「大きな画用紙に好きな色で絵を描く」
この経験は誰にでもあると思いますが「インテリアを好きにコーディネート」となると、難しく感じてしまいませんか?
その理由は、インテリアは平面ではなく、幅・高さ・奥行の3つを混ぜた立体構造で、木・板・ガラス・布・金属など素材がバラバラな上に、家具と言っても、ソファ・収納家具・テーブルなど、全て形(高さやデザイン)が違うからです。
インテリアの配色は、平面に色を着ける塗り絵のように、バランスを考えながら着色していくと、初心者でも簡単にまとまり良くすることができます。
好きな色の家具や布を好きなタイミングで次々と部屋に持ち込むバラバラのコーディネートよりも、はるかに統一感があり、限りある狭い部屋を広く見せる配色を中心に基本とコツを紹介していきましょう。
内装色の基本
内装色とは、床・壁・天井の色のことです。
- 床の色決めをする時
- 壁の壁紙クロスの柄を決める時
など、内装の配色の法則を知っておくと「広々とした開放感」、「心地よく感じる部屋」、「適度に落ち着ける部屋」を演出できます。
また、床・壁・天井の色を変えることができない賃貸や変える計画がない場合でも、床の大半を占めるカーペットやラグや床から天井付近までを占めるカーテンの色選びの時に活躍する知識なので、覚えておきましょう。
部屋を広く見せる床の配色
高さを感じる配色
低さを感じる配色
正方形に近い形に見せる配色
6畳など、長方形の部屋では、間口の狭い方(壁の長さが短い方)の2面の壁を暗くすると正方形に近い印象の部屋になります。
家具の配色
カラースキームの基本
カラースキームとは、床・壁・天井・ドア・ソファ・カーテン・クッション・インテリア雑貨など部屋にあるすべての色について「どの色をどんな割合で使うか」を決めることです。
- ベースカラー:70%(床・壁・天井・ドアなどで、ホワイトや茶色が一般的)
- メインカラー:25%(家具・カーテン・ラグ・ソファなどで、床や壁色と合わせるのが一般的)
- アクセントカラー:5%(クッション・観葉植物・カーテンレール・時計・インテリア雑貨などでインテリアにメリハリを生む色を選ぶのが一般的)
色数を2~3色にするとまとめやすくなり、カラースキームは部屋の感じ方やインテリアを決定づける重要な要素です。
カラースキームの基本に従うと「家具色は床と同じが正しい」となってしまいますが、「内装色の配色」で示した通り、床の色が暗い部屋は、床の色が明るい部屋よりも狭く感じます。
床色が暗い部屋は、次の3つを参考に、家具色を決めていきましょう。
圧迫感の有無に関係する家具配色とデザイン
暗い床色の部屋に、暗い背の高い家具を置くと、狭く見え圧迫感が出ます。
収納量を重視して、背が高い家具を置く時は、床色に合わせるのではなく、壁色に合わせるのがポイントです。
どうしても床色と同じ暗さの家具を置きたい時は、背が低いデザインにして、白の壁を多く見せる工夫をしましょう。
同じ暗い家具でも、床が見える長い脚がついた家具は、部屋を広く見せる効果があります。
9つのイメージ別インテリア配色
「インテリアテイストに興味を持つほど、こだわりが無い」という方でも
- スッキリとした雰囲気が好き
- 大人っぽくかっこいい雰囲気が好き
- ゴロゴロとリラックスできる雰囲気が好き
など、何らかの好みがあると思います。
これらの何となくのイメージを作っているのは、部屋の色使いです。
中間くらいの茶色の床のリビングを9つの雰囲気別に分け、配色例を紹介しますので、参考にしてみて下さい。
広さと清潔感のある配色
ソファ、カーテン、ラグを白っぽい色でまとめ、白の家具をコーディネートすると、広さと清潔感のある部屋になります。
- アクセントカラーにどんな色を持ってきても合う
- 飽きたら、クッションやインテリア雑貨で色が足せる
- 夏は寒色、冬は暖色の季節に合った色使いを小物の色を変えるだけでできる
- 目立つ色のポスターや絵が似合う
- 汚れが目立ちやすいので掃除をこまめにする
などです。
単調に見えてしまうのがデメリットなので、思い切って目立つ色を加えるか、同じホワイトでも羊毛やファー、ニットなど凸凹した素材を取り入れると良いです。
また、白っぽい色には、クリーム・アイボリー・ベージュなどの暖色系をベースにした色、青みがかった白、限りなく白に近いグレーの3種類があり、くつろぎを重視するリビングに向いているのは、暖色系をベースにした白っぽい色です。
安心感があり飽きが来ない配色
クリーム・アイボリー・ベージュなどの暖色をベースとしたソファ、カーテン、ラグと部屋に溶け込む木の色の家具の組み合わせは、無難な印象でどんな年代にも合う配色です。
- アクセントカラーにどんな色を持ってきても合う
- 飽きたら、クッションやインテリア雑貨で色が足せる
- 夏は寒色、冬は暖色の季節に合った色使いを小物の色を変えるだけでできる
- 目立つ色のポスターや絵が似合う
- 汚れが目立ちやすいので掃除をこまめにする
などです。
暖色をベースとした色使いなので、安らぎを感じるリラックス空間が自然に作れてしまうところが魅力です。
安心感とメリハリを感じる配色
1つ前と同じソファ、カーテン、ラグの色に暗い茶色の木の家具を組み合わせると、インテリアが引き締まり、メリハリの効いた空間が生まれます。
また、同じシリーズの家具でも、暗い木を使った家具の方が高級そうに見えることからもわかる通り、暗い茶色はインテリアに重厚感をプラスします。
- 「物足りない」と感じにくい
- 家具が高そうに見える
- くつろぎ感がある
などです。
暗い茶色の家具に囲まれた部屋は、明るい茶色の家具の部屋よりも狭く暑苦しく感じる為、暗い茶色の家具の割合・置く場所・背の高さに注意しましょう。
重厚感とクラシカルな雰囲気を感じる配色
壁面をクリーム・アイボリー・ベージュなどの暖色をベースとした白っぽい色や白でまとめ、床面を暗い色でまとめると、重厚感と安定感のあるインテリアになります。
- 落ち着ける
- 昔から好まれる正統派スタイルなので流行り廃りが無い
- くつろぎ感がある
- 安心感がある
などです。
コーディネートのポイントは、腰より低い位置を意識して、暗い家具を選ぶこと。そうすることで壁面の半分以上に白(または白っぽい色)が残るので、圧迫感の無いインテリアになります。
暖かく団らんを感じる配色
2番目の「安心感があり飽きが来ない配色」のカーテンとラグを暗めの赤にすると、暖かく団らんの印象が濃いインテリアになります。
- 温もりがある
- くつろぎ感がある
- 安心感がある
などです。
「暗めの赤」を「暗めのオレンジ」や「暗めの黄色」にしても問題ありません。
また、カーテンとラグの組み合わせではなく、カーテンとクッション、ラグとクッションの組み合わせでも大丈夫ですが、暖色を取り入れる場所は1箇所ではなく2箇所以上にした方が、まとまります。
非日常的で大人の配色
ホワイト・グレー・黒の無彩色でまとめたインテリアは、大人っぽく非日常的な空間を演出します。
- 片付いていなくてもスッキリ見える
- 生活感がにじみ出ない
- 原色のアクセントカラーが合いやすい
などです。
有彩色が無い空間の寂しく冷たい印象は、クッションやインテリア雑貨で暖色を少し足すと和らぎます。
上のメージのように、観葉植物を1個置くだけでも、寂しい雰囲気を緩和することができます。
広さとスッキリ感のある配色
白っぽい色と淡い寒色を組み合わせた部屋は、広々とした空間を演出します。
- 涼感がある
- すっきり見える
- 広く見える
などで、狭い部屋の取り入れたい配色です。
寒色は寒々しさも演出してしまうので、冬は青と相性の良いオレンジ色を足すと冷たい雰囲気が和らぎます。
ソフトで包容力のある配色
「ホワイトの家具を使いたいけれど、寒々しいのは嫌」という時は、壁紙クロスとラグに淡い暖色を取り入れてみましょう。
- 柔らかくて優しい印象
- 家具色が真っ白でも冷たさを感じない
- 暖かく見える
などです。
淡い色でも壁に色がついた状態ですので、家具の入れ替えはまた同じ色を選ぶ必要性が出てくるのがデメリットです。
若々しくアクティブな配色
オレンジ・黄緑・黄色など、鮮やかな色を組み合わせたインテリアは、エネルギッシュで若々しい雰囲気を演出します。
- 活力を感じる
- 若い頃にしかできない
- エレルギーをもらえる
- 目にするだけで楽しい
などです。
若い夫婦、若い年代の一人暮らし、小さな子どもと一緒に暮らす住まいなど、年齢に縛られる部分がある配色ですが、その時にしかできないインテリアと割り切って挑戦してみるのも一つの方法です。
「同じ部屋でも、家具やソファ、カーテン、ラグの色の違いで、こんなにも雰囲気が変わるのか!!!」とビックリされた方も多いのではないでしょうか。
私達が普段、色を決める場所は、収納・ソファ・カーテン・ラグ・クッションなど。
色を決める時は、実物、ネットを問わず「物を見て」が多いと思います。
でも、重要なのは、1つ1つの色ではなく、部屋全体で考え、そのうち、今決めようとしている色が、どの部分で、どの程度の割合なのかを考えること。
- 考えるのが面倒
- ひらめきのまま色を選びたい
という方も多いとは思いますが、バーゲンで勢いで買ったカラフルなサンダルが手持ちの洋服と合わせにくく箪笥の肥やしになるのと同じでインテリアもトータルコーディネートが重要です。
吟味を重ねて実現する配色を考えたコーディネートは、「ごちゃっとした」「バラバラだ」といったインテリア作りの失敗を回避する意味でも覚えておいて損は無いです。