現在、新築でゼロから間取りを決める案件に携わっています。
コロナ禍の生活スタイルの変化により
- テレワークで家にいる時間が増えた→テレワークの場所が必要
- 家で食事をする機会が増えた→快適に食事できる環境が欲しい
などの背景を踏まえると「従来のリビングのダイニングの考え方とは少し違うレイアウトを考える必要も出てきているのかな?」と感じています。
冒頭に記載した物件においても「何を重視するか」でどの部屋を広く取るのかで全く違う間取りの家になる為、今整理しているのが「リビングダイニングはそもそも何帖必要か?」という部分です。
家の大きさ(外の箱)は決まっているので、リビングダイニングに必要な面積(畳数)を引いて残りの部屋の大きさを決めていく感じですね。
…の前に、「リビングダイニングの大きさによって、どんなレイアウトができるかの知識が無い。」「9畳と言われても、実際どんな大きさなのかピンと来ない」という方がほとんどで、上記の案件でも大きさを伝えるのに四苦八苦しています。
また、既にリビングダイニングの大きさが決まっている場合でも「ダイニングスペースにゆったり座れる4人掛けのダイニングテーブル、リビングに2人掛けソファを置いて、大きめのテレビが置けて収納たっぷりのテレビボードも欲しい。」といった希望が「現在選定しているリビングダイニングで叶えることができるかどうか、すぐに判断できる」という方の方が少ないのではないでしょうか。
- 4人掛けダイニングテーブル&チェア
- 2人掛けソファ
- コーヒーテーブル
- テレビボード(リビング収納)
の4点の最低限必要な家具を8~12畳のリビングダイニングにレイアウトするとどんな雰囲気になるのかをパースを使って解説していきましょう。
ダイニングとリビングに置く家具、それぞれに必要な最低限の床面積
8畳・9畳・10畳の狭めのリビングダイニング(正方形)の家具レイアウトのコツ
12畳のリビングダイニング(長方形)の縦長・横長の形別、家具レイアウトのコツ
リビングダイニングに必要な家具の基礎知識
「いくら最低限の家具だけを置いてコンパクトにまとめたインテリアを作る」と言っても、家具は体の大きさや動作に応じたサイズで作られている為、「家具をレイアウトするのに最低限この程度の大きさは必要だ」という面積があります。
また、家具は、部屋の大きさに応じてサイズオーダーにするとコストが掛かり過ぎる為、量産型の既製品を使うことがほとんどです。そういった意味でも、一般的な家具のサイズ感を知っておくことは非常に大切です。
家具レイアウトを考える前に、リビングダイニングに必要な家具について、それぞれ基本的なサイズを把握しておくと、「置ける・置けない」がわかりやすく、「理想のレイアウトにできるリビングダイニングの大きさなのか」も判断しやすいです。
2人掛けダイニングテーブルと4人掛けダイニングテーブルの大きさと必要な面積
ダイニングテーブルの大きさ
幅 | 奥行 | |
一人分の大きさ | 60~70cm | 35~40cm |
2人掛けテーブルの最低サイズ | 60cm | 70cm |
4人掛けテーブルの最低サイズ | 120cm | 70cm |
ダイニングスペースは、テーブルと椅子だけを置くことができればOKという訳でなく、テーブル周りに最低でも60cm程度のスペースが必要です。
幅190cm奥行120cmで、2.28㎡です。
(190cm=テーブルの奥行70cm+テーブル周りに必要な60cm×2)
1畳を180×90cmで1.62㎡で計算。
周囲に人が通れるスペースを設ける場合を想定して4.5畳(270×270cm=7.29㎡)程度をダイニングとする間取りが多いです。
椅子の後ろに家具がある場合はプラス70cm程度、余裕を見ておきましょう。
2人掛けソファの大きさと必要な面積
I型ソファ
ソファの大きさに決まりはありませんが、一人分の幅は80cm程度です。
背もたれやひじ掛けにボリュームのあるデザインだとソファ自体のサイズも大きくなります。
一般的な2人掛けソファの場合、ソファだけのスペースとして畳1枚分(180×90cm)を想定しておきましょう。
寝椅子付きソファ
足を投げ出して座れる寝椅子付きソファは、寝椅子分の奥行きが必要です。
ソファ自体がL字になる為、前に置くテーブルを寝椅子の長さ内に収まるコンパクトなサイズにするとリビング家具を置く面積は少なくてすみます。
コーヒーテーブル(センターテーブル・ローテーブル)の大きさと必要な面積
コーヒーテーブルは、長方形や丸型など様々なデザインとサイズがあります。
カップやスマホなど小さな物を置く程度なら大きなセンターテーブルではなく、サイドテーブルを活用する方法もあります。
寝椅子付きソファやコーナーソファの場合、ソファの前2箇所にスペースを取る必要がある為、大きなコーヒーテーブルよりもコンパクトなサイズを選んだ方が圧迫感が少なくなります。
コーヒーテーブルは、特に決まりきったサイズが無いですが、前後左右に足を置くスペースや人が通るスペースが必要になります。
テレビボードの大きさと必要な面積
テレビボードはテレビのサイズに合った幅を選びます。奥行は30~45cm程度です。
テレビサイズとテレビボードの対応幅は以下の通りです。
テレビの大きさ | テレビの幅 | テレビボードの幅 |
43インチ | 97cm | 100m |
49インチ | 約110cm | 120cm |
55インチ | 約125cm | 130cm |
63インチ | 約147cm | 150cm |
※サイズ参照元:SONYブラビアX8000Hシリーズ
※テレビの幅とテレビボードの幅に差をつけない場合。
リビングに必要な家具を置くために必要な面積をまとめると以下になります。
- ソファは、幅180cm 奥行90cm(畳1枚分)
- コーヒーテーブルは、幅120cm 奥行60cm
- テレビボードは、幅120cm 奥行40cm
それぞれのソファとテーブルの間に足が入るスペース40cm、テーブルとテレビボードの間に60cm通路スペースを取った場合、約180×290cmで約5.22㎡です。
1畳を180×90cmで1.62㎡で計算。
ソファの左右にも人が通るスペースが必要な為、4.5畳(270×270cm=7.29㎡)~6畳(270×360cm=9.72㎡)程度をリビングとする間取りが多いです。
また、最近の高精細のテレビは、テレビとソファの距離が従来のフルハイビジョンテレビよりも近く、テレビ高の1.5倍が最適と言われています。
TV(4K含む)とソファの適切距離&部屋の大きさ別サイズ実例
テレビ画像を楽しむために、コーヒーテーブルを無しにして、テレビとソファを近くレイアウトする方法もあります。コーヒーテーブルが無いレイアウトは、“狭いリビングでも広く見える”といった特徴があります。
リビングダイニングの大きさ別レイアウト
「①リビングダイニングに必要な家具の最低面積を知っておく」で解説した家具を置くのに必要な面積を元に、8~12畳のリビングダイニングに家具をレイアウトしていきましょう。
リビングダイニングが8畳・9畳・10畳
8~10畳の部屋は、正方形に近い形です。
部屋の大きさ | 一辺 | 一辺 | 面積 |
8畳 | 360cm | 360cm | 12.96㎡ |
9畳 | 360cm | 405cm | 14.58㎡ |
10畳 | 405cm | 405cm | 約16.4㎡ |
長方形だと以下になります。
部屋の大きさ | 一辺 | 一辺 | 面積 |
8畳 | 270cm | 480cm | 12.96㎡ |
9畳 | 270cm | 540cm | 14.58㎡ |
10畳 | 270cm | 600cm | 約16.2㎡ |
「①リビングダイニングに必要な家具の最低面積を知っておく」で解説したダイニングとリビングの家具を置くのに必要な面積の図をそれぞれの大きさのリビングダイニングに配置していきます。
※周りに60cmの通路を取ると約4.5畳(7.44㎡)分
リビングの面積:ソファ・コーヒーテーブル・テレビボードを快適な通路スペースを保って川の字に置くのに必要な最低の大きさは、約3.2畳(約5.22㎡)分
※ソファの左右に60cmの通路を取ると約5.4畳(8.7㎡)分
正方形8畳・9畳・10畳の家具レイアウトのポイント
最低限必要な面積は、ダイニング約4.5畳(7.44㎡)分、リビング約5.4畳(8.7㎡)分なので、両方を重視して家具を配置すると窮屈な印象がします。
窮屈な印象がしない(狭苦しさの無い)リビングダイニングを目指すなら、下の2つのいずれかを検討してみましょう。
Ⓐダイニングとリビングを均等に分けず、どちらかのスペースを優先したレイアウトにする。
Ⓑリビングとダイニングで被っている家具を兼用し、家具の数を少なくする。
一人分の幅60cmを無視して、大きなダイニングテーブルを置く。
コーヒーテーブルは「無し」か最低限の大きさにする。
テレビボードをリビングダイニングの中間あたりに置く。
リビングとダイニングの境界線を曖昧にして一体感のあるインテリアを作る。
リビングをソファとラグだけでまとめたシンプルなリビングダイニング。
ソファの前に、4人掛けダイニングテーブルを置き、その隣にテレビボードをレイアウトしたダイニングキッチン。
ダイニングスペースをコンパクトにする。
ダイニングテーブルを小さくできない場合はテーブルの長い面を壁にくっつけて短い面にチェアを置く。
テレビボードはリビング側に置く。
ダイニングをコンパクトにまとめることでリビングに大きめのコーナーを置くことも可能。
腰窓の間の壁にカウンターテーブルのように2人掛けのダイニングテーブルをコンパクトに置いたリビングダイニング。
掃き出し窓の間の壁に2人掛けのダイニングテーブルを置き、背もたれの無いスツールでコンパクトにコーディネートしたリビングダイニング。
ダイニングスペースをコーナー寄りにコンパクトに作り、リビングスペースに、ソファ、ラウンジチェア、大きめのリビング収納家具(テレビボード)をレイアウトしたリビングダイニング。
ダイニングスペースをコンパクトにまとめ、ソファと反対側の壁にワークスペースを作ったリビングダイニング。
ダイニングテーブルとソファを組み合わせる。
リビングとダイニングを分けずに1つの空間として家具をレイアウトする。
「ダイニングソファセット」「ダイニングソファ」で家具を見つける。
(参照家具デザイン:https://www.unico-fan.co.jp/shop/r/rf-dining/)
ダイニングチェアとソファの座面高は違う為、テーブルの高さに注意。両方に対応できるように昇降式のテーブルを選択する方法もあり。
2面の壁に沿ってコーナーソファを置き、ソファの前に、角の丸い正方形ダイニングテーブルを置き、テーブルの4面にダイニングチェアをレイアウトしたリビングダイニング。
昇降式のダイニングテーブル、2人掛けソファ、デザイナーズチェア(ルイ・ゴースト)をコーディネートしたリビングダイニング。
デスクとワークチェアだけを組み合わせたワークスペースは、2畳の広さがあれば作ることが可能です。
「Ⓐダイニングとリビングを均等に分けず、どちらかのスペースを優先したレイアウト」、「Ⓑリビングとダイニングで被っている家具を兼用し、家具の数を少なくしたレイアウト」のどちらも2畳ほどの余りスペースが確保できています。
リビングダイニングが12畳
対面キッチンがあるLDKの間取りでのリビングダイニング12畳は、長方形で下記の割合で構成することが多いです。
部屋の大きさ | 一辺 | 一辺 | 面積 |
12畳 | 270cm/360cm | 720cm/540cm | 19.44㎡ |
「①リビングダイイングに必要な家具の最低面積を知っておく」で解説したダイニングとリビングの家具を置くのに必要な面積の図では、ダイニングもリビングも正方形に近い形なので、そのまま「横並び」か「縦並び」にレイアウトしていきます。(※縦・横の並べ方は後述)
※周りに60cmの通路を取ると約4.5畳(7.44㎡)分
リビングの面積:ソファ・コーヒーテーブル・テレビボードを快適な通路スペースを保って川の字に置くのに必要な最低の大きさは、約3.2畳(約5.22㎡)分
※ソファの左右に60cmの通路を取ると約5.4畳(8.7㎡)分
リビングダイニング12畳の家具レイアウトのポイント
最低限必要な面積は、ダイニング約4.5畳(7.44㎡)分、リビング約5.4畳(8.7㎡)分なので、19.44㎡の12畳リビングダイニングは、家具レイアウトに余裕があります。また、ダイニングを最低必要な面積内に収めると大きなコーナーソファやラウンジチェアを置いたリビングを作ることも可能です。
Ⓐ縦長リビング→短い面に窓がある
Ⓑ横長リビング→長い面に窓がある
下の4つの基本的なレイアウトから家具の置き方を選ぶ。
①通路を一直線に取る
②リビングとダイニングの家具の位置を揃えない
③ダイニングに向かってリビング家具をレイアウトする
④キッチンの前をリビングにする
①通路を一直線に取る
窓に向かって一直線に通路がある為、整った印象がアップする。ソファの後ろに通路を取る為、リビングがやや狭い印象になる。
②リビングとダイニングの家具の位置を揃えない
左右の壁に沿ってリビング家具をレイアウトする為、リビングが広々とした印象になる。
③ダイニングに向かってリビング家具をレイアウトする
窓を背にソファをレイアウトする為、ソファから壁までが遠く開放感がある。テレビボードを置く場所に注意。
④キッチンの前をリビングにする
開放感があり、外も見えるリビングを作りたい時に。(③の逆転レイアウト)
下の4つの基本的なレイアウトから家具の置き方を選ぶ。
①リビングとダイニングを棲み分け
②リビングとダイニングを一体化
①リビングとダイニングを棲み分け
ソファの背もたれを境界線にダイニングとリビングを分ける。各スペースでの過ごし方は「食事」と「くつろぎ」なので、生活にメリハリを出したい方向け。ソファの後ろにも通路スペースが必要になる為、リビング全体の広さは狭くなる。
②リビングとダイニングを一体化
ダイニングとリビングの明確な境界線を作らずにレイアウトする。ソファを壁に沿ってレイアウトする為、リビングが広く見える。
デスクとワークチェアだけを組み合わせたワークスペースは、2畳の広さがあれば作ることが可能です。
12畳リビングダイニングは、ダイニング約4.5畳(7.44㎡)分、リビング約5.4畳(8.7㎡)分をマイナスしても2畳以上余る計算なので、デスク+収納のワークスペースを作ることができます。
- ダイニングテーブルセットをレイアウトするのに最低必要な面積
- ソファ・コーヒーテーブル・テレビボードをレイアウトするのに最低必要な面積
- 8畳・9畳・10畳のリビングダイニング(正方形)の面積と家具レイアウトのコツ
- 12畳のリビングダイニング(長方形)の面積・縦長や横長の間取りとそれぞれの家具レイアウトのコツ
に絞って解説しましたが、広さの感覚や家具レイアウトのポイントは伝わったでしょうか。
このページの家具の置き方は、2~4人暮らしの一般的な暮らしを元にしています。
「2人でテレワークをする」「お酒を飲むスペースが欲しい」などは、+αの要素になってきますので、ベースとなるレイアウトをアレンジして生活スタイルに合った過ごしやすいリビングダイニングを作って下さい。