インテリアの色を決める時、茶系の木目の床や家具と合わせやすく、無難な印象の空間を演出できるグレーやベージュを使ったコーディネートを考える方が多いと思います。
どちらの色も、ソファ・ラグ・カーテン・クッション・ブランケットなど、布を使ったインテリアアイテムにカラーバリエーションがあり、探すのが簡単でコーディネートがしやすいのが特徴です。
グレーやベージュを使ったコーディネートを考える時、「全部をグレーかベージュのどちらかでまとめないといけない」と思っていませんか?
- グレーは、少し冷たく生活感の少ない空間。
- ベージュは、ほんのりと暖かくリラックス感のある空間。
同系色だけでまとめると、空間の雰囲気に偏りが出きてしまい「生活感が薄くリラックスした空間」や「温もりがありつつ、生活感が薄い空間」といったような微妙なバランスのインテリアを作るのが難しくなります。
特に、リビングなど“くつろぐこと”を前提とした部屋では、温もりもすっきり感もリラックス感も必要です。無難な色を使いつつ、適度にすっきり感と温もりがあるコーディネートを目指す時は、ベージュとグレーの両方を混ぜたインテリアを作るのも一つの方法です。
以前、
で、グレーとベージュを混ぜたリビングを中心としたインテリア実例を紹介しましたが、このコラムでは、「どのように配色を考えるか」の基本的な考え方を具体例や実例を使って解説していきましょう。
①ベースカラーとメインカラー、どっちをグレーでどっちをベージュにする?
どんな部屋でも「床・壁・天井」のベースとなる部分(ベースカラー)と「ソファ・ラグ・カーテン・家具」などのメインとなる部分(メインカラー)の2つに分けることができます。
グレーとベージュを使ったインテリア空間を作る最も簡単な方法は、「ベースカラーをグレーにしたら、メインカラーをベージュ」「ベースカラーをベージュにしたら、メインカラーをグレー」といった具合に、部分ごとにそれぞれの色を配色することです。
同じベージュとグレーの2色の組み合わせでも、ベースカラーとメインカラーの違いで、インテリアの雰囲気が異なって見えますので、それぞれのコーディネート実例を見ていきましょう。
②メインカラー:グレー×ベースカラー:ベージュのインテリア
床を白っぽい茶色の木目のフローリング、壁をベージュ系の壁紙や薄い茶系の木目の壁紙や板貼りにするとベースカラーがベージュになります。
ベースカラーがベージュ、メインカラーがグレーのインテリアは、ナチュラルな雰囲気の空間に。
くすんだナチュラルブラウンのフローリングと白っぽいベージュの壁紙のリビングに、濃いグレーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、グレーのラグを敷き、ブラック×くすんだ薄めのヴィンテージ感のある木目×ガラスの長方形テーブルをレイアウト。ソファと対面に、白っぽいグレーのファブリック製ウィングチェアを2脚配置。コーナー・入り口横・テーブルの上に、観葉植物を飾って、ナチュラル感をアップしたインテリア。
くすんだナチュラルブラウンのフローリングと鮮やかなベージュのアクセントクロスのリビングに、白っぽいグレーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ベージュ×グレーの線の菱形模様のラグを敷き、シルバー金属フレーム脚と濃いめの茶色の木目天板を組み合わせた長方形テーブルを2台レイアウト。ソファとコの字に、ホワイトの座椅子のようなデザインのパーソナルソファ1台、淡いグレーのファブリック製ラウンジチェア2脚を配置。アクセントクロス壁の面に、ベージュ系のアクセントタイル壁(暖炉)やベージュのカウンター、ベージュの収納家具をコーディネートして、一体感のある空間を演出したインテリア。
オレンジっぽいミディアムブラウンのフローリングとベージュのアクセントクロスのリビングに、モダンなデザインの白っぽいグレーレザーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ソファと同じファブリックを使った長方形オットマンテーブルをレイアウト。アクセントクロス壁に、テレビを掛け、下にモダンなデザインのホワイトのテレビボードを配置。床と壁を暖かい色、ソファとテーブル(オットマン)とテレビボードを冷たい色にして、すっきりとしつつも、くつろぎ感のある空間を演出したインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングと赤みが強い、ピンクっぽく見えるベージュの壁紙のリビングに、薄めのグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ソファと同じ明るさのグレーのラグを敷き、ブラック金属脚とグレー天板を組み合わせた丸型テーブルをレイアウト。窓を背に、ダークグレーのファブリック製アームチェア2脚、ソファと対面に、ホワイトキャビネットとブラウンの木目扉を組み合わせたテレビボードを配置。向かい合う2面の壁に温かみのある色を使ったリラックス感のあるインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングとベージュの丸いアクセントクロスのリビングに、淡いグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいグレーのラグを敷き、ブラック金属脚と半透明のブラックガラス天板を組み合わせた丸型テーブルをレイアウト。ソファ正面の壁に、グレーの木目の収納家具、ソファの斜め前に、グレーの丸みのあるファブリック製チェアを配置。グレーの明るさを統一して、まとまりのあるエレガントな空間を演出したインテリア。
くすんだ薄めのブラウンのフローリングとフローリングに似た明るさの木目のアクセントクロスのリビングに、グレーの寝椅子付き3人掛けフロアソファをコーディネート。
ソファの下に、ソファよりも明るいグレーのラグを敷き、ブラック金属フレーム脚とブラック天板を組み合わせた正方形テーブルをレイアウト。ソファ正面の壁に、フローリングと同じ明るさの木目の天井まである収納家具を配置。木目とグレー&ブラックの無彩色を組み合わせたシンプルなインテリア。
白っぽい茶色のフローリングと黄色が強めのベージュの壁紙のリビングに、グレーのコの字型ソファをコーディネート。
ソファの前に、薄いグレーとグレーをミックスしたアンシンメトリーデザインのラグを敷き、イエローの丸型テーブルをレイアウト。テーブルの隣に、くすんだ薄いブラウンのレトロな丸型スツールクッションを配置。イエローをベースとしたベージュを取り入れて、明るくカジュアルな印象をアップした北欧スタイルのインテリア。
ナチュラルブラウンのヘリンボーン床と濃いめのベージュの壁紙のリビングに、濃いグレーのコの字型ソファをコーディネート。
ソファの下に、ダークグレーのシャギーラグを敷き、ホワイトの木製丸型テーブルをレイアウト。ソファの隣に、ホワイトの収納家具を置き、ソファ背面の壁に、白地が多いブラックのアルファベット文字のアートを2枚ディスプレイ。家具・クッション・カーテンをホワイトで統一し、すっきり感をアップした北欧スタイルのインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングとベージュの壁紙のリビングに、ダークグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、白っぽいベージュ×グレーの線の菱形模様のラグを敷き、ブラック金属脚とグレー天板を組み合わせたコンパクトな正方形テーブルをレイアウト。ソファの左右に、グレーのオープンシェルフとブラック×ガラスの食器棚を配置。リビングの主役家具であるソファを黒っぽいグレーにして、高級感のある空間を演出したインテリア。
薄めのブラウンのフローリングとベージュの石目柄のアクセントクロスのLDKに、白っぽいグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ホワイト×グレーのシェブロン柄のラグを敷き、透明素材の正方形テーブルをレイアウト。ソファと対面に、淡いグレーのファブリック製ラウンジチェア2脚、シルバー×ホワイトの丸型サイドテーブルを配置。壁付I型キッチンとキッチン前のラグをグレーにして、温もりと冷たさのバランスが取れた空間を演出したインテリア。
白っぽいナチュラルブラウンのフローリングとくすんだベージュの壁紙のリビングに、薄いグレーの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、グレー×ホワイトの幾何学模様の大きなラグを敷き、白っぽいナチュラルブラウンの木製長方形テーブルをレイアウト。ソファ正面の壁に、白っぽいナチュラルブラウンの木目のオープンシェルフを置き、窓にベージュのカーテンをハンギング。床・テーブル・収納家具・カーテンの明るさを揃え、白っぽいグレーと組み合わせて、開放感のある空間を演出したインテリア。
③メインカラー:ベージュ×ベースカラー:グレーのインテリア
床をグレーの木目のフローリングやモルタル・コンクリート調のフロアタイル、壁をグレー系の壁紙にするとベースカラーがグレーになります。
ベースカラーがグレー、メインカラーがベージュのインテリアは、無機質な雰囲気の空間に。
茶系の木質フローリングにベージュ(白っぽい壁紙でもベージュ寄りの白)の壁紙の組み合わせが一般的なため、ベースカラーがグレーの空間を初めて見る方は違和感を覚えてしまうかもしれません。
③-①グレーのコンクリート・モルタル調床
グレーのコンクリート調床、濃いめのグレーの壁紙、濃いグレーのコンクリート調アクセント壁のリビングに、淡いベージュの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、大きなグレーのラグを敷き、ブラック金属フレーム脚とブラウンの木製天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。ソファの斜め前に、ベージュのファブリック製エッグチェアを配置。ソファと壁の間に、隙間を開けて、ベージュシェードと薄い茶色の天然木を組み合わせたテーブルランプを乗せたヴィンテージ感のある茶色の木製コンソールテーブルを置いて、くつろぎ感をアップしたインテリア。
薄めのグレーのコンクリート調床と濃いめのグレーのアクセントクロスのリビングに、ベージュの2人掛けフロアソファとパーソナルソファをL字にコーディネート。
ソファの下に、グレーのラグを敷き、明るい茶色の木製丸型テーブル2台をぽつんぽつんとレイアウト。ソファ正面の壁に、グレーのキャビネットとホワイト×暗めのイエローのオープンシェルフを組み合わせたデザイン性の高いテレビボードを配置。床・壁・ラグ・家具をグレーでまとめ、グレーの面積を多くして、生活感の少ない空間を演出したインテリア。
暗いグレーのコンクリート調床と薄いグレーの壁紙のリビングに、ベージュの2人掛けソファをL字に2台コーディネート。
ソファの下に、床色より明るいグレーのラグを敷き、ブラウンっぽく見えるダークグレー系のコンクリート調長方形テーブルをレイアウト。ソファとコの字に、エレガントなデザインのベージュのファブリック製チェアを2脚配置。ソファを赤みがかったベージュ、チェアを黄みがかったベージュにして、リラックスできる空間を演出したインテリア。
③-②グレーのフローリング
白っぽいグレイッシュなフローリングと淡いグレーの壁紙のリビングに、濃いベージュ(薄めのブラウン)の2人掛けソファをコーディネート。
ソファの斜め前に、ブラウンの木製チェアをレイアウト。フロアランプをブラック金属、収納家具をブラック金属フレームとブラックの木目デザインにして、無機質で殺風景な空間を演出したインテリア。
グレイッシュなフローリングと濃いグレーの壁紙のリビングに、ベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、シルバー×ブラックの長方形テーブルをレイアウト。ソファとL字に、ソファよりも明るいベージュのファブリック製アームチェアを配置。濃い赤をアクセントカラーで足し、ブラックを少しだけ加えて、リッチで温もりのある空間を演出したインテリア。
グレイッシュなナチュラルブラウンのヘリンボーン床とダークグレーのアクセントクロスのリビングに、白っぽいベージュの2人掛けフロアソファをコーディネート。
ソファの下に、濃いベージュのラグを敷き、茶色の木製長方形テーブルをレイアウト。アクセントクロス壁を背に、明るい茶色の木目のテレビボードとブラック×明るい茶色の木目のヴィンテージ感のある収納家具を配置。床色よりも壁色を濃くした、落ち着きのある、かっこいいインテリア。
淡いグレーのフローリングと淡いグレーの壁紙の吹き抜けLDKに、ベージュのコーナーソファをコーディネート。
ソファの下に、ベージュのラグを敷き、シルバーのトランクテーブルを2台レイアウト。ソファとコの字に、個性的なデザインのブラウンレザーのチェアを配置。テレビボードを茶色の木目、残りをブラック×グレーの無彩色にして、生活感の少ない空間を演出したインテリア。
淡いグレーのフローリングとグレーのアクセントクロスのリビングに、白っぽいベージュレザーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、フローリングと似た明るさのグレーのラグを敷き、ホワイト金属脚と白っぽくくすんだベージュ天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。ソファ正面の壁に、紫っぽく見えるうっすらと模様が入ったグレイッシュなアクセントクロスを貼り、ホワイトのテレビボードを配置。クッションとスツールでグリーンを足して、くつろぎ感をアップしたインテリア。
白っぽいグレーのフローリングと白っぽいグレーの壁紙&天井のリビングに、ベージュの寝椅子付き2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、くすんだベージュのラグを敷き、ブラック金属フレーム脚と薄い茶色の木製天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。テーブルを囲むように、グレーのファブリック製アームチェアと長方形オットマンを配置。アート・クッション・ブランケットで水色とブルーを足して、爽やかな印象をアップしたインテリア。
③-③グレーのタイル床
薄いグレーのコンクリート調タイル床とグレーの壁紙のリビングに、くすんだベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、薄いブラウン(濃いベージュ)のラグを敷き、ブラック金属フレーム脚と薄いブラウンの木製天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。ソファと対面に、ブラック金属脚と薄い茶色の木製天板を組み合わせたテーブル型のテレビボードを配置。コーナーを背に、暗いブラウンレザーのバタフライチェアを置き、背の高い観葉植物を飾って、ナチュラルな印象をアップしたインテリア。
白っぽいグレーのコンクリート調タイル床と淡いグレーの壁紙のリビングに、グレイッシュなベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、うっすらと模様が見えるグレーのラグを敷き、ゴールドの丸型テーブルを2台レイアウト。ソファと対面に、茶色の木製アームチェアを2脚配置。電球色の照明でリビング全体を照らして、くつろぎ感のある空間を演出したインテリア。
グレーのタイル床と濃いグレーのアクセントクロスのオープンリビングに、白っぽいベージュの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ソファと似た明るさのベージュのラグを敷き、ブラック×ホワイトの丸型テーブルをレイアウト。壁色を濃くして、空間を引き締めた高級感のあるインテリア。
グレーのコンクリート調床とグレーの壁紙のリビングに、ベージュレザー(明るいブラウンレザー)の2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、白っぽいベージュのカウハイドラグを敷き、シルバーの筒型のテーブルをレイアウト。ソファと壁の間に、ホワイトの紙のようなシェードの丸い照明を乗せた薄い茶色の天然木の丸型スツールを配置。ソファの色を一番濃くしたシンプルな印象のインテリア。
④カーペット床
グレーのカーペット床と淡いグレーの壁紙のリビングに、グレイッシュなベージュのコーナーソファをコーディネート。
ソファの前に、くすんだベージュのラグを敷き、ブラック金属フレーム脚とガラス天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。窓に、赤みが強いベージュのカーテンを下げ、ソファ背面の壁に、ゴールドの額縁に入れたホワイト×ブラックのシンプルなアートを2枚ディスプレイ。くすんだ色を多く取り入れて、落ち着きのある上質な空間を演出したインテリア。
グレーのコンクリート調タイル床と濃いめのグレーの壁紙のリビングに、ベージュの3人掛けソファと2人掛けソファをL字にコーディネート。
ソファの前に、白っぽいベージュのコンパクトなラグを敷き、ダークブラウンの木とガラスを組み合わせた楕円形テーブルをレイアウト。カーテンとアートもベージュにして、温もりとくつろぎ感をアップしたインテリア。
⑤茶系のフローリング(壁色のみグレー)
ダークブラウンのフローリングと薄めのグレーの壁紙のリビングに、濃いベージュの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ベージュのラグを敷き、シルバー金属脚とガラス×ブラックの天板を組み合わせた長方形テーブルをレイアウト。ソファとコの字にブラックレザーのバルセロナチェア、ソファ正面に、ダークブラウンのヴィンテージな木目キャビネットと淡い茶色の木目扉を組み合わせたサイドボードを配置。くつろぎ感とかっこよさをミックスしたコンテンポラリースタイルのインテリア。
同じグレー×ベージュのインテリアでもベースカラーをグレー系にするかベージュ系にするかで、全く印象の違う空間になるのが伝わったでしょうか。
ベースカラーの床と壁をグレー系にしたインテリアは、非日常的な印象が強く、特に足元が冷たく感じる空間になりがちです。そんな時は、壁色とソファの色を入れ替え(壁色をベージュ、ソファをグレー)にする方法もあります。
また、多くの実例からもわかる通り、グレーとベージュは、どちらも“色がついている”というよりは、“なんとなく色がついている”という雰囲気で、室内がぼんやりとしてしまう傾向にあります。
グレーとベージュを使いつつ、おしゃれ感も演出したい場合は、下記のコラムもヒントにしてください。