグレー」を意識してコーディネート。
同じ色でも、面積が大きいと明るく見え、面積が小さいと暗く見える特徴がある為、生地サンプルなど小さな物で色を確認する場合は、実際の見え方と違うので注意しましょう。
グレー北欧インテリアは「生活感が無い」「清潔感がある」「上品」「上質」「おしゃれ」な印象の部屋を演出します。
おしゃれテクニック
テクニック①:黒を足す
黒を足すことでインテリアを引き締めます。
グレーと黒は、明度が違うだけなので、コーディネートの失敗のしようがなく、組み合わせるのが簡単です。ラグやソファなど、大きな面積のファブリックに黒を使うのではなく、華奢なデザインのリビングテーブル、椅子、ペンダントランプ、写真や絵用の額縁、クッションの柄など、アクセント的に使うと効果的です。
クッションカバーの柄とテーブルランプを黒でコーディネートしたグレーの北欧テイストの寝室。
両端、中央のバランスの良い3点使いがおしゃれな印象を演出。黒を足すことでメリハリが出ています。
グレー天板と黒の脚のコーヒーテーブルの上に、黒のカップや食器をコーディネート。
雑貨類で黒を足すだけなので安上がり。インテリアコーディネートは、家具だけでなく、小物使いもおしゃれ感アップのポイントになります。
グレーのソファの前に、トレイ型の黒のコーヒーテーブルをコーディネート。
棒状の脚なので、インテリアの邪魔をせず、薄暗いグレーでまとめた上品で冷たい雰囲気はそのまま。黒は重さを感じる色ですが「軽そうなデザインを選ぶ」ことで、黒の重厚感を感じにくいインテリアに。
テクニック②:モノクロ写真を飾る
モノクロ写真は、部屋に、かっこよさを演出します。
また、壁面に写真を飾ることで殺風景な印象が解消でき、ワンランク上のおしゃれな空間になります。額縁を黒にすると引き締まった雰囲気もプラス。
ワークスペースのデスクの前の壁に、同じ大きさのモノクロポスターを黒の額縁に入れて2枚階段スタイルでディスプレイ。
1枚は映画「ローマの休日」、もう一枚はモノクロ写真を5枚貼り合わせたようなデザイン。写真にテーマ性が無くても色が共通であれば、チグハグな印象になりません。
ソファの後ろの壁とリビングダイニングの壁面の床に、モノクロ写真やポスターを黒の額縁に入れて無造作にディスプレイ。
「ポスターと額縁を買ったけど、飾るのが面倒なので、取り敢えず置いてある」といった印象の緩い飾り方。目線の高さだけでなく、床に置く発想がおしゃれです。
ベッドの頭側の壁に、モノクロ写真を3枚額縁に入れずに左右対称にディスプレイ。
写真の大きさは、真ん中が大きく、左右が小さめ。真ん中の写真に真っ先に視線が集まるように、フォーカルポイントを意識した飾り方です。
テクニック③:観葉植物を飾る
観葉植物は、インテリアに安らぎを演出します。
グレーでまとめたインテリアは、無機質で緊張感のある空間なので、観葉植物のグリーンの効果を潤沢に感じることができます。
リビングのコーナーに、背が高い観葉植物をグレーの鉢に入れてコーディネート。
身長を超える大きな植物が存在感抜群。鉢の色を部屋の色と合わせ、違和感なく馴染ませてあるところもポイント。
ソファの両脇と入口付近の3か所に、鉢植えの観葉植物をコーディネート。
小ぶりな観葉植物をプラントスツールやプラントスタンドを使って、おしゃれにディスプレイ。
ダイニングテーブルの上とサイドボードの上に、鉢に入れた観葉植物をコーディネート。
「グレーを見て食欲がわくか?」と問われると、否です。観葉植物があると生き生きとした食卓になり、インテリアの添え野菜のような役割も。
テクニック④:ヨレヨレのファブリックを足す
グレーは、自然界の曇り空・岩・石・コンクリート・砂などを連想させ、冷たく硬い印象を演出する色です。
その為、グレーでまとめた部屋は、「そこにいるだけで寒々しい」「触ると冷たい(実際は暖かくても)」「肌触りが硬い」雰囲気を感じてしまいます。
この冷たく硬い印象を解消するのが、ヨレヨレのファブリックです。ブランケットや薄手の布をキチンと畳まずに、無造作に置いてみましょう。
また、カーテンもシャープなデザインではなく、ふんわりとした見た目のものに変えるだけで、グレー色を使いながら、温かく柔らかいインテリアを演出することができます。
ソファの上に、グレーの大判のニットストールを無造作にコーディネート。
違う角度から見れば「ちゃんと畳んで片付けなさい!」と言われそうなストールの使い方ですが、ホワイト・グレー・黒の冷たいインテリアをクシャっとした生地で柔らかい印象に。
グレーのコーナーソファの上に、グレーの厚手のブランケットを無造作にコーディネート。
ソファの色とブランケットの色を合わせたパターン。床に向かって垂れるフリンジが、少し砕けたインテリアを演出。
リビングの窓に、ふんわりとしたデザインのグレーのレースカーテンをコーディネート。
やや、かしこまった雰囲気ですが、レース自体が粗目。グレーのソファにも、グレーのストールを組み合わせ、クッションカバーは、皺が目立つデザイン。
グレーでコーディネートしたリビングの窓に、グレーのカーテンをハトメスタイルでコーディネート。
カーテンの長さは床にピッタリではなく、引きずるように長めにして“ぐしゃっ”とした見た目に。開閉がスムーズにできなさそうですが、緩い見た目がリラックスした雰囲気を演出。
窓に、グレーのレースカーテンをコーディネート。
「アイロンがけをしていない」と思わせる“クシャ”っとした見た目が窓周りを優しい雰囲気に。
テクニック⑤:紫を足す
高貴な印象や気品を演出する紫は、インテリアをランクアップさせるのに最適な色です。
ブランケット・クッションカバー・花・インテリア雑貨などで紫をプラスしてみましょう。ダークな印象が濃いグレーインテリアに、暗い紫を足すと上質で高級感な印象がアップします。
グレーと黒でコーディネートしたかっこいい北欧リビングに、丸型のバスケットを置き、バスケットを包み込むように紫のブランケットをコーディネート。
目立つ紫ではなく、黒に馴染む暗い赤紫なので、インテリアの邪魔をすることなく、上質な印象だけがアップ。
グレーのソファとラグをコーディネートしたリビングのコーヒーテーブルの上に、赤紫の花を透明のガラス瓶に入れてコーディネート。
この花が、赤や黄色だったら、ここまでのおしゃれさは感じないでしょう。エレガントな薔薇の造花でも良いかもしれません。
グレー×黒でまとめたLDKのリビングにダークパープルのソファをコーディネート。
キッチン、ダイニングテーブル、ダイニングチェア、リビング用ラグが黒の黒の割合が多い配色ですが、リビング用ラグをグレーにすれば、もう少し明るい雰囲気に。グレーのラグにも合うソファの色です。
グレー北欧インテリアコーディネート実例
ここまで紹介した5つのテクニックを2個以上使った北欧インテリアコーディネートを紹介していきましょう。
「黒を足す」「観葉植物を飾る」
グレーのソファとグレーのラグを組み合わせ、コーナーに背の高い鉢植えの観葉植物をコーディネート。
ソファの前には、華奢なデザインのコーヒーテーブルを置き、テーブルの上にも葉っぱが多い花をディスプレイ。
明るいグレーのソファと暗いグレーのラグを組み合わせ、窓に鉢植えの観葉植物をコーディネート。
コーヒーテーブルは、木製の黒のヴィンテージデザインで、観葉植物と反対側のコーナーに黒のレザー製の一人掛けチェアをプラス。チェアはボリュームのあるデザインですが、部屋の隅にあるので、グレーインテリアのイメージを壊していません。
「黒を足す」「モノクロ写真を飾る」
グレーのソファにソファよりも明るいグレーのラグとコーヒーテーブルを組み合わせ、隣にあるダイニングスペースの椅子を黒で統一。
ソファの後ろの壁に、モノクロ写真やモノクロポスターを田の字に飾り、ダイニングテーブルの上に黒のコードのペンダントランプをハンギング。
明るいグレーのソファとラグを組み合わせ、ソファ横の壁に黒の額縁に入れたモノクロ写真を置き、フロアランプ、サイドテーブル、コーヒーテーブルの脚を黒で統一。
クッションカバーのパターン柄も黒。黒の面積を極力少なくした、広さを感じるリビング。
「黒を足す」「観葉植物を飾る」「モノクロ写真を飾る」
グレーのソファと明るいグレーのラグを組み合わせ、黒のメッシュチェアとベンチをコーディネート。
窓辺に鉢植えの観葉植物を飾り、ソファの後ろの壁には、モノクロ写真とモノクロポスターを黒の額縁に入れてディスプレイ。きちんと整理整頓された部屋という印象が強いインテリア。
暗いグレーのソファと明るいグレーのラグを組み合わせ、ソファの前に黒フレームのガラステーブルをコーディネート。
ソファの後ろの壁に、モノクロ写真とモノクロポスターを4枚黒の額縁に入れてディスプレイし、窓辺に癒しの観葉植物をプラス。ソファの横にあるサイドボードも黒扉にして、上に鉢植えの観葉植物をコーディネート。
「黒を足す」「観葉植物を飾る」「ヨレヨレのファブリックを足す」
暗めのグレーのソファとラグを組み合わせ、黒の脚のコーヒーテーブルをコーディネート。
ソファの上に、グレーのニット素材のブランケットをぐしゃっとしたまま置き、窓に小さな観葉植物をプラス。2人掛けソファだと座る時ブランケットが邪魔になる可能性がありますが、寝椅子付きソファの場合は、寝椅子部分がブランケット置き場に。
グレーのソファとソファより明るいグレーのラグを組み合わせ、黒のヴィンテージな木製コーヒーテーブルをコーディネート。
クッションのパターン柄も黒で、ソファサイドに観葉植物、反対側のソファのひじ掛けにグレーのニットブランケットを床にも届く勢いで無造作にプラス。シャープなデザインのソファ、ラグ、テレビボードのかしこまった雰囲気をブランケットとコーヒーテーブルで上手く中和してあります。
「黒を足す」「観葉植物を飾る」「モノクロ写真を飾る」「ヨレヨレのファブリックを足す」
明るいグレーの2人掛けソファとソファよりも暗いグレーのラグを組み合わせ、ソファと反対側に黒のチェアをプラス。
ソファには、黒のブランケットを乗せ、後ろの壁にモノクロ写真を黒の額縁に入れて2枚ディスプレイ。ソファサイドにはグレーの蓋付のスツールを台に、鉢植えの観葉植物をコーディネート。
明るいグレーのソファとグレーのパターン柄のラグを組み合わせ、ソファの前に黒の華奢なコーヒーテーブルをコーディネート。
ソファの上に、グレーのシーツのような布を乗せ、クッションで押さえ、ソファの両サイドに、丸テーブルと籠を置いて観葉植物を飾り、ソファの後ろの壁と観葉植物の籠の後ろにモノクロポスターを黒の額縁に入れて1枚ディスプレイ。
グレーのソファとラグを組み合わせ、黒のチェア、黒のコーヒーテーブルをコーディネート。
ソファのひじ掛けにグレーの大判のブランケットをグシャっと掛け、壁面に黒の額縁に入れたモノクロポスターを1枚ディスプレイ。観葉植物は、ソファサイドとコーヒーテーブルの上にプラス。
「黒を足す」「観葉植物を飾る」「モノクロ写真を飾る」「ヨレヨレのファブリックを足す」「紫を足す」
グレーのソファとラグを組み合わせ、ペンダントランプとフロアランプを黒でコーディネート。
ソファの中央にグレーのブランケットを乗せ、窓辺に観葉植物をプラスし、ソファの後ろの壁に黒の額縁に入れたモノクロ写真を4枚ディスプレイ。リビングテーブルの上に、ガラス瓶に入れた紫の花を置いて、おしゃれ感をさり気なくアップ。
グレーのソファと明るいグレーのラグを組み合わせ、観葉植物の鉢と花瓶を黒でコーディネート。
ソファの上にグレーのブランケットを垂らし、暗い紫のクッションで押さえ、リビングテーブルの上にも紫の花をプラス。ソファの後ろの壁には、大きさや形が違う4枚のモノクロ写真を黒の額縁に入れてディスプレイ。
北欧インテリアの中でもグレーをメインカラーにしたコーディネートは、クールでかっこいい雰囲気の部屋を作り出すことができます。
一方、インテリアをセンスアップするテクニックの1つに「アクセントカラーを使う」があるのですが、これをグレーでまとめた北欧インテリアに応用してしまうと、冷たくかっこいい雰囲気を壊してしまう可能性が出てきます。
赤・黄色・オレンジ・青などのハッキリとした色を使わないで、インテリアをセンスアップする技は「THE COOLな北欧」を保ちつつ、おしゃれさが引き立つものばかりですので、実践してみてください。
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