リビングに欠かせないテレビ。
スマホの普及で「テレビを見る機会が少なくなった」という人が多くなってきてはいますが
- テレビのないリビングは想像できない
- 緊急ニュース速報を見るために必要
という方もいらっしゃるでしょう。
十数年前まではブラウン管のある奥行きのあるテレビが一般的だったため、テレビはテレビ台やテレビボードの上に置くのが当たり前でした。液晶テレビが普及し始めてからは、テレビが薄型になったものの、映像化されたDVDやBlu-rayを見るためのプレイヤーや音響スピーカーの置き場所として、テレビボードを収納スペースとして活用するご家庭がほとんどでした。
しかしながら、今は、ネットテレビの時代です。
Amazonプライム・ビデオ、Netflix、U-NEXTなどの動画配信サービスを利用すれば、好きな時間に好きな番組を見ることができるため、テレビの周りに、DVDやBlu-ray鑑賞用の機器を置かないパターンも増えてきています。
さらに、液晶テレビの薄型化や軽量化により「テレビを台の上に置く」よりも壁に掛けてスッキリとさせたいと言った壁掛けテレビを希望される方も増えてきています。
「テレビを壁に掛けたい!」
そんな時のヒントになる「テレビの新しいインテリアの形=壁掛けテレビ」のメリット・デメリットやコーディネート実例を紹介していきましょう。
- 壁掛けテレビのメリット4つ
- 壁掛けテレビのデメリット3つ
テレビを壁掛けにするメリット
メリット①狭い部屋がすっきり見える
薄型テレビは、バックライトが必要な液晶テレビとバックライトが不要な有機ELテレビがあり、後者の方が厚みが薄いです。
- SONYのブラビアX80Jシリーズ 55V 液晶テレビで7.1cm
- SONYのブラビアA90Jシリーズ 55V 有機ELテレビで4.1cm
テレビ台やテレビボードの上に置くテレビと比較すると、壁にペタッとテレビが貼り付けてあるようなデザインになるため、壁面がスッキリと見えます。また、狭い部屋では、テレビの下に台を置かないことで「床面を壁面まで見せることができる」「家具の数を1個減らすことができる」などの理由から、広々とした印象になります。
リビングダイニングの通路となる壁面に壁掛けテレビをレイアウトした例。テレビの下に家具がない為、通路幅をしっかりと確保できている。
横長リビングの2面の掃き出し窓の間の壁面に、壁掛けテレビをレイアウトした例。壁にテレビがあるだけのでシンプルな印象。
メリット②テレビを見やすい高さにレイアウトできる
テレビ台やテレビボードの上に置くテレビの画面の高さは、テレビ台やテレビボードの高さに左右される為、目線のちょうど良い位置に、テレビ画面の中心をレイアウトすることが難しいです。
テレビの大きさ別の床からの画面の中心までの最適な高さは
80インチ | 120cm |
65インチ | 115cm |
55インチ | 100cm |
50インチ | 105cm |
42インチ | 100cm |
37インチ | 95cm |
32インチ | 90cm |
26インチ | 85cm |
23インチ | 80cm |
(データ元:https://kabekaketv-shop.com/user_data/howto_location.php)
です。
ただし、これは推奨位置の例なので、ソファやラウンジチェアの背もたれの形状によって「目線より上方にテレビがあった方が見やすい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
筆者は、寝室のテレビを壁掛けにしていますが、ベッドの上に寝転んだ時、ちょうど見やすい画面高をシミュレーションして、床からの高さを120cmに設定しています。
このように壁掛けテレビは、壁掛け用金具の床からの高さを自由に設定することが可能なので、テレビを見やすい高さにレイアウトすることができます。
壁面のやや高い位置に壁掛けテレビをレイアウトしたリビングの例。
メリット③テレビの下にテレビボード以外の家具を置くことができる
リビングの家具レイアウトを決める時、テレビ台やテレビボードを使ったテレビの置き方では、壁面の1箇所がテレビのための家具専用の場所になります。テレビを壁掛けにした場合は、テレビを置くための家具が不要になる為、家具レイアウトの幅が広がります。
狭い部屋ではスペースが残らない為置くことが不可能だった“ラウンジチェア”や“2台目のソファ”を置くこともできます。
壁掛けテレビの下にラウンジチェアを2脚レイアウトしたリビングの例。
壁掛けテレビの下に2台目のソファを置いたリビングの例。
壁掛けテレビの下に、高さの低いフロートタイプのテレビボードを取り付け、下部に網かごバスケットとニットクッションを置いたリビングの例。
壁掛けテレビの下に、引き出し付きのカウンターデスクを取り付けて、ワークスペースにしたリビングの例。
メリット④テレビの周りの壁面をアレンジできる
テレビ台やテレビボードの上に置いたテレビは、壁面との距離ができますが、壁掛けテレビの場合は、壁との距離が短く、テレビを絵画のように捉えて、壁面をアレンジしたインテリアを作ることができます。
④-①壁掛けテレビ+木目パネル
ホワイトのモダンなデザインのテレビボードを置き、壁掛けテレビの周りに、濃い茶色の縦木目パネルを貼ったリビング。
ダークブラウンの縦木目のパネルを天井との隙間を少しあけて立て、テレビを壁掛けにし、テレビの下にスモーキーなベージュのカウンターを取り付けたリビング。
ホワイト鏡面のシンプルな幅の広いテレビボードを置き、壁掛けテレビの周りに、ミディアムブラウンの横木目パネルを貼ったリビング。パネルの左右に、パネルと同じ明るさの木製2段ウォールシェルフをシンメトリーにレイアウト。
④-②壁掛けテレビ+タイル
ミディアムブラウンの木製テレビボードを置き、壁掛けテレビの周りに、グレーのモルタル調のタイルを貼ったリビング。
ホワイトのレンガ調タイルを壁面に貼り、テレビを壁掛けにして、ホワイト扉のキャビネットとミディアムブラウンの木製天板を組み合わせたテレビボードをレイアウトしたリビング。
④-③壁掛けテレビ+木
ホワイトの壁にテレビを壁掛けにして、天井の明るい茶色の木製見せ梁とつなげるように明るい茶色の角材を柵のように貼ったリビング。
④-④壁掛けテレビ+ニッチ
壁掛けテレビの下に、幅の広いニッチを作ったリビング。
グレーのモルタル調のニッチを作り、壁掛けテレビを埋め込んだリビング。
ベージュのニッチパネルを壁面に取り付け、壁掛けテレビを埋め込み、上部からダウンライトで照らしたリビング。
④-⑤壁掛けテレビ+シェルフ
暗い紫のアクセントクロスを貼り、テレビを掛け、テレビの下に、ナチュラルブラウンの木製シェルフとカウンターデスクをレイアウトしたリビング。
④-⑥壁掛けテレビ+ニッチ+シェルフ
ホワイトの板を横張りにしてミディアムブラウンの木製カウンターを乗せたニッチ壁を2箇所作り、上部に壁掛けテレビ、下部にスピーカーをレイアウトしたリビング。
テレビを壁掛けにするデメリット
デメリット①壁面固定が必要
テレビを壁掛けにする時は、壁面に壁掛けテレビ用の金具を取り付ける必要があります。
「テレビを壁掛けにする」と最初から決めてある新築工事やリフォーム・リノベーション工事の場合は、壁面を木下地にして固定金具を取り付けやすいようにすることができますが、既に完成している部屋の場合は、金具を取り付ける壁がどんな素材なのかを把握する必要があります。
ウォールシェルフ取り付けの注意点3つ&おしゃれインテリア37選でも解説した通り、壁の作り方(下地)には
B.軽量鉄骨+合板
C.木の柱+石膏ボード
D.木の柱+合板
の4パターンがあります。
「石膏ボードの壁はビスがきかない」壁、「柱と合板はビスがきく」壁です。
上記の壁の作りをビスがきく壁ときかない壁に分類すると
B.軽量鉄骨+合板→ビスがきく
C.木の柱+石膏ボード→柱位置を特定して柱に向かってビスを打つ
D.木の柱+合板→ビスがきく
です。
ビスがきかない壁には、「壁美人」(https://kabebijin.net/products/list.php?category_id=30)のようなホッチキスを使う壁掛け金具もあります。
薄めの茶色の木目のパネルがついたテレビボードをソファの正面に置いて、テレビを壁掛けにしたリビング。
デメリット②配線が見える
テレビの本体の裏には「テレビ用電源」「アンテナケーブル」「HDMI端子(Blu-rayレコーダーやプレイヤー用)」「USB端子(外付けHDD録画用)」「LAN端子(ネット有線接続用)」などさまざまな配線を差し込む必要があります。
このうち、テレビを視聴するために最低限必要な「テレビ用電源」「アンテナケーブル」は、壁掛けテレビを想定していない部屋の場合、床に近い位置にレイアウトしてあることがほとんどです。
その為、配線が丸見え状態になり、スマートな印象が台無しになってしまうこともあります。
配線の隠し方には
- TV用コンセントの移動(工事が必要です)
- 配線用モールで隠す
などがあります。
壁掛けテレビの下(左)から配線が丸見えのリビング。
デメリット③プレイヤーやスピーカーなど周辺機器の置き場所を考える必要がある
壁掛けテレビは壁面をすっきりと見せることができるのがメリットですが、デメリット②で解説した通り、「HDMI端子(Blu-rayレコーダーやプレイヤー用)」「USB端子(外付けHDD録画用)」を活用してテレビを視聴する場合は、周辺機器をテレビの側にレイアウトする必要も出てきます。
サウンドバーやバースピーカーなど、見た目がスタイリッシュな機器も出ていますが、テレビ以外にどんな機器を使うかを最初に考えておき、それらをどこに、どのように置くかを計画しておく必要があります。
壁掛けテレビの下に奥行きの浅いカウンターを取り付けて、カウンターの上にコンパクトなプレイヤーをレイアウト。カウンターの下に、スピーカーやプレイプレイヤーを置いて、すっきりとした見た目に。
壁掛けテレビの下にテレビボードを置いて、テレビボードの上に、スピーカーをレイアウト。
壁掛けテレビの下にフロートタイプのテレビボード、壁掛けテレビの隣に背の高いオープンシェルフをレイアウト。オープンシェルフにスピーカーを収納。
壁掛けテレビの下にフロートタイプのテレビボード、テレビボードの上にセンタースピーカー、左右に背の高いスピーカーをレイアウト。
壁掛けテレビのメリット・デメリットと様々な壁掛けテレビのコーディネートを紹介しましたが、インテリア作りのヒントになったでしょうか。
近年の薄型テレビは、フレームが薄く見た目がスタイリッシュなので、壁に掛けて、ダウンライト・ブラケットランプ・テープライトを使ってアートのようにアレンジする方法もあります。