部屋に癒しを演出する緑。
木を材料とした家(部屋)と相性が良いため、ソファ、カーテン、ラグ、クッションカバーなどインテリアコーディネートに使う布や、カラーボックスなどの簡単な家具、ゴミ箱、ペン立てなどのインテリア雑貨に必ずカラーバリエーションがあります。
「インテリアに緑」と聞くと、大半の方が新緑の緑(若々しい緑・黄緑)を連想し、私達が普段何気なく使ってるインテリアの緑は「アップルグリーン」「グラスグリーン」「鶯色」「若草色」などで、黄緑がベースとなった色です。
実は、インテリアの緑は、黄緑をベースにした緑と、本当の緑(良い言葉が思いつかないので便宜上、この表現にします)の2種類の緑があり、どちらの緑を選ぶかで、インテリアの表情は劇的に変化します。
ちなみに筆者は「本当の緑」を推奨しています。
緑を推す理由を解説していきましょう。
緑と黄緑はこんなに違う
黄緑と緑の色比較
下の2種類の緑は、純色の「黄緑」(左)と純色の「緑」(右)です。
横に並べてみると、全く違う色だとわかりますよね。
インテリア用品に左側の黄緑をベースにした緑が多い理由は(憶測の域を出ませんが)
- 明るい茶色・中間の茶色・暗い茶色など、どの木の色とも合わせやすい
- 人を惹きつけやすい
- 見るだけで明るい気分になり部屋も明るい雰囲気になる
- 親しみがある
からだと思います。
もちろん、黄緑を使って、若々しいインテリアを作るのも間違いではありませんが、緑をベースにした色(下記の色参照)を使った方が、高級感や重厚感を感じる上質なコーディネートになります。
黄緑と緑の壁紙クロス(アクセントクロス)比較
リビングの壁に、黄緑ベースのアクセントクロスをコーディネート。
広々・生き生き・若々しさを感じる新緑の自然の中にいるかのような癒しと開放感を感じます。また、一方で安心・安全・無難という雰囲気も。
廊下の壁に明度と彩度が低い緑の壁紙クロスを貼り、アンティークなダークブラウンの家具とコーディネート。
明るい(薄い)茶色のフローリングの部屋に重厚感を演出。この緑が黄緑だったら、部屋全体がもう少し安っぽい雰囲気になってる気がします。
黄緑と緑のソファの色比較
同じリビングに黄緑のソファ(左)と緑のソファ(右)をコーディネート。
黄緑のソファを置いた部屋は、明るくナチュラルな印象が強く、緑のソファを置いた部屋は、落ち着きがあり、リラックスできそうな雰囲気です。
黄緑と緑の茶色(木の色)の家具の比較
明るい茶色の木製デスクと黄緑(左)と緑(右)のチェアをコーディネート。
暗い茶色(ダークブラウン)の木製デスクと黄緑(左)と緑(右)のチェアをコーディネート。
「木製家具の質感にこだわりがある」「ダークブラウン系の茶色が好き」など、インテリアに欠かせない木との相性を考えた時、黄緑系の色では、これらの持つ上質なイメージをランクダウンさせてしまう気がします。
ダークブラウンの木の色と黄緑を組み合わせる時、黄緑の彩度と明度を落とせば、重厚感が保てるのでは?
という考え方もありますが、明度や彩度を落とした黄緑は、茶色っぽい色なので、家具とのコントラストがつきにくく
明るい茶色の家具との組み合わせにいたっては、家具と黄緑が同調してしまい木の質感が目立ちにくい恐れもあります。
「明るい質の良さそうな木」「暗くて重厚感のある木」の両方に合うのは、緑だと思います。
緑を取り入れたインテリアコーディネート実例
インテリアに緑をコーディネートした実例をアイテムごとに紹介していきましょう。
ラグを緑に
ガラス製の楕円形テーブルと黒のチェアを組み合わせたダイニングの床に、緑のラグをコーディネート。
透明ガラス+黒の高級イメージを壊さないラグの色使い。また、暗い緑を使うことで、明るい茶色のフローリングやキッチンキャビネットの木の質感もアップして見えます。
カーテンを緑に
ダークブラウンのフローリングのリビングに、ホワイトのソファを置き、窓に緑のカーテンをコーディネート。
エレガントな雰囲気。緑の反対色の紫をアクセントカラーにしたセンスのある高級イメージのインテリア。
黒のアクセントクロスを貼った寝室の窓に、緑のカーテンをコーディネート。
黄緑ではなく、緑のカーテンを取り付けることで、大人っぽい寝室を演出。暗い青のベッドカバーとの同系色コーディネート。
光沢のある暗い茶色の木目のデスクを置いたワークスペースの窓に明度が高めの緑のカーテンをコーディネート。
美しい木目のフローリングやデスクとの相性が良く、木の質感を引き立てる色使い。重厚感のあるインテリアです。
ソファを緑に
白っぽい茶色のフローリングのリビングに、黒っぽい緑の2人掛けソファをコーディネート。
抹茶飴のような緑が、くつろげる上質なリビングを演出。床色が白っぽい分、ソファの高級感がアップして見えます。
ベージュ色のタイル床のフローリングのリビングに、緑の3人掛けソファをコーディネート。
緑の類似色の彩度が低い黄色と黒の無地のクッションをプラス。暖炉を抜きにして、ソファとクッションの配色だけで、リッチなリビングを演出。
明るい茶色のフローリングのリビングに、緑の3人掛けソファをコーディネート。
フロアランプの脚やガラステーブルのフレームをゴールドにして、高級な印象をアップ。上品で優雅な印象のリビング。
ダークブラウンのフローリングのリビングに、緑の丸みを帯びたソファをコーディネート。
ラグは黒地にホワイト×グリーンの大きな花柄。ソファを緑にした場合は、黒を足すことで、より上質な空間を演出できます。
ダイニングチェアを緑に
明るいベージュの床と明るい茶色の木製テーブルを組み合わせたダイニングに、黒い脚の暗い緑のチェアをコーディネート。
少しレトロな雰囲気もする、おしゃれな色使い。どこにでもありそうな木製テーブルが、高級家具に見えます。
中間の茶色のフローリングと床色と同じ茶色の木製テーブルを組み合わせたダイニングに、黒い脚の暗い緑のチェアをコーディネート。
1つ前のテーブルよりも白みがかった茶色。明るい茶色の影響を受けて、椅子は黄緑となってしまいそうですが、黒っぽい緑にすると落ち着いた雰囲気もアップ。
グレイッシュな薄い茶色のフローリングとモノトーンのパターン柄のテーブルを組み合わせたダイニングに、ほとんど黒に見える緑のチェアをコーディネート。
光が当たると緑が見える、明度・彩度ともに低い緑。モノトーンカラーでかっこよくコーディネートしたダイニングに合う色です。
グレイッシュな薄い茶色のフローリングとグレーの木製テーブルを組み合わせたダイニングに、黒っぽい緑の木製チェアをコーディネート。
8脚ある椅子のうち半分を緑、残り半分をラグ色と似たような明るい茶色の木目でコーディネート。明る過ぎず、暗過ぎずのバランスが美しい。
ダークブラウンのフローリングと黒の木製テーブルを組み合わせたダイニングに、緑のAチェアをコーディネート。
キッチンから繋がるホワイトのフロアキャビネットを壁面に取り付けたサイドボードの上にも、地球儀や瓶を置いて緑をプラス。白と緑の組み合わせが、清潔感のあるダイニングを演出。
リビングチェアを緑に
明るい茶色のヘリンボーン床のリビングにグレイッシュなベージュのソファを置き、対面に緑のチェアをコーディネート。
外の植物が見える掃き出し窓の前にソファ、窓外の植物と色を合わせたかのうように緑をプラス。遠くから見ると緑の位置が対称的で室内に植物があるような印象です。
明るい茶色のフローリングのリビングに、ベージュのラグを敷き、ベージュのソファをコーディネート。
ベージュのソファの対面側(テレビ側)に暗い緑のチェアを場所を離して2台プラス。大人しい緑が、リビングをリラックスできる空間に。
明るい茶色のフローリングのリビングに、黒の縁取りのグレーのラグを敷き、明るいグレーのソファをコーディネート。
ソファとL字に緑のひじ掛け付きチェアを2台並べてプラス。無彩色コーディネートの生活感が無い空間に、緑で生き生きとした印象を演出。
黒っぽいフローリングのリビングに、ベージュのラグを敷き、黒の2人掛けソファをコーディネート。
ソファとコ字に、緑のチェアを1台ずつ、合計2台プラス。緑のチェア同士の間にはゴールドのサイドテーブルを置いて高級感をアップ。
グレイッシュなベージュのラグと暗い緑の木製のひじ掛け付きチェアをコーディネート。
チェアの横に、茶色のレザーのスツールを置いてサイドテーブル代わりに。かっこいい緑と深みのある緑が合ってます。
クッションを緑に
黒のコーナーソファに、暗い緑の無地クッションをコーディネートし、ソファの後ろの壁に緑の絵をディスプレイ。
重厚感と落ち着きを感じるリビング。黒に色を追加する時、明度や彩度が高い色にする方法もありますが、黒と似た暗さの色を選ぶと、重厚感がアップして見えます。
アイボリーのチェアに、暗い緑のクッションをコーディネート。
チェアの脚、フロアランプ、サイドテーブルを黒で統一して、くつろげる一人席を実現。半畳ほどのスペースにラグジュアリーな空間を演出した事例。
スツールテーブルを緑に
明るいグレーのソファとグレーのソファを組み合わせたリビングに、直径90cmほどの緑のオットマンテーブルをコーディネート。
上に黒の丸いトレイを乗せ、観葉植物をディスプレイ。リビングの中央に、上質な癒し空間を作った事例。
明るいグレーの3人掛けソファの前にダークブラウンの小さなテーブルを2台置き、間に緑のスツールをコーディネート。
暗い茶色と緑の相性の良さがよくわかる事例。明るいソファに暗い家具を組み合わせて重厚感アップ。
黄緑と緑の違いが伝わったでしょうか?
冒頭にも書いた通り、世の中のインテリアの緑は、黄緑ベースの色が多いため、壁紙クロスやソファやカーテンで緑を探すのは難しいのですが、単体で見ると「暗くなりそう」と感じる緑の方が、質の良いインテリアを演出できます。
「どうしても見つからない」という場合は、青みがかった緑(青緑)を代用することで、似たような雰囲気を作れるので、ぜひ色使いの参考にしてみて下さいね。
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