現在進行中の新築案件は、キッチン扉の色が「青」と決定しています。
これは、お施主様がお料理教室に通うくらい料理好きな方なので、キッチンに関してはレイアウトからかなりこだわりがあるだろうということで、国内外の様々なキッチンメーカーのショールームを訪問し、使い勝手のよいレイアウトや欲しい機器を選定し、扉色は展示してあるキッチンに一目惚れされた結果です。
初期段階の間取りを決める際に、先にキッチンが決定しまっているという少しイレギュラーな進め方になっていますが、筆者自身も、木目の無難なキッチンよりも、インテリアに溶け込む、存在感のあるキッチンの方が好きなので、展示キッチンを見た時は「このキッチン良い!!」と直感的に思いました。
青は、落ち着きや清潔感を演出する色なので、キッチン空間という場所から考えても相応しい色ではないかと思います。また、数年で扉のデザインや色が入れ替わるどのメーカーのシステムキッチンにおいても、青色のキッチンはいつでも存在しているので、永続的に人気がある色なのではないかと推測しています。
このページでは、「キッチンを青にしたい」とお考えの方の参考になりそうな「青のキッチンには、どんな柄や色があるのか(デザイン面)」を中心に解説していきます。
青の扉のキッチンがある主なメーカーとシリーズ
冒頭に記載した通り、日本国内では、青系の扉のバリエーションを持つキッチンメーカー(シリーズ)が多く存在します。
カタログからレイアウトや必要な機器を選ぶことができる規格型キッチンを中心に紹介していきましょう。
(※規格型ではないキッチンはオーダー型です。オーダー型のキッチンは、ユニットの並びや大きさ、ビルトインできる機器、扉やカウンターデザインの自由度が高くキッチンに予算が取れる場合やこだわりがある場合に使うことが多いです。)
①リクシル シエラ
②クリナップ ラクエラ
③パナソニック ラクシーナ
④TOTO ミッテ
⑤ウッドワン スイージー
⑥タカラスタンダード レミュー
⑦ハウステック カナリエ
⑧トクラス Bb
(2021年春時点の情報です。)
青のキッチンにも様々な色とデザインがある
青の種類
上記のキッチンメーカーごとの青系の扉色を見てもわかるように、青のキッチンには「黒っぽい青」「暗い青」「スモーキーな青」「淡い青」など、様々な明るさのキッチン扉があります。
上の表でいう明度や彩度が低い青(「ダークグレイッシュトーン」や「ダークトーン」)のキッチンは高級感、彩度が高い青(「ブライトトーン」「ストロングトーン」「ビビットトーン」)のキッチンは非日常的な印象、明度が高い青(「ライトトーン」「ペールトーン」)のキッチンは圧迫感が少なく清潔なイメージになります。
黒っぽい青のキッチン
暗いブルーの六角形タイル床とミディアムブラウンのフローリングで貼り分けたリビングダイニングに、黒っぽい青扉の壁付けL型キッチン+アイランドカウンターをコーディネート。
取っ手はブラック、カウンターはブラック&ホワイト、壁面はホワイトタイル。アイランドカウンターにブラックのワイヤーカウンタースツールを並べ、天井からブラック金属のペンダントランプを2灯ハンギング。腰より低い位置に黒っぽい色を多く配色することで落ち着きを演出したインテリア。
スモーキーな薄いブラウンのフローリングのキッチンスペースに、黒っぽい青扉の壁付けコの字型キッチンをコーディネート。
取っ手はゴールド、カウンターはホワイト×グレー、壁面は黄みがかった薄いベージュ。中央に、ピンクゴールドのペンダントランプを3灯ハンギング。黒っぽい青とゴールドやピンクゴールドの金属色を組み合わせて、高級感を演出したインテリア。
グレー×ブラウン×ベージュのヴィンテージなフローリングのキッチンスペースに、黒っぽい青扉とブラウンの扉をミックスしたⅡ型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はゴールド、カウンターはホワイト×グレー、壁面はミラー仕様。対面カウンターに、シルバー金属の1本脚とホワイトレザーを組み合わせたバースツールを2脚並べ、塗装が剥げたホワイト金属のペンダントランプを2灯ハンギング。レザーのような見た目のブラウン扉のウォールキャビネットを加え、モダンな印象をアップしたインテリア。
暗い青のキッチン
ダークブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、暗い青のコの字型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はゴールド、カウンターはホワイト、壁面はホワイトタイル。水栓をピンクゴールド色にして、天井に、アンバー色のヴィンテージなシーリングランプをハンギング。床色とキッチン扉色の両方を暗くしたシックな印象のインテリア。
白っぽいナチュラルブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、暗い青のコの字型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はピンクゴールド、カウンターはホワイト、壁面はホワイトタイル。対面カウンターに細いブラック金属脚とミディアムブラウンの天然木座面を組み合わせたスツールを2脚並べ、ピンクゴールドのソケットと裸電球を組み合わせたペンダントランプを3灯ハンギング。対面カウンター側の壁面を黒板化してホワイトチョークで落書きし、カフェのような雰囲気を演出したインテリア。
グレーのコンクリート調床のダイニングキッチンに、暗い青のⅡ型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト×グレー、壁面はホワイト×グレーのボード。対面カウンターにシルバー金属脚とダークブラウンの木製座面を組み合わせた丸型スツールを4脚並べ、天井からゴールド×ガラスのペンダントランプを3灯ハンギング。白っぽい空間に、黒っぽい青とゴールドを配色して、高級感を演出したインテリア。
くすんだ暗い青のキッチン
ダークブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、ホワイトとくすんだ暗い青扉のⅡ型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト、壁面はホワイトタイル。対面カウンターに、ブラック金属脚とくすんだブラウンの木製座面を組み合わせたスツールを4脚並べ、天井から、ブラック金属の筒型の大きなペンダントランプを2灯ハンギング。壁付けキッチン側のキャビネットをホワイト扉にして、圧迫感を少なめにしたインテリア。
白っぽいグレーのコンクリート調タイル床のダイニングキッチンに、くすんだ暗い青扉のⅡ型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト、壁面はホワイト。対面カウンターに、ブラック金属脚とグレーの木製座面、スモーキーなダークブラウンの木製座面を組み合わせたスツールを2脚並べ、天井から、ペンダントランプをピンクゴールド、ブラック、ピンクゴールドと交互に並べて3灯ハンギング。シンプルでスッキリとした印象のインテリア。
グレーのコンクリート調タイル床のダイニングキッチンに、くすんだ暗い青扉のⅡ型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はゴールド、カウンターは明るい茶色の木とホワイト、壁面はホワイト。対面カウンターの側面に、ブラック金属脚とミディアムブラウンの木製座面を組み合わせた丸型スツールを2脚並べ、天井から、丸みのあるガラスシェードのペンダントランプを2灯ハンギング。壁付けキッチン側のウォールキャビネットを無しにして、ブラック金属ブラケットと明るめの茶色の木製棚板を組み合わせた2段ウォールシェルフをレイアウト。高級感と開放感の両方を感じる、おしゃれなインテリア。
鮮やかな青のキッチン
グレー×水色×ホワイトの幾何学模様のタイル床のキッチンスペースに、鮮やかな青扉のコの字型キッチンをコーディネート。
取っ手は黒みがかったシルバー、カウンターはグレー、壁面はホワイトタイル。2面の壁に、ホワイトのウォールキャビネットとブラックの木製2段ウォールシェルフをレイアウト。スッキリ感のある清潔な印象のインテリア。
赤みがかったタイル床のキッチンスペースに、爽やかな青扉の壁付けL型キッチン+アイランドキッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト、壁面はホワイト。アイランドのキャビネットはブラウンの木目調にして、シルバー金属と赤みがかったブラウンレザーを組み合わせたモダンなチェアをプラス。生活感の少ない開放感のあるインテリア。
グレイッシュなナチュラルブラウンのフローリングのキッチンスペースに、ウォールキャビネットとフロアキャビネットを違う鮮やかな青扉にした壁付けL型キッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト×グレー、壁面はホワイト×グレー×水色のタイル。海と空が見えるキッチンを屋外と同じような配色にした爽やかなインテリア。
淡い青のキッチン
ナチュラルブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、くすんだ水色扉の壁付けI型+アイランドキッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト×グレー、壁面はホワイト×グレーのタイル。アイランドカウンターに、ブラック金属脚とミディアムブラウンの木製座面を組み合わせたカウンタースツールをプラス。壁付けキッチン側のウォールキャビネットをグレー扉にして、無機質な印象をアップしたインテリア。
ヴィンテージなミディアムブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、水色扉のコの字型対面キッチンをコーディネート。
取っ手はゴールド、カウンターは木目、壁面はホワイトタイル。対面カウンターに、ガラスの曲線シェードのシンプルなペンダントランプを3灯ハンギング。ナチュラルで可愛らしい印象のインテリア。
ブラック×グレー×ホワイトの3Dタイル床のダイニングキッチンに、水色扉のⅡ型キッチンをコーディネート。
取っ手はシルバー、カウンターはホワイト、壁面はホワイト。通路スペースに、真っ赤なシェードの丸みのあるペンダントランプを3灯ハンギング。レンジフード、冷蔵庫、ガス調理機器、ビルトインオーブンレンジ、食器乾燥機をホワイトで統一。無彩色と寒色の冷たい色で配色し、目立つ暖色をアクセントで加えたキュートなインテリア。
フラット扉と框組扉
キッチン扉には、表面がフラットの「フラット扉」と表面に凹凸がある「框組扉」の2種類があります。
前者は、生活感の少ないモダンなキッチン、後者は家具のような雰囲気を演出します。前者のデザインの方が圧倒的に多いですが、框組扉のキッチンは、海外キッチンのようなクラシカルな雰囲気、重厚感などを演出できるメリットがあります。
同じような青系扉のキッチンで「フラット扉」「框組扉」を比べてみましょう。
グレーのフローリングのダイニングキッチンに、スモーキーな水色のフラット扉のⅡ型対面キッチンをコーディネート。
少し暗いミディアムブラウンのフローリングのキッチンスペースに、淡い水色の框組扉の壁付けL型キッチンをコーディネート。
→ウッドワン su:iji NeutralColor 扉一覧
また、「青の扉のキッチンがある主なメーカーとシリーズ」で紹介したキッチンメーカーのオーダー型シリーズに框組扉の品揃えがある場合もあります。
艶有と艶無し
同じフラット扉でも、艶のある「鏡面タイプ」と艶の無い「マットタイプ」があります。
鏡面タイプの暗い青のキッチン。
マットタイプの暗い青のキッチン。
■TOTOミッテの艶有扉と艶無し扉の比較。
艶有扉は、光を反射し、キッチンの前にある物が薄っすらと扉に映り込みます。
木目あり扉とマット扉
「パナソニックのネイビーオーク」や「タカラスタンダードのグロスダークブルー」のように下に薄っすらと木目が見える青の扉も出ています。
木目が見えるターコイズブルーのキッチン扉。
■パナソニックのネイビーブルー(木目無し)扉とネイビーオーク(木目あり)扉の比較。
木目が薄っすらと見える青のキッチンは、木目が目立つフローリングやドア、家具と組み合わせても違和感が出にくいのが特徴で、ここ数年で出現した比較的新しいデザインの扉柄です。
青のキッチンと言っても、青のトーン(明るさ・暗さや鮮やかさ)、扉デザイン(フラットか凸凹しているか)、艶の有無(鏡面orマット)、木目の有無の組み合わせで無数の青のキッチンができてしまうことが伝わったでしょうか。
ショールームで実物を目にし「コレ」と決めている方は良いですが、「何となく青のキッチンが良い」とぼんやり考えていて、これからメーカーやデザインを選定しようと思っていた方は、数の多さに余計に混乱されたかもしれませんね。
「結局、どのデザインの青を選ぶのがよいか。」と悩んだ時は、インテリアスタイルに注目すると良いです。
次回は「青のキッチンで作るキッチンインテリア(テイスト)」について解説したいと思いますので、お時間のある方はご覧ください。