先日、筆者が携わった案件の事例を元に、海外風のモールディング腰壁の作り方を図示しながら紹介しました。
モールディング腰壁には、凸型と凹型(腰壁を横に切断した断面が凸になってるのが凸型、凹になっているのが凹型)があります。
凸型はベニヤとモールディング、凹型はベニヤにベニヤを重ね、内側にモールディングを巻く、ワン工程多い腰壁です。凹型はベニヤが2層なので、コストが掛かりますが、凸型と比べると豪華に見え、アンティークな家具との相性も抜群です。
凹型腰壁の作り方手順やインテリア実例を紹介していきましょう。
コストも手間も2倍だけど凹んだデザインのモールディング腰壁は豪華さが違う
平らなデザインのモールディング腰壁(框部が出っ張ったデザインのモールディング腰壁)は、壁にベニヤ板を貼り、その上に飾りのようにモールディングをつけて行きます。モールディング部分を横にスパッと切断した箇所を上から見ると下のような図になります。
凹んだデザインのモールディング腰壁(框部が凹んだデザインのモールディング腰壁)は、壁にベニヤ板を貼り、その上に四角く穴の空いたベニヤ板を取り付け、ベニヤ板の縁を巻くようにモールディングをつけて行きます。モールディング部分を横にスパッと切断した箇所を上から見ると下のような図になります。
凹んだデザインのモールディング腰壁の作り方
工程①厚み4mmのベニヤを貼る
- 凹んだ箇所を作る一番見えるベニヤです。
- 塗装することを想定して木目が綺麗なシナベニヤ4mm厚を使います。
工程②厚み9mmのベニヤをカットして框部を作る
- 長細くカットして腰壁の上と下に取り付け、框部を作りたい箇所に縦に等間隔に貼り付けて行きます。
- 腰壁の幅が1800mm以上ある場合は、工程①のシナベニヤの継ぎ目に縦に取り付けることで継ぎ目を隠すことができます。
- 下は、あとから巾木を取り付けることを考慮して上用の高さ+巾木の高さにします。
工程③厚み9〜15mmの巾木を取り付ける
- 上部が凸凹したデザインの巾木を使うと豪華に見えます。
- 上部がまっすぐな巾木の場合は、巾木の上に巾木から飛び出ない大きさのモールディングを乗せます。
- 腰壁の最下部は、4mm厚のベニヤ+9mm厚のベニヤ+巾木の厚みになるため、ドア枠・引戸枠・窓枠よりも飛び出ます。(ドア枠・引き戸枠・窓枠より飛び出るのは、ドアの「ちり」より腰壁の最下部の方が大きいからです。 腰壁やモールディングを完成した壁につける場合は、ドア枠・引戸枠の「ちり」「みつけ」に注意)
工程④厚み13mm以上の腰見切をつける
- 腰見切りの高さは、巾木やあとから取り付けるモール部とのバランスが取れる高さにします。
- 腰見切の厚みは、4mm厚のベニヤ+9mm厚のベニヤの重なる部分の小口を隠す役割を果たすため、13mm以上にします。
- ドア枠・引き戸枠・窓枠より飛び出るので端っこは鋭角にならないように削ります。(ドア枠・引き戸枠・窓枠より飛び出るのは、ドアの「ちり」より腰見切の方が大きいからです。 腰壁やモールディングを完成した壁につける場合は、ドア枠・引戸枠の「ちり」「みつけ」に注意)
- あとから足す框部のモールディングに合わせて、大きなモールディングを框部の内側に取り付ける場合は凸凹がたくさんある豪華な腰見切を、小さなモールディングを框部の内側に取り付ける場合は、四角い腰見切をつけるとバランスが取れた腰壁になります。
工程⑤框の内側にモールディングを取り付ける
凹んだデザインの腰壁を美しく見せるには?
框部を作るベニヤの厚みより大きなDのモールディングを使うと豪華に見えます。
框部分を作るベニアを12mm厚にして、9×9mmのモールディングを取り付けるとモールディングが貧弱に見える。
框部分を作るベニアを9mm厚にして、9×9mmのモールディングを取り付けると豪華さに欠ける。
框部分を作る9mm厚のベニアよりもDが大きく、モールディングのDよりもHが大きな13×24mmのモールディングを取り付けると豪華な印象になる。
工程⑥モールディング腰壁を好きな色で塗装する
- 赤丸部分は、凸凹がたくさんあるデザインを選ぶ。
- 青丸部分は、框部を作ったベニヤより大きいデザイン(Dが大きなデザイン)を選ぶ。
凸凹を多く作ることで、同じ色で塗装したあと美しく見えます。
《使用材料》
凹んだデザインのモールディング腰壁のインテリア実例
内側のモールディングを無しや小さなデザインにしてスッキリ
ダークブラウンのフローリングのダイニングに、ホワイトの背の高いすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、イエロー欠けるベージュ欠けるグレーのパイナップルのようなデザインのパターン柄の壁紙をレイアウト。床にブラックの縁取りのベージュのラグを敷き、ダークブラウンの楕円形ダイニングテーブルとブラックの木製チェアを配置。テーブルの真上に、ブラック×ベージュシェードのアンティークなデザインのシャンデリア風ペンダントランプを1灯ハンギング。クラシックスタイルの家具や内装とカジュアル感のある壁紙を組み合わせた楽しげな印象のインテリア。
赤みがかったミディアムブラウンのフローリングのダイニングに、ホワイトの背の高いすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、グレーの壁紙をレイアウト。ミディアムブラウンの木製長方形ダイニングテーブルとミディアムブラウンの折りたたみ式木製チェアを配置。シンプル&すきっとまとめた飾り気の少ないインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングのダイニングに、ホワイトの背の高いすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、ブラックの壁紙をレイアウト。床に白っぽいグレーのラグを敷き、ホワイトのアンティークデザインの丸型ダイニングテーブルと白っぽいグレーのファブリック製チェアを配置。薄いグレーを多く配色して、上品な空間を演出したインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトの背の高いすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、黒っぽいネイビーの壁紙をレイアウト。ホワイトの2人掛けソファ、ブラックの菱形模様が入ったアイボリーのラグ、ミディアムブラウンの木製脚とホワイト天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブル、ヴィンテージなミディアムブラウンの木製テレビボードを配置。腰壁の高さを高くして、スッキリ感をアップしたインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトのすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、くすんだ薄めのパープルの壁紙をレイアウト。ブラックレザーの2人掛けソファをL字に置き、ソファの前に、ホワイト×ブラックのストライプ柄のラグを敷き、ライトブラウンの木製丸型コーヒーテーブルを配置。腰壁・天井・カーテンをホワイトにして、清潔な印象をアップしたフェミニンな印象のインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトのすっきりとした凹んだデザインの背が高めのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、スモーキーなベージュの壁紙をレイアウト。腰壁を背に、ベージュの2人掛けソファを置き、ソファの下に白っぽい黄緑×くすんだ暗いグリーンのレトロな幾何学模様のラグを敷き、ブラック金属フレーム脚とミディアムブラウンの木製天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルを配置。腰壁の上の壁紙とソファの色を同じにして、まとまりを演出したインテリア。
赤みがかった暗めのミディアムブラウンのフローリングのリビングに、ダークグレーのすっきりとした凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、白っぽいベージュの壁紙をレイアウト。窓を背に、ベージュの2人掛けソファを置き、ソファの下に、ブラウン×ベージュのアンティークなラグを敷き、ダークブラウンの木製脚とガラス天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブルを配置。配色・家具・デザインを全てクラシック調にしたリラックス感のあるインテリア。
框の内側に存在感のあるモールをつけて豪華に
ダークブラウンのフローリングのダイニングに、薄めのグレーの背の高い凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、グレーの壁紙をレイアウト。床に、ライトグレー×グレー×ブラウンの大きな花のようなデザインのラグを敷き、アンティークデザインのダークブラウンの木製長方形テーブル、薄いグレーのファブリック製チェア、ブラックレザーのチェアを配置。クラシックな印象が強いインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングのダイニングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、鮮やかなブルーの壁紙をレイアウト。床にベージュのラグを敷き、ミディアムブラウンの木製長方形ダイニングテーブル、白っぽいグレーのカバータイプのチェアを配置。テーブルの真上に、ベージュのシャンデリア風ペンダントランプを1灯ハンギング。ホワイトと寒色を組み合わせた涼しげな印象のインテリア。
ライトブラウンのヘリンボーン床のダイニングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁とブラックの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、ホワイトとブラックの壁紙をレイアウト。中央にホワイトの丸型ダイニングテーブルとブラックの木製チェアを配置。家具の配色と腰壁の配色を同じにしたメリハリのあるインテリア。
スモーキーなナチュラルブラウンのヘリンボーン床のダイニングキッチンに、薄めのグレーの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、白っぽいグレーの壁紙をレイアウト。床にベージュのラグを敷き、スモーキーなミディアムブラウンの木製丸型テーブルとブラックの木製チェアを配置。キッチンは、黒っぽいネイビーの框組扉デザイン。キッチン扉と腰壁を似たデザインにして、統一感を演出した北欧スタイルのインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、ホワイトの壁紙をレイアウト。中央にブラックの脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルを置き、テーブルの周りに、薄いグレーのラウンジチェアを4脚配置。壁面に凸凹をつけることで、ホワイトの壁の単調な印象を少なくしたインテリア。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、ブラックの壁紙をレイアウト。ホワイトの2人掛けソファを置き、暗い赤紫×グレー×ホワイトのヴィンテージな幾何学模様のラグを敷いて、ダークブラウンのアンティークデザインの長方形コーヒーテーブルを配置。ブラックの壁に、イエロー×グレー×ホワイトのデザイン違いのアートを3枚並べて飾り、おしゃれな印象をアップしたインテリア。
ミディアムブラウンのヘリンボーン床のリビングに、スモーキーな薄いグリーンの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、黒っぽいグレーの壁紙をレイアウト。腰窓を背に、ベージュの寝椅子付き2人掛けフロアソファを置き、ソファの下に、ベージュ×グレーの幾何学模様のラグを敷いて、ブラックの高さ違いの長方形トレイテーブルを配置。配色センス抜群のクラシカルな印象のインテリア。
ミディアムブラウンのヘリンボーン床のリビングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、薄いグレーの壁紙をレイアウト。腰窓を背にグレーの2人掛けソファを置き、ソファの前に、グレーのラグを敷いて、シルバー金属脚とミディアムブラウンの花のようなデザインの天板を組み合わせたコーヒーテーブルを2台配置。ホワイト×グレーでまとめ、ポイントに黒を足した北欧スタイルのインテリア。
ベージュの床のリビングに、ホワイトの凹んだデザインのモールディング腰壁をコーディネート。
腰壁の上に、スモーキーなベージュの壁紙をレイアウト。腰壁を背に、スモーキーな濃いベージュの3人掛けソファを置き、ソファの前に、白っぽいベージュ×ブルーの幾何学模様のラグを配置。全体的に白っぽい色でまとめ、ブルーをアクセントカラーで加えた上品&カジュアルなインテリア。
いかがでしたか。
ベニヤの上に、ベニヤを重ねて内側にモールディングを回した豪華な凹型モールディング腰壁の作り方とインテリア実例を紹介しましたが、参考になったでしょうか。
凹型の腰壁の立面図を書くときは、どの部分がベニヤだけで、どの部分がベニヤ+ベニヤになるのかを着色して図示した方がわかりやすくなります。着色していない図は「四角がならんでいるだけ」に見え、人によっては、出ている部分と凹んでいる部分を逆に取ってしまうこともある為、注意しましょう。