筆者は、アクセントクロス推進派です。
「アクセントクロス選びに失敗した」
「アクセントクロスを貼ったけど効果がわからない」
世の中には、アクセントクロスに対して否定的な意見がありますが、アクセントクロスを貼らないことよりも貼ることで得られるメリットの方が大きいと考えるからです。
「凝った素材、良い素材を使った住まいに住みたい」という願望はあっても、内装に予算を掛けられないことの方が多い世の中で、提案者の立場からすると、真っ白な壁紙クロスを選ぼうが、パターン柄が入った小洒落た壁紙クロスを選ぼうが、目立つ色の壁紙クロスを選ぼうが、同じグレードであれば値段は同じです。(※筆者の提案物件は、壁紙クロスのグレードのみで値段を決めています。他のところは、基本仕様から外れるとアップ料金が取られてしまう場合もあるので、注意して下さい。)
値段も手間も同じなら、「誰もが選べる無難な白より、少し個性を出した方が良い」と考えています。
アクセントクロスの効果やメリットを、一般的なホワイト・ベージュ・アイボリー系のクロス壁のLDKとアクセントクロスを貼ったLDKを比較しながら解説していきましょう。
【メリット1】おしゃれに見せることができる
壁の一面だけ、白っぽくない壁紙クロスやパターン柄の壁紙クロスにすると、おしゃれな印象が“ぐん”とアップするのは言うまでもありません。
アクセントクロスを貼った部屋がおしゃれに見える理由には、根拠があります。
それは、アクセントクロスが、壁に飾った絵やディスプレイのようなフォーカルポイント(視線が集まる場所)の役割を果たすからです。
4面の壁が白っぽく、アイボリーやベージュのソファやラグをコーディネートした部屋を想像してみて下さい。
特筆すべき特徴も無いインテリアは、無難で飽きが来ないのが良いところですが、目に入るものが全て似ている為、ぼんやりとした印象で、物足りない雰囲気がします。アクセントクロスを加えると自然に視線が集まる場所ができる為、インテリアにメリハリが生まれるのです。
また、アクセントクロス仕様の壁にすることで、
- アクセントクロスとクッションの色を揃える
- アクセントクロスとカーテンの色を揃える
- アクセントクロスの色と相性の良い色のソファを選ぶ<
など、「家具や雑貨などの色使い」も気にするようになり、ますますインテリアがセンスアップしていく傾向にあります。
「アクセントクロスを貼りさえすれば、インテリアがおしゃれになる」は幻想です。
「色の選び方」「柄の選び方」「家具との調和」など、まとまりとメリハリのバランスを取ることが、おしゃれインテリアへ近づく第一歩です。
【メリット2】広く見せることができる
アクセントクロスの色の選び方によって、狭い部屋を広く見せたり、長細い部屋を正方形に近い印象に変えることができます。
正面の壁の色が白よりも青の方が、奥行きを感じます。
正面の壁の色が白よりも黒の方が、奥行きを感じます。
部屋に広がりを出したい時は寒色や黒っぽい色のアクセントクロスがおすすめです。
リビングに、明るいグレーのアクセントクロスをコーディネート。
アクセントクロス自体が白っぽいので奥行き方向への広がりは少ない。
リビングに、暗い青緑のアクセントクロスをコーディネート。
正面の壁に黒っぽい色、かつ寒色を使うことで、窓方向への広がりを演出。
アクセントクロスが暗い色(黒っぽい色)の場合、アクセントクロスに影響されて、家具・ラグ・カーテンなども暗い色で揃えてしまいがちですが、明るい色(白っぽい色)でコーディネートしても問題ありません。
リビングに暗い色(黒っぽい色)のアクセントクロスを使う場合は「リビングインテリアを決める前に考えたい1つの重要ポイント」を参考にして、「暗くて重厚感のあるリビング」にするのか「明るく開放感のあるリビング」にするのかを決めてから、家具・ラグ・カーテン等の色を決めましょう。
【メリット3】冷たく、または暖かく見せることができる
「西日が差し込む暑く感じる部屋」や「窓が無く、寒々しさを感じる部屋」は、アクセントクロスの色効果を使って、「涼しく感じる部屋」や「暖かく感じる部屋」に変えることができます。
※部屋への日差しの入り方は、季節によって異なります。
リビングダイニングの壁に、寒色のアクセントクロスをコーディネート。
リビングダイニングの壁に、暖色のアクセントクロスをコーディネート。
夏は涼しく感じる色、冬は暖かく感じる色を選びやすい傾向にある為、暖色・寒色に偏った色を選ぶ場合は、「今の季節以外の3つの季節に合うか?」も考えましょう。
【メリット4】インテリア作りの手助けになる
アクセントクロスは、インテリアデザインやコーディネートをする上で欠かせない要素の1つです。
色使い、家具のデザイン、インテリア雑貨、クッションの模様などで、インテリアを作るよりも、壁を大きなキャンバスに見立て、大胆にアレンジした方が良い場合もあります。
- 北欧っぽさを演出する幾何学模様
- エレガントさを出す花やオーナメント柄
- ナチュラルな印象を演出する植物系
- 子どもっぽさを強調するカジュアル柄
など、壁1枚に施すだけで、家具が置いてない状態でも雰囲気を作り出してしまいます。(木やタイルなどの素材を模したフェイクの壁紙クロスについては後述します。)
パターン柄
ホワイトに黒の細い線で幾何学模様を描いたアクセントクロスをリビングにコーディネート。
窓周りの壁に、青×ホワイトの花柄のアクセントクロスをコーディネート。(アクセントクロスの柄の色とソファの色は同系色。)
明るいグレーに、青がほんの少しだけ入った花柄のアクセントクロスをリビングにコーディネート。(アクセントクロスの柄の色とソファの色は同じ。)
茶色×黄色×グレーで芽のようなデザインを描いたパターン柄のアクセントクロスをリビングにコーディネート。(アクセントクロスの柄の色とソファ用クッションの色は同系色。)
白地に暗いグレーで大きな星を描いたパターン柄のアクセントクロスをリビングにコーディネート。
色
壁1枚だけに有彩色を取り入れることで
- アクセントクロスとクッション
- アクセントクロスとチェア
のように、色を取り入れる場所の選択肢が増え、センス良く感じるまとまりのあるコーディネートができます。
パターン柄のアクセントクロスとベッドカバーを赤でコーディネート。
アクセントクロスとソファ用クッションを黄色でコーディネート。
アクセントクロスとダイニングチェアとソファ用クッションを水色でコーディネート。
パターン柄のアクセントクロスを選ぶ時は、柄の大きさに注意しましょう。
大きな柄は部屋を狭く見せ、小さな柄は広く見せます。
ボーダーやストライプ柄も同様で、線が太い柄は部屋を狭く見せ、線が細い柄は部屋を広く見せます。
【メリット5】家具の色やデザインを目立たせることができる
デザインや質感にこだわって、家具を新調したのに、いざ部屋に置いてみると、実店舗で見た時よりも、安っぽく見えてしまう場合があります。
この原因は、コーディネートをする時に
- 白っぽい壁に薄い茶色の木製家具
- 白っぽい壁にアイボリーのソファ
など、壁と家具が同化してしてしまっているからです。
アクセントクロスを貼ることで、こだわりの家具との差を作り、家具の質感やデザインを目立たせることができます。
暗い青の木目のアクセントクロスを貼り、茶色のレザー製ダイニングチェアの質感を強調。
灰みがかった青のアクセントクロスと茶色の木目のテレビボードをコーディネート。
木目の家具を目立たせたい時は、ブルー系のアクセントクロスを使うと効果的です。
寒色(壁)×暖色(家具)の対比により、木のぬくもりがアップして見えます。
また、自然界にある色と同じ組み合わせの「グリーン系のアクセントクロス×木の家具」は季節に関係なく、居心地の良い空間を演出するのでおすすめです。
薄い緑のアクセントクロスとナチュラルな木の組み合わせ。
【メリット6】壁の素材感を変えることができる
- ホワイトレンガが合う北欧風
- コンクリート壁が合うモダン
- ヴィンテージウッドが合うインダストリアル
など、一歩踏み込んだインテリアコーディネートをする場合、壁が真っ白だと、思った雰囲気にならないことがあり、その際のお助けアイテムとして、アクセントクロスを活用します。
壁ごと新設する場合は、壁の仕上げ材に、タイル、レンガ、ウッドパネルなど、本物の材料を使うことができますが、既にあるフラットな壁で、この雰囲気を再現するのに、壁紙クロスは最適です。
コンクリートを模したアクセントクロスを吹き抜けの壁にコーディネートしたモダンインテリア。
薄いグレーのウッドパネルを模したアクセントクロスを縦張りにした北欧ダイニング。
ホワイトレンガを模した壁紙クロスをアクセントクロスにした北欧スタイルの仕事部屋。
茶色のレンガを模した壁紙クロスをアクセントクロスにしたインダストリアルテイストのダイニングキッチン。
ターコイズにペイントしたヴィンテージなウッドパネルを模した壁紙クロスをアクセントクロスにしたインダストリアルなリビング。
タイルやウッドパネルなど目地が入る柄をアクセントクロスを使う場合は、パターンのリピートに注意。
貼り方を間違えると、目地が均等に揃わず、不自然な仕上がりになってしまいます。
アクセントクロスには、「おしゃれさを演出する」だけでなく、「部屋を広く見せる」、「冷たく(暖かく)見せる」「家具の質感を良く見せる」など、様々なメリットがあります。
数年前まで、インテリアの教本では「壁の色を変えるのは大掛かりなので、飽きが来ない無難な色を選んでおきましょう」と書いてあるものがほとんどでしたが、近年は、通販で自分で貼れる壁紙クロスが売ってるので、誰でも簡単にアクセントクロスを張り替えることができます。
ちなみにこのページで紹介しているLDKイメージのアクセントクロスを貼った壁は、幅2.2m 高さ2.5mを想定しています。
通販でこの部分(必要m数約8m)に、のりつきの壁紙クロスを買って自分で貼り変えると、壁紙クロス代だけで5000円程度です。
これを「高い」と取るか「安い」と取るかは人それぞれですが、以前よりもアクセントクロスは身近なものになりつつあり、「飽きたら張り替える」も以前よりハードルが下がってると筆者は実感しています。