住まいの中で、面積が大きな家具と言えば、ベッドとダイニングテーブルです。
この2つのうち、ベッドは「シングル」「セミダブル」「ダブル」のサイズがあり、身長や体型、部屋の大きさに合わせて大きさを選んでいきます。ベッドを置く場所は、眠るだけの寝室なので、あまり動線を考慮する必要がなく、個室なので、部屋の中にドンとベッドだけがあるようなインテリアでも、気になりにくいのが特徴です。
一方、ダイニングテーブルは、サイズがまちまちです。「大は小を兼ねる」と、大きめのテーブルを選んでしまうと、人が通るスペースが無かったり、収納物が取り出しにくくなかったりと、使い勝手が悪いダイニングになってしまうこともあります。
また、ダイニングは、寝室のような個別に完結する場所とは違い、キッチンやリビングなど、他の部屋とも関係が深い場所です。
対面キッチンの前にダイニングスペースがある間取り。
ダイニングの隣にリビングがあるオープンなリビングダイニングの間取り。
6畳程度のダイニングや狭いダイニングに、どのように家具を配置し、どのようにインテリアを作るのが正解なのか、様々なアイデアを探っていきましょう。
①6畳ってどんな広さ
6畳は一辺が約270cm、もう一辺が約360cmの長方形で、面積は9.72㎡です。
※不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第5章 表示基準 第10条 (16)
また、ダイニングルームには、他の部屋や廊下に繋がる扉やテラス窓、腰窓があるのが一般的です。
①-①ダイニング空間のみで6畳の場合
ドア開閉のスペースやテラスへの出入りスペースを考慮して、テーブル&チェア、食器棚をレイアウトしていきます。
腰窓があるミディアムブラウンのフローリング、ホワイトのドア、グレーの壁紙の6畳ほどのダイニングルームに、ミディアムブラウンの木目の長方形テーブルをコーディネート。
壁と入口を背に、ミディアムブラウンの木製チェアを2脚ずつプラス。窓に、ホワイトのブラインドを掛け、テーブルの真上に、ミディアムブラウンの木製シェードの丸みのあるペンダントランプを1灯ハンギング。木目を多く使って、リラックス感のある空間を演出した北欧スタイルのインテリア。
腰窓があるミディアムブラウンのフローリング、ホワイトの木のシルエットの壁紙の6畳ほどのダイニングルームに、ホワイトの1本脚の丸型テーブルをコーディネート。
テーブルの周りに、シルバー金属脚とホワイトの座面を組み合わせたシンプルなチェアを4脚プラス。窓に、ブラックのカーテンポールを取り付け、ホワイトのカーテンをハンギング。白っぽい色を多く配色して、開放感を演出した北欧スタイルのインテリア。
腰窓があるスモーキーなナチュラルブラウンのフローリング、グレーの壁紙の6畳ほどのダイニングルームに、くすんだ茶色の1本脚とホワイト天板を組み合わせた丸型テーブルをコーディネート。
テーブルの下に、ダークグレー×薄いグレーの曲線幾何学模様のラグを敷き、ホワイトの木製チェアを4脚プラス。テーブルの真上に、スモーキーなナチュラルブラウンの木目の編み込みシェードの大きなテーブルランプを1灯ハンギング。無彩色と薄い茶色をミックスした上品な印象の北欧インテリア。
①-②キッチン含めて6畳の場合
「ダイニングキッチンで6畳の広さ」の場合は、キッチンの大きさやレイアウトの仕方によって、ダイニングスペースとして使える残り部分が異なってきます。
①-②-①壁付けI型キッチンの場合
I型キッチンは、シンクと調理機器が同じ面にあるキッチンです。シンクの広さや調理スペース(まな板を置く場所)、調理機器の幅などを考えると一般的に240cm程度の幅が必要です。また、キッチンの奥行きは、65cm程度です。
一辺が約270cm、もう一辺が約360cmの6畳のダイニングに、「壁付けI型キッチン」がある場合、ダイニングテーブル&椅子、収納家具を置くことができる面積は、キッチンスペース(2.4m×0.65m=1.56㎡)を除く8.16㎡となり、8.16÷1.62(1畳の面積)で「約5畳」となります。
※コンパクトキッチンがついているワンルームだと、ダイニングスペースはもう少し広くなります。
しかしながら、キッチンには、冷蔵庫や食器棚、家電スペースなど、キッチンに必要な家電や家具が必要な為、実際のダイニングスペースは、もっと狭くなります。
少し薄いミディアムブラウンのフローリングの6畳程度のダイニングキッチンに、ホワイトのハンドル取っ手、ホワイトの扉、ミディアムブラウンの木目調カウンターを組み合わせた壁付けI型キッチンをコーディネート。
フロアキャビネットとウォールキャビネットの間の壁面に、暗いグレーのガサガサしたデザインの小さめの正方形タイルをプラス。キッチンと反対側の壁に、ホワイト×グレーの3Dデザインの幾何学模様のアクセントクロスを張り、濃い茶色の木製脚とホワイト天板を組み合わせた長方形テーブル、濃い茶色の木製脚とブラックの座面を組み合わせたチェアを壁とキッチンが背中にくるように2脚ずつレイアウト。無彩色だけでまとめ、窓にホワイトのシェードを下げて、すっきりとした印象にした北欧スタイルのインテリア。
濃いミディアムブラウンのフローリングの6畳程度のオープンダイニングキッチンに、取っ手の無いホワイト扉とホワイトカウンターを組み合わせたコンパクトな壁付けI型キッチンをコーディネート。
フロアキャビネットとウォールキャビネットの間の壁面に、ホワイトの長方形タイルをプラス。キッチンの背中側に、茶色の木製脚とホワイト天板を組み合わせた丸型テーブル、茶色の木製脚とホワイトの座面を組み合わせたチェア2脚をレイアウト。配色をホワイトで統一して、開放的な空間を演出した北欧スタイルのインテリア。
①-②-②壁付けL型キッチンの場合
L型キッチンは、シンクと調理機器が違う面にあるキッチンです。食器洗い乾燥機をビルトインする場合、シンク側は最低でも210㎝、調理機器側は165cm必要です。
一辺が約270cm、もう一辺が約360cmの6畳のダイニングに、「壁付けL型キッチン」がある場合、ダイニングテーブル&椅子、収納家具や家電を置くことができる面積は、キッチンスペース(2.1m×0.65m+1.65m×0.65m=2.7075㎡)を除く7.2825㎡となり、7.2825÷1.62(1畳の面積)で「約4畳半」となります。
残り面積は、I型キッチンよりも少ないですが、4つある部屋の角の1箇所にキッチンがまとまる為、コンパクトな印象になり、シンクの隣に冷蔵庫を置くスペースも確保できます。
ダークブラウンのフローリングの6畳程度のダイニングキッチンに、シルバー金属のアンティークなつまみ取っ手&半円取っ手、ホワイトの框組扉、スモーキーなブラウンの大理石調カウンターを組み合わせた壁付けL型キッチンをコーディネート。
キッチン前の壁面に、薄いブラウンの曲線幾何学模様のタイルを貼り、残りの壁に、スモーキーな薄いブルーの壁紙をプラス。キッチンと反対側のコーナーに、薄いブラウンのファブリック製L型ベンチを置き、白っぽいグレーのテーブルクロスを掛けた長方形テーブルをレイアウト。2つの隅に家具をレイアウトし、中央を広く空けて、動きやすくした北欧スタイルのインテリア。
ミディアムブラウンのフローリングの6畳程度のダイニングキッチンに、シルバーのハンドル取っ手、ホワイトの扉、ナチュラルブラウンの木目調カウンターを組み合わせた壁付けL型キッチンをコーディネート。
キッチンと反対側のコーナーに寄せて、ホワイト天板の丸型テーブルをプラス。テーブルの周りに、薄い茶色の木製脚とブラックの座面を組み合わせたチェアを2脚レイアウト。丸型テーブルを使って、キッチン前のスペースを広く確保したインテリア。
ホワイト×ブラック×グレー曲線幾何学模様のタイル床の6畳程度のダイニングキッチンに、ブラックのハンドル取っ手、暗いグレーの框組扉、ブラックカウンターを組み合わせた壁付けL型キッチンをコーディネート。
キッチンと反対側の壁に向かって、ミディアムブラウンの木製長方形テーブルをプラス。壁と反対側に、ブラックのクッションを乗せたミディアムブラウンの木製チェアを2脚レイアウト。ダイニングテーブルをダイニングカウンターのように活用したインテリア。
①-②-②対面キッチンの場合
対面キッチンは、キッチンの反対がオープンになっているキッチンで、現在、LDKの主流となっているレイアウトです。
対面キッチンは、キッチンの奥行きに加え、キッチンを固定するための造作壁が必要になる為、キッチン自体の奥行きが最低でも75cm程度必要です。また、キッチンの前には、人が移動できるスペース、その後ろに、冷蔵庫や家電収納、食器棚を並べるスペースが必要になる為、壁から対面壁の前まで約225cm程度が必要になります。
6畳のダイニングに対面キッチンをレイアウトする場合は、360cmの長い方の壁と270cmの短い方の壁の2パターンの配置が考えられますが、以下の理由から、どちらも使えないダイニングキッチンが完成してしまいます。
- A.約360cmの面に対面キッチンをレイアウトした場合、270cm-225cm=45cm
- B.約270cmの面に対面キッチンをレイアウトした場合、360cm-225cm=135cm
対面カウンターの前に45cmのスペースしか残らない為、対面キッチンとしての機能を果たさない。
対面カウンターの前に135cmのスペースが残り、カウンタースツールを配置することが可能であるが、ダイニングテーブルを置くことができない。270cmの面に幅240cmのキッチンを配置することになる為、残りが30cmとなり、キッチンの隣に人が通る通路を確保することができない為、対面プランは不可。
6畳のスペースで対面キッチンのレイアウトをする場合は、Aを主軸にダイニングテーブルを置かない方向でキッチン周りの家具レイアウトを考えるか、壁付けキッチンを応用した対面風キッチンを考えるようにしましょう。
【PLAN1】「対面カウンターにスツールを並べてダイニングカウンターにする」(対面カウンターの前がダイニング以外の通路やリビングと重なっていることが条件です。)
ミディアムブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、シルバーのレール取っ手、ホワイト扉、ホワイトカウンターを組み合わせた壁付けI型+アイランドキッチンをコーディネート。
フロアキャビネットとウォールキャビネットの間に、グレーのパネルをプラス。対面カウンターを横に伸ばして、ダイニングテーブル風にし、シルバー金属脚とブラックレザーの座面を組み合わせたモダンなデザインのカウンタースツールを対面式に1脚ずつレイアウト。廊下の一角にダイニングキッチンがあるような間取りのインテリア。
グレーのフローリングのダイニングキッチンに、ブラックのハンドル取っ手、ミディアムブラウンの横木目扉、ブラックカウンターを組み合わせたⅡ型対面キッチンをコーディネート。
ウォールキャビネットを無しにして、カウンター上にブラックの長方形タイルをプラス。タイルの上部と残りの壁に、暗い青緑の壁紙を張り、対面カウンターに、ブラックの木製脚とホワイトのファブリック座面を組み合わせたスツールを4脚レイアウト。カウンター上に、マットなブラック金属のペンダントランプを3灯ハンギング。ブラックをポイントに使った高級感のあるインテリア。
【PLAN2】「I型キッチンやL型キッチンを取り入れつつ対面カウンター風にする」
ホワイト×グレー×ブラックの幾何学模様のタイル床のダイニングキッチンに、取っ手の無いホワイト扉とホワイトカウンターを組み合わせた壁付けI型キッチンをコーディネート。
キッチンとリビングの間の仕切り壁をホワイト壁+ブラックスチールの格子窓風にして、薄い茶色の木製脚とホワイト天板を組み合わせたカウンターテーブルをプラス。カウンターを壁より少し伸ばして、ブラウンスチールの丸型スツールをコの字に3脚レイアウト。カジュアルな印象の北欧スタイルのインテリア。
暗いグレーのコンクリート調タイル床のダイニングキッチンに、シルバーのハンドル取っ手、ホワイト扉、ブラックカウンターを組み合わせた壁付けL型キッチンをコーディネート。
シンクの背中側に、ホワイト壁+ブラックスチールの格子窓風の仕切り壁を作り、ブラック金属脚とブラックの木製天板を組み合わせたカウンターテーブルをプラス。ブラック金属脚とブラックレザーの座面を組み合わせた丸型スツールを2脚レイアウト。カフェの窓側カウンターのようなインテリア。
スモーキーなナチュラルブラウンのフローリングのダイニングキッチンに、ホワイトキャビネットと茶色の木目カウンターを組み合わせた壁付けL型キッチンをコーディネート。
調理機器側のキッチン側面に、ブラック金属フレーム脚と茶色の木製天板を組み合わせた長方形テーブルをプラス。ブラック金属脚とブラウンの座面を組み合わせたチェアをキッチン側に1脚、窓側に2脚レイアウト。L型キッチンとカウンターテーブルを繋ぎ合わせてコの字型キッチンのようにレイアウトした、かっこいいインテリア。
②そもそもダイニングルーム(スペース)には何畳必要?
ここまで、「キッチンの無い6畳のダイニング」と「キッチンのある6畳のダイニング」の広さとレイアウト例について解説してきましたが、どのパターンでも、「必要な家具自体の大きさ」を把握しておくことはとても重要です。
ダイニングに必要な家具は、ダイニングテーブルとダイニングチェアです。
②-①テーブルサイズの決め方
テーブルのサイズを決める時は、「食事をする際の一人当たりのサイズ」を目安に算出します。
巷で販売されている4人掛けダイニングテーブルセットのテーブル幅が120cm以上なのは、上記の1人分に必要な最低の幅60cmから割り出してあるからです。
②-②テーブル周りのチェアのスペース
ダイニングテーブルの周りには、チェアを置きますが、「チェアに座る」「チェアを下げる」の動作がスムーズにできるスペースが必要です。
チェアに座っている時は、テーブルの前から50cm程度、チェアを引く場合はテーブルの前から75cm程度必要です。また、椅子に座っている人の後ろを通る時はテーブルの前から100㎝以上のスペースが必要です。
つまり、「テーブルの奥行き+150cm(75cm×2)~200cm(100cm×2)」のスペースがないと快適に使えるダイニングスペースを作ることができなくなります。
「80cm(奥行)」+「150cm~200cm(ダイニングを快適に使うためのスペース)」=230cm~280cm
テーブル自体の奥行きが80cmであっても、実際には、230cm~280cmが必要となります。
6畳は、椅子の後ろに人が通るスペースを十分確保して奥行80cm程度のダイニングテーブルを置くのに最適な広さと言えます。
ただし、これは「2人対2人」のように、テーブルの周りに正当に椅子を置いた場合の広さです。テーブルの一辺の椅子を無しにして、テーブル自体を壁や家具に寄せることで、4.5畳程度まで圧縮することが可能です。
これらを踏まえ、家具サイズと6畳ダイニングの相性を調べてみましょう。
④6畳ダイニングとテーブルデザインやサイズの相性
④-①丸型ダイニングテーブル
※テーブル直径+150cm~200cmは、テーブル周りに必要なスペースも含めたサイズ。
2段目の数字は、テーブルの周りにどの程度のスペースが必要かを算出したものです。直径が大きくなればなるほど、周囲に必要なスペースも大きくなります。
④-②長方形ダイニングテーブル
※長方形ダイニングテーブルの奥行きは、70~80cmが一般的。(「一人分に必要な奥行35~40cm」×2)
※テーブルの奥行き+150cm~200cmは、テーブル周りに必要なスペースも含めたサイズ。
2段目の数字は、テーブルの周りにどの程度のスペースが必要かを算出したものです。360cmの面、270cmの面どちら向きにテーブルを置いても、長方形ダイニングテーブルは、長い面にチェアを並べる為、テーブルの幅と部屋の広さにはあまり影響がありません。通路幅を90cm程度確保することを想定すると、テーブルの幅+150cm(75cm×2)必要になってくる為、360cmの壁と平行にテーブルを置く場合は360cm-150cm=210cm、270cmの壁と平行にテーブルを置く場合は270cm-150cm=120cmがテーブルの最低幅となります。
いかがでしたか。
6畳のダイニングは、4人掛けのダイニングテーブルを置くのに最適な広さなので、あまり深く考える必要はありません。
しかしながら、ダイニングテーブルとチェアで、かなりのスペース(テーブル周りに必要なスペース含む)が必要となる為、収納家具や食器棚、家電も同じ空間の中に置きたい場合は、レイアウトの仕方にコツが必要となってきます。
コツについては、次回に紹介する予定です。
また、6畳の中にキッチンがある場合は、キッチンに必要な収納家具や家電置き場を確保する必要がある為、キッチンを壁に寄せてレイアウト(L型キッチンの方が使い勝手が良い)するのが好ましいです。
「これから間取りを考える」という方は、ぜひ、参考にして下さい。