「シックな装い。」
シックは、ファッションでよく耳にする言葉ですが、ファブリックを使ったアイテムを多く使用するインテリアにも当てはまります。シックなインテリアは、「大人の雰囲気」「上品」「エレガント」「上質」といったような落ち着きがあり洗練さもある空間です。なかでも北欧シックと呼ばれるインテリアテイストは、日本の住宅と相性が良く、カラーコーディネートの仕方で簡単に実現できるスタイルです。
北欧シックなインテリアを作るコツやリビングを中心としたインテリア実例を紹介していきましょう。
シックは○CHIC×SICK
シックと聞くと英語のSICKだと思いがちですが、シックなインテリアのシックは、病気や病んでいるを意味する英語のSICKではなく、フランス語のCHICです。CHICには、おしゃれ・上品・洗練といった意味合いがあり、インテリア業界では数年前に出現した「シャビーシック(SHABBY CHIC)」を筆頭に、「モダンシック(MODREN CHIC)」「北欧シック(SCANDINAVIAN CHIC)」「フレンチシック(FRENCH CHIC)」といった造語が生まれています。
北欧インテリアを大きく分けると、カラフルな色を使ったインテリアとくすんだ色(色を認識できるが鮮やかさが少ない色)を使ったインテリアがあります。前者は、就学前のお子様と暮らすファミリー感やカジュアル感のあるキュートな印象のインテリア、後者は、大人に似合う上品で洗練された印象のインテリアです。
北欧シックは、上記の「見てるだけで楽しそう」なインテリアよりも「見てるだけで落ち着きがあり、リラックスできそう」なインテリアを目指します。
では、どんな色をどんな風にコーディネートしていけば北欧シックインテリアになるのかを解説します。
北欧シックを目指すのに使いたい色
「落ち着き・上品な印象の作れば良い」と鮮やかさの少ない色やグレーのインテリアアイテムをやみくもに揃えても、おしゃれな北欧シックインテリアにはなりません。
まずは、インテリアの色の構成について考えてみましょう。
室内に使う色を100%とすると、大きく3種類に分けることができます。
これは、北欧シックに限らず、すべてのインテリアに当てはまるルールで、「おしゃれだな」と感じるインテリアの写真は、このルールに則ったものが多いです。ベースカラーとなる場所は、床や壁・天井なので、色決めや色替えができない場合は、ブルーとピンクのメインカラーとアクセントカラーの場所を意識してカラーコーディネートしていきましょう。
ベースカラー
ベースカラーは、床・壁・天井に使う色です。ブラック・グレー・ホワイトの無彩色。グレージュ・スモーキー系の淡い色を使うとシックな印象がアップして見えます。
メインカラー
メインカラーは、ブラック・グレー・ホワイトの無彩色や暗い赤・暗い茶色・暗いブルー・暗いグリーン・くすんだ淡いブルー・くすんだ淡いグリーンなどが北欧っぽい色です。木目の家具は、ベースカラー同様に、鮮やかさの少ないスモーキー系を意識してコーディネートするとシックな印象がアップして見えます。また、近年は、ベージュとグレージュを混ぜたような温もりが少なめのベージュがトレンドカラーになっており、グレージュ系の色を使うと、エレガントかつ洗練された印象の空間を演出することができます。
アクセントカラー
「冷たい色の中に暖かい色」、「薄い色の中に濃い色」など、本来、アクセントカラーはメインカラーやベースカラーと反対の特徴を持つ色をわざと使います。つまり、空間に目立つ色を意識的に加え、視線を惹きつけるインテリアコーディネートをします。
しかしながら、北欧シックの場合は、「鮮やかな色や目立つ色で視線を惹きつける」というよりは、暗い赤・暗い青・暗いグリーン・ブラックなどのおとなしめの色で「落ち着きとおしゃれ感を演出する」コーディネートを目指した方がそれらしいインテリアになります。
7つの色別北欧シックインテリア実例
先の北欧シックを目指すのに使いたい色では、どの場所にどんな色を使うと北欧シックなインテリアになるかをパースを使って解説しました。しかしながら、色には、さまざまな種類があり、組み合わせ方次第でおしゃれ感が損なわれてしまう可能性もあります。
メインカラーの系統を6つに分け、北欧シックなリビングインテリア実例を紹介しますので、色使いのヒントにしてください。
①モノトーン系
ブラック・グレー・ホワイトの無彩色だけを使ったカラーコーディネートです。
ブラックのフローリングのリビングダイニングに、ブラックのレザー製2人掛けソファをコーディネート。
ソファ背面の壁をブラックの板張りにして、ソファの前に、ブラック×ホワイトのアニマル柄のカウハイドラグを敷き、ナチュラルブラウンの木製脚とホワイト天板を組み合わせた三角形コーヒーテーブルを2台レイアウト。ダイニングスペースは、真っ白な木製家具で統一し、薄いグレーのテーブルクロスを配置。黒と白を中心に使い、黒を多めに配色したインテリア。
スモーキーブラウンのフローリングのリビングに、暗いグレーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ソファより少し明るいグレーのラグを敷き、ホワイトの長方形トレイテーブルを2台並べてレイアウト。ソファ背面の壁に、薄めのグレーのアクセントクロスを貼り、ホワイトのシンプルなオープンラックを低い位置に取り付け、ブラックの雑貨をディスプレイ。ソファ背面にも、ブラックの額縁に入れたモノクロポスターを飾って落ち着きのある空間を演出したインテリア。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、グレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ブラックの細い線で菱形模様を描いた厚手のグレージュのラグを敷き、ブラック金属脚とブラック天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。ソファと対面の壁に、ブラックの背の低いテーブルを置き、周りに、ブラックの額縁に入れたモノクロポスターを無造作にディスプレイ。ブラックを線で取り入れて重苦しくない空間を演出したインテリア。
センスのあるおしゃれ北欧モノトーンインテリアの作り方&53実例
②グレー
スモーキーな薄めのグレーのフローリングのリビングに、ダークグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、ブラックのラグを敷き、ソファと同じ明るさのグレーのファブリックを使った長方形オットマンテーブルをソファとくっつけてレイアウト。ソファ正面の壁に、緑がかった暗いグレーの壁紙を貼り、奥行きの浅いブラックの木製オープンシェルフを取り付け、テレビをハンギング。カーテンも暗めのグレーにした落ち着きのあるインテリア。
薄いグレージュのフローリングのリビングダイニングのダイニング側の壁に、暗めのグレーの壁&埋め込みオープン収納をコーディネート。
ブラックの木製楕円形ダイニングテーブルとブラックの木製チェアをレイアウト。ダイニングに向かって、暗いブラウンレザーの2人掛けソファを置き、暗いグレー×黒っぽいグレーの細かい幾何学模様のラグを敷き、ブラック金属脚とブラックの木製六角形天板を組み合わせたコーヒーテーブルを配置。腰窓の下にも、暗いグレーの腰までの高さのオープンシェルフをレイアウトし、薄暗い空間を演出したインテリア。
くすんだナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、薄いグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、薄いグレー×ブラックのパターン柄のラグを敷き、ゴールド×ブラックの丸型コーヒーテーブルをレイアウト。ソファ背面の壁に、薄いグレーのモダンなアートを飾り、ソファの上に、グレーの無地、グレー×ブラックのパターン柄、白っぽいグレーの無地クッションを配置。色と柄を使って、おしゃれな印象をアップした開放感のあるインテリア。
③レッド系
ブラウンのヘリンボーン床のリビングに、暗いワインレッド(赤紫)の2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ホワイト×ベージュ×紫×暗い青のヴィンテージなオリエンタルラグを敷き、シルバー金属のコンパクトな丸型コーヒーテーブルをレイアウト。コーヒーテーブルの隣に、黒っぽいグレーのファブリック製丸型スツール、ソファと反対側の壁にホワイト鏡面扉のシンプルなテレビボードを配置。個性的な色のソファと個性的な柄のラグを組み合わせたエキゾチック感のあるインテリア。
グレージュのヴィンテージなフローリングのリビングに、ダークグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、暗い赤×ブラックの薄手のヴィンテージなオリエンタルラグを敷き、シルバー金属脚とブラック×グレーの大理石調天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。壁に濃いグレーの壁紙を貼り、ソファと対面に、ブラックの木目の引き戸扉のテレビボードを配置。ヴィンテージとクラシックをミックスし、エレガントな空間を演出したインテリア。
白っぽいグレーのフローリングのリビングに、くすんだオレンジっぽい赤の2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、くすんだブラウン×グレージュの曲線パターン柄のラグを敷き、ブラックの丸型コーヒーテーブルをレイアウト。ソファと対面に、ブラックキャビネットと暗いグレーの石目柄の扉を組み合わせたテレビボードを配置。ソファ背面の壁をグレーの塗り壁調にして、無機質な印象をアップしたインテリア。
④ブラウン系
濃いブラウンのフローリングのリビングに、白っぽいグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、グレーのラグを敷き、ホワイトのシンプルな長方形コーヒーテーブルをレイアウト。ソファとL字の壁に、ホワイトの丸型サイドテーブルとホワイトのシンプルなサイドボードを置き、ソファと対面に、モダンなデザインのダークブラウンレザーのパーソナルソファを2台配置。ソファの上に、ブラウンのブランケットと黄色が強めのブラウン×グレーのパターン柄の横長クッションを置いて、くつろぎ感をアップしたインテリア。
白っぽいグレーのフローリングのリビングに、ブラウンレザーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ブラック×ホワイトの牛柄の大きなカウハイドラグを敷き、ブラック×ブラウンの小さめの高さ違いの六角形コーヒーテーブルを2台レイアウト。ソファの斜め前に、ブラック×明るいブラウンレザーのどっしりとしたアームチェアを配置。ソファの背もたれの後ろに、ブラックの額縁に入れた大きめのモノクロポスターを2枚立て掛け、大人の雰囲気を演出したインテリア。
薄めのグレーのコンクリート調大判タイル床のリビングに、ブラウンレザーの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの下に、暗めのグレーのラグを敷き、ブラック金属脚と濃いグレーのモルタル調天板を組み合わせた、かっこいい長方形コーヒーテーブルをレイアウト。オープンシェルフとガラス入りの間仕切りをブラックにして、雑貨をモノトーンでまとめ、無機質で生活感のない空間を演出したインテリア。
ブラウンは、木や土などを連想する親しみのある色です。シックにまとめる場合は、黒っぽいブラウンやくすんだブラウンを使います。THE茶色みたいな明るいブラウンを使うと洗練された印象が軽減します。無彩色のグレーを組み合わせると、ブラウンの親しみ感が消え、おしゃれな印象がアップして見えます。
⑤ブルー系
スモーキーな薄めのブラウンのフローリングのリビングに、くすんだ薄い水色のうっすらと模様が入ったファブリックを使った2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、青みがかったグレー×ホワイトのヴィンテージ風ラグを敷き、シルバー金属の1本脚とブラックガラス天板を組み合わせた長方形コーヒーテーブルをレイアウト。ソファの上に、黒っぽい紫の丸型クッションと暗いブルーの無地クッションを配置。カジュアルになりがちな水色を鮮やかさを落として、黒っぽい色を加え、高級感のある大人っぽい空間にしたインテリア。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、くすんだ暗い水色の2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、グレー×暗くくすんだブルーのヴィンテージなオリエンタルラグを敷き、シルバー金属脚とホワイト天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。配色とレイアウトで、狭いリビングをすっきりと落ち着ける空間にしたインテリア。
ナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、暗めのブルーのコーナーソファをコーディネート。
ソファの前に、赤みがかった暗いグレーのシャギーラグを敷き、ブラック金属×ブラウンの木目の分厚い天板の長方形コーヒーテーブルをレイアウト。ソファ正面の暖炉周りを赤みがかったグレーの高級感のあるタイル貼りにして、テレビをハンギング。すっきりとした印象と高級感をミックスしたインテリア。
ブルー系は、インテリアをすっきり見せたり、広く見せたりする効果があります。シックを意識したブルーの選び方は、「暗い」や「鮮やかさが少ない」ブルーを選ぶこと。水色でも、鮮やかさが少ないと上品に見えます。
⑥パープル系
薄めのブラウンのヘリンボーン床のリビングに、くすんだ暗い紫の曲線デザインの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、ブラックのラグを敷き、ブラックの木製脚とブラックの半透明のガラス天板を組み合わせた三角形コーヒーテーブルをレイアウト。天井とモールディングを青みがかったグレーにして、天井からブラックのペンダントランプを無造作に3灯ハンギング。2面の壁に、黒っぽいクラシカルなアートを3枚飾り、アンティーク感のある空間を演出したインテリア。
ナチュラルな薄いブラウンのフローリングのリビングに、紫がかった濃いグレーの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、薄めのグレーのラグを敷き、ホワイトの木製丸型コーヒーテーブルをレイアウト。ソファの上に暗い紫の無地クッション、コーヒーテーブルの斜め前に暗い紫レザーのモロッコクッションを配置。紫をアクセントで取り入れて、おしゃれで大人っぽい空間を演出したインテリア。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、暗い赤紫の曲線デザインのベルベット製2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、濃いグレーのラグを敷き、薄めのブラウンのカクカクした木製の1本脚とホワイトガラス天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。壁をくすんだピンクっぽい赤紫と紫がかった濃いめのグレーにして、黄色が強めのブラウンの木目のサイドボードを配置。配色とデザインが個性的なクラシカルなインテリア。
パープルな個性的でおしゃれなインテリアを作るのに、最適な色です。「ソファやラグに使うには個性的すぎる」という場合は、クッションやスツール、ブランケットで足すと良いです。グレー×紫の組み合わせは、センスのない人でもおしゃれに見える魔法の組み合わせです。
⑦グリーン系
ブラウンのヴィンテージなヘリンボーン床のリビングに、暗いグリーンの3人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、明るめのグレーのラグを敷き、シルバー金属脚とグレー×ホワイトの大理石調天板、ブラック×グレーの大理石調天板を組み合わせた高さ違いの丸型コーヒーテーブルを2台レイアウト。アームチェアと丸型スツールでブラウンと暗いブルーを足して、落ち着ける空間を演出したインテリア。
ブラウンのフローリングのリビングに、黒っぽいグリーンの2人掛けソファをコーディネート。
ソファの前に、グレージュ×グレーの筋の入ったラグを敷き、デザイン性の高いブラックの木製脚とブラック×グレーの大理石調天板を組み合わせた丸型コーヒーテーブルをレイアウト。ソファと対面に、ブラック金属×キャメルレザーのモダンなデザインのアームチェアを2脚配置。グリーンとブラウンのナチュラルカラーを明度や彩度を意識して組み合わせ、大人っぽい空間を演出したインテリア。
スモーキーな白っぽいナチュラルブラウンのフローリングのリビングに、暗いグリーンの壁・天井をコーディネート。
壁を背に、黒っぽいグレーの3人掛けソファをレイアウト。ソファの前に、白っぽいグレーのラグを敷き、ホワイト×グレーの大理石調天板の丸型コーヒーテーブルをレイアウト。天井が斜めになった狭い空間を暗い色と明るい色で配色し、メリハリを演出したインテリア。
グリーンは植物を連想する色なので、グリーンを使った北欧インテリアは、ナチュラルな印象になりがち。シックを目指すインテリアでは、暗いグリーンや彩度の低いグリーンをコーディネートします。ブラックや無彩色の非日常的な色と組み合わせることで、グリーンの親しみ感が消え、洗練された印象がアップして見えます。
北欧シックについて、理解が深まったでしょうか。
「色の例やコーディネート実例を見てもイマイチわからない」という場合は、以下をポイントに色を選んでいきましょう。
- グレーとブラックの無彩色(暗さだけの色合わせですむのでコーディネートが比較的簡単です。)
- 木目の家具を取り入れる時は鮮やかさに注意(鮮やかさが少ない方がシックに見える)
- 赤・青・緑・茶色を使う場合は明るさと鮮やかさに注意(暗い方がシックに見える。鮮やかさが少ない方がシックに見える。)
- 暗い紫を使う(ソファやラグなどのメインの場所でなくてもOK。紫は使うだけで、センスがなくてもおしゃれに見える魔法の色)