- ワークルームのある新築を建てる
- 未使用の部屋をワークルームに改造する
- 今あるデスクでは手狭なので、もう少し広いワークスペースを作りたい
テレワークの普及により、自宅にワークルームやデスクを置くスペースが必要になった時、仕事や作業するスペースをどのように作っていけば良いでしょうか。
ひと部屋をまるまるワークルームにする場合のデスクレイアウトを中心に、「デスクの形」「デスクの置き方」を具体的な図を使って解説していきましょう。
①デスクの基本的な3つの形
ワークスペースが必要になった際、真っ先に思い浮かべるのが「デスクを探さなければ」です。
そして、多くの方が「横に真っ直ぐ延びた長方形のデスク」を思い浮かべるのではないでしょうか。長方形デスクは学校や職場で使われている親しみのある形ですが、何も考えずに長方形デスクだけを置いてしまうと、非常に使い勝手の悪いワークルームになってしまうこともあります。
デスクの形には、横に真っ直ぐ延びた「I型」以外に、「L型」と「コの字型」があります。
①-①I型
一般的に普及している形。
I型デスクには、引き出しキャビネット付き・引き出しキャビネットなし(天板のみ)など様々なデザインがあります。
デスクの幅にもよりますが、高さのある引き出しキャビネット付きのデスクは、足を入れる空間が狭くなるため、足元にゴミ箱や小物収納を置く場所がなくなってしまうこともあります。
デスクといえばI型なので探すのがとても簡単です。
デスクの幅と奥行きを考えるだけで良いので、レイアウトが考えやすいです。
①-②L型
天板が2枚L字になったデスク。
「既製品のデスクを2つ組み合わせる」と「カウンターをL字につなげる」の2種類のデザインがあります。既製品のデスクを組み合わせる場合は、コーナー部分に手前側に脚が来るため、脚とチェアの干渉に注意が必要です。
パソコン作業と書き物、パソコン作業と印刷スペースなど、面ごとに使い分けることができます。
コンパクトに大きなデスクを置くことができます。
①-③コの字型
天板をコの字に繋げたデスク。
面ごとに使い分けることができます。(L型よりも1面多い)
向かい合う2面の壁面がデスクになるため、ワークルーム自体が広くないとデスクが置けません。
②どの形のデスクが最適かシミュレーションする
①のデスクの中から形を決める前に、「ワークルームのデスクの上でどのような作業をし、その作業をするにはデスクがどの形をしていると作業効率が上がりそうか」をシミュレーションしてみましょう。
②-①作業の具体例
- パソコン入力作業と印刷
- 印刷したA3のプリント内容をパソコン画面をながらチェックする
- 印刷したA3のプリントを完成品として積み上げる
この場合、「パソコンを置くスペース(A)」「プリンターを置くスペース(B)」「チェック用のスペース(C)」「置き場所スペース(D)」の4つが必要です。
それぞれのスペースを使いたいパソコンやプリンターの大きさを考えながら、出してみます。
※DELLのImpressionシリーズで組み合わせた場合
※EPSONのビジネスプリンターの場合
※横向きに使用
※横向きに使用
②-②I型デスクで作業する場合
I型デスクの上に(B)(A)(C)(D)のスペースを取っていくと、無駄に横に長いデスクになる。横に長いデスクは左右の動きが多くなり非効率。
②-③L型デスクで作業する場合
作業内容を考えてL型デスクの一面に(A)(C)、もう一面に(B)(D)を並べる。流れるように作業ができ、デッドスペースになりがちなコーナー付近にプリンターを置くことでデスク自体もコンパクトにレイアウトすることができる。
②-④コの字型デスクで作業する場合
一面に(B)、もう一面に(C)(D)、最後の一面に(A)を並べる。チェックするスペースとチェック済のもの(完成品)を置くスペースを隣同士にすることで作業効率がアップする。
プリンターをコーナー付近に置いて、デスクをフリー状態にし、ワークチェアを回転させて、前後で別々の作業をすることも可能。視界に入らないデスクがあることで2つの異なる作業を頭を切り替えて行うことができる。
作業内容のシミュレーションは、デスクの形を決める手助けになるだけでなく、④のデスクレイアウトを考える際の基準として役立ちます。
③既製品のデスクと造作デスク
「I型」「L型」「コの字型」のデスクの作り方には、「規制品のデスクを使う」と「カウンター材を使う(造作デスク・カウンターデスク)」の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
- 小引き出し付きやキャビネット付きなど収納を重視したデザインがある。
- 安価なので買い替えしやすい。
- サイズが決まっている為、他の家具を横に並べても隙間残る可能性がある。
- デスクとは別に、キャビネットや収納家具を置く場合は、デザインがバラバラになり乱雑な印象になりがち。
- 天板(カウンタートップ)に配線穴加工ができる。
- 幅と奥行きを自由に設定できる。
- 壁の端から端までピタっとレイアウトすることができるので隙間が残らない。
- 壁面固定が基本なので、デスクの位置をいったん決めてしまうとレイアウトを変えることができない。
カウンターデスクに興味がある方は、下記をご覧ください。
④デスクレイアウトの基本
デスクを部屋の中にレイアウトする時、デスクを壁面にペタっと置くことを思い浮かべる方が多いと思います。
部屋のどの場所にデスクを置くかによってデスクまでの動線、デスクからの動線や使い勝手が変わってきます。デスクの置き方には、3つのレイアウトの仕方があります。
④-①壁付デスク
壁に向かってデスクを置くレイアウトです。
- 通路スペースとチェアスペースが同じ位置になる(重なる)為、残りのスペースを有効活用できる。
- 収納家具と並べやすい。
- 窓の前にデスクを置くことが可能。
- デスク前上部の壁面に収納棚を取り付けることが可能。
- 壁面コンセントからの配線が丸見えになりにくい。
④-②セミオープン(半対面)デスク
デスクの前面オープンにするレイアウトの仕方です。
- パソコン画面が丸見えにならない
- 「ここからデスクスペース」といったようにエリア分けができる。
- デスクの側面の壁を有効活用できる。
- 壁面が多く残るので収納スペースが多く取れる。
- 「デスクスペース」と「くつろぎスペース」など、違う空間の境界線としてデスクを活用することができる。
- デスクの反対側(前面)にチェアを置くことができる。
※デメリットは、パソコンの裏側が丸見えになり、ごちゃごちゃした配線を綺麗に収納する工夫が必要になることです。
④-③アイランド型デスク
壁の周囲を全てオープンにするレイアウトです。(コの字型の場合は2面+側面をオープン。)
- どこからでもデスクに回り込める。
- パソコン画面が丸見えにならない。
- 「ここからデスクスペース」といったようにエリア分けができる。
- 壁面全部を収納スペースにできる。
- 「デスクスペース」と「くつろぎスペース」など、違う空間の境界線としてデスクを活用することができる。
- デスクの反対側(前面)にチェアを置くことができる。
※デメリットは
- 広いワークルームでないと通路スペースを確保するのが難しい。
- L型アイランドレイアウト同様に、パソコンの裏側が丸見えになり、ごちゃごちゃした配線を綺麗に収納する工夫が必要になる。
です。
⑤使いやすさ重視!デスクの形やレイアウトを加味したワークルームの作り方
ワークルームの主役であるデスクのサイズを決める時、「デスクの上でたくさん物を広げたいから大きめのデスクを置こう」と大きなデスクを真っ先に決めてしまうと作業がしにくかったり、人が通るスペースが狭くなってしまったり、理想のレイアウトが出来ないことがあります。
ワークルームは、先に挙げた「①で選んだデスクの形」と「④で決めたデスクレイアウト(デスクの置き方)」を総合的に考えながら作っていきます。
⑤-①デスクの大きさはどれが最適を考えよう
「②どの形のデスクが最適かシミュレーションする」で、ワークルームでの具体的な作業内容を思い浮かべ、「デスクの上に何を置くか」「その為にはどの程度のスペースが必要か」「それらを並べるにはどんなデスクが最適か」を考えることの重要性を解説しました。
しかしながら、ワークルームには、書籍や書類を収納する家具も必要です。「デスクの隣に収納家具を置きたい。」となれば、デスクの幅と収納家具の幅を足して、デスクの幅を決めていく必要が出てきます。
この時、デスク幅が狭くなるようなら、デスクの奥行を深くして「デスクの上を前後を有効に使う」などの工夫も必要です。
⑤-②デスク周りのスペースを考えよう
「④デスクレイアウトの基本」では、壁面に向かってデスクを置く方法やデスクの前をオープンにするレイアウトの方法を紹介しました。
ワークルームでは、デスク上での作業の他に、「ドアを開ける」「デスク用の椅子を引く」「デスクの周辺を通る」「収納家具からものを取り出す」など、目に見えないスペースを空けておく必要があります。
椅子を引くスペースは余裕を見て75cm程度必要です。
デスクと組み合わせるワークチェアは「肘掛けがついている」「分厚くて背が高い背もたれがついている」など、作業を快適に行えるようにデザインされたものもあります。これらのワークチェアは、一般的なチェアよりもサイズが大きい為、「デスクの後ろの壁面に収納家具をレイアウトする場合」「デスク後ろの空いたスペースにテーブルとソファを置いたくつろぎ場所を作る場合」は、椅子を引いた時に家具とぶつからないように、十分なスペースを確保するようにしましょう。
また、背もたれの高いチェアは、収納家具の扉の開閉の邪魔になることがあります。
「扉を全開する為には家具の前からどの程度スペースを開けておく必要があるか」も加味してデスクと収納家具の間のスペースを取るようにしましょう。
セミオープン(半対面)デスクやアイランド型デスクでは、デスクの周囲に人が通れるスペース約60cmを確保しておく必要があります。
扉付きの収納家具をデスクを平行に並べる場合は、扉開閉スペースが70cm程度必要です。ワークチェアに座ったまま開閉したい時は、チェアを引くスペースも考慮する必要があり、デスクと収納家具の間のスペースを広く確保する必要があります。
デスクの奥行が大き過ぎると、ドアを開けた時、椅子とドアがぶつかってしまうことがあります。
ドアに近い場所にデスクをレイアウトする時は、ドアの前にスペースが確保できているかを確認するようにしましょう。
デスクの形やデスクレイアウトを図や実例を使って解説しましたが、基本的な考え方がわかったでしょうか。
ワークルームの大きさは、デスクが大きいからと言って広くできるわけではありません。
限られたスペースの中で、デスクの使い勝手や動線を考えながら、最適なデスクの大きさとレイアウトを考えていきましょう。
時間がある方は具体的なサイズも記載した「いきなりデスクを買うのはNG!ワークスペースの作り方&実例36選」もご覧ください。